002
—— 進路 ——
俺はどうにも短気な所がある、だからってそれは昔から一緒に育ってきた俺自身なんだからそんなに簡単には変わらねぇんだよな。
まぁ短気って行ってもただ怒りやすいって事じゃなくて次の一瞬を待ちきれなくてワクワクしてるってだけ、いうなれば遠足の前の日を1秒毎に繰り返してるって事。
全く狂いそうだ。あるいはもう狂ってるかもな。
さて、シンリの予知の評判はどこ行っても聞く。預言者シンリ。彼女が予知を外す時、運命の輪が狂いだす、か。
さてこれからどーっすかなぁ。
そういえば、ここ2年くらい東方面に行ってねぇなぁ。いや行った気がするけど忘れちまった。ってことで久々に東部地方も悪くねぇな。あぁいやまずは中域か...。
2108年 9月10日 東部地方ムサシ地区郊外
少年は大都市に向かう列車に揺られ、物思いにふけっていた。
母は俺が12の時に死んだ。
自分が思っている程悲しくはなかった。
しっかりしないといけない思いが強くて気を張っていただけかもしれない。
それから2年、父と共に暮らした。
父はとても優しかった、なんの不満もなくとても幸福な時間が流れていた。
そして、15歳の夏、父が天災死した。
運悪く、旅行先で天災にあった。親族は皆、天災に遭うなんて、運が悪い。天災じゃ仕方ないあの人の運命なのだ、と。
この世界は歪んでいる。もちろん物理的な意味ではない。
あれは決して自然による災害ではない。
歪んだ世界が産んだ歪んだ力。
人災だ。人が人の手によって起こしうる物。
その力を俺も持っている。母にも父にも秘密にしていた。
父の死から4年、この力と天災について徹底的に調べた。
自分の力は日々成長を感じる。しかし天災についての情報はこの4年間一切得られなかった。
自分の人生を賭けて挑んだ謎。ある意味、父の死の真相を探る敵討ちのような目標だった。
天災については得られなかったが、一つ有益な情報を得た。
裏社会のどこかに存在するランクボード。
誰がどんな基準でランク付けされているかはわからない。
そこに載っているのは名前と顔。
彼らに共通している事は皆、特殊能力を持っているという事。
俺はそのボードに載っている誰かが天災級の能力を持っていて何の理由かはわからないが、その能力を使って父を巻き込んだに違いないと考えている。
ランクボードの存在を知って以来、まずはそいつの実物を探そうとしていた。
もちろん、街行く人に聞いた所で厨二病か頭がおかしい奴って冷たい目で見られるだろう。
18の俺には少し限界があった、あのランクボードの情報もリンクを何件も踏んで色々なサイトを経由して見つけた謎の掲示板のスレに書いてあった嘘か本当かよくわからない情報だった。
それを確信に変えるために、少し無茶をした。おかげでヤーさんに追われる羽目になった。
1週間逃げ回ってようやく巻いた。成果的にはよくやった方だ。
ランクボードは東部地方大都市内にある。
列車は途方もないビル群に飲み込まれるように進んでいった。
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