001


—— 予言 ——



「あんた、このままだと死ぬよ」

淡々と語られる口調に男はただ理解をしようと必死に考えていた。


 んー...物語の始まりは衝撃的な方がウけるとか出会いは劇的な方が面白いなんて言うが実際のリアルでそんな事があれば動揺して終わりだ。

そして物語の始まりに終わりって言われると意味がわからん。あぁ!そうか興味を引くためにそこから始めると...ふんふんなるほど

まぁ焦ったいのはあんまり好きじゃない

とりあえず時を戻そう


21XX年 某月某日 西部地方セカイ地区


 地下にある薄暗いBAR、ディープな雰囲気が漂い、カウンターの奥には笑顔を絶やさないBARのマスターらしき男が黙々と自分の仕事をしている。


おいおいオレぁこんなエキゾチックな店は嫌いなんだ、いかにも自分に酔ってそうな奴がいて—

しかも!常連ぶってて気持ち悪い。

そんな奴に限って変態プレイを好んでやがる。おっと今のは偏見が過ぎたぜ忘れてくれ!

なんで俺がこんな陰気臭い場所までわざわざ来なきゃ行けねぇんだ、ぁあん?

なぜかっって、あぁ忘れた。いや忘れねぇ綺麗な女に、喧嘩を売られたからだ。くっそ今でもムカつく。。。いやマテよそんなに綺麗だったか?まぁいいとりあえず俺はあの女に一言言わなきゃすまねぇ!

 名前は確かえぇっとあぁもう誰でもいい、とりあえず次目についた女をぶっ殺す。


男はブツブツと言いながら奥の個室に入り席に着いた。


そして数秒後奥の個室にまた1人。

怪しげなあるいは妖艶な雰囲気の女はこう呟く。

「やぁ、待たせたねぇ。そろそろ来る頃だと思ってたよ、『L・J』」


「クソったれ、次その名で呼んだら殺すぞババア」

俺を『L・J』って呼ぶやつは大勢いやがる、だが俺はこの名前が好きじゃねぇ、見ず知らずのどこの誰だかわかんねクソったれが勝手に付けていつの間にか広まった。

あぁムカついてきた、ちょっと探してぶち殺してやる。

「そんなに怒るんじゃないよ。あと私はババアじゃないピチピチ17歳だよ、次私の事をババアなんて言ったら—」

「わぁった、お互いフラットにいこうぜ、それに最初に喧嘩ふっかけてきたのはテメェだろうがシンリ様よぉ」

「あんたが大人しく話を聞いてればあんなに手荒な真似しなかったわ、こっちの方が被害が大きいのあんたのせいで!」


落ち着いたBARに似つかわしくない怒号はやがて静けさを取り戻した。


「あんた、このままだと死ぬよ」


 冒頭のセリフ回収、つまりこの出会いは劇的でもましてや衝撃的でもない釣りにかかった気分はどうだぁ?

っとまぁ俺もよく分からない事を言われてイライラしてた所だ。


シンリはさらに続けていう


「この国の均衡が危うい、あんたはの上にいる責任がなさ過ぎる」


「ふざけんなっ、ババ—シンリ!あれのせいで俺はどこ行っても敵だらけだ、勝手に祭り上げられて、勝手に付けられた名で責任もクソもあるか!」

まぁ悪くはないがな。


「でも、悪い気はしてないんでしょ」


おいおい心でも読めるのか?


「今のあんたは顔に出やすいのよ、さっきの話の続きをしましょう」


俺って意外とお茶目なところもあるじゃねぇか。さっきの話が思い出せねぇな—

えぇーっとあぁなんだっけ某印刷屋がなんとかって。


「あんたなら、知ってるとは思うけど私はある一定までの確定した未来が見える。」


そうこの女は未来予知の能力を持ってやがる、それ故に表の社会に滅多に顔を出さねぇ、誰でも未来は気になるからね!あぁ狙われるって点じゃ俺とシンリは似た者同士仲良しこよしって感じだが....たぶん会うのは初めてか2回目くらいのはずだ。


「私の視た未来はこう、あんたの名前がから消える。空の玉座を狙って争いが始まりこの国は地獄と化すわ」

 彼女は淡々とした口調を崩さず語った。


「そりゃ俺からすればラッキーってもんだろ?勝手に名前つけられて可愛いマイフェイスをくっつけやがって!消えるならせいせいするね」


「あんたの横にはもう1人青い魂の輝きが見える。その子が運命の鍵を握ってるかもしれない」


「そうか。そいつぁ難儀だなぁ俺はもう帰るぞー人生で1番の無駄な時間だったね。いやまぁから俺が消えるって未来を聴けただけ有意義だったかもな!」


「私の未来はもう確定している—青き魂との出会いはもう必然とも言える。例えあんたが望まなくても—」


男はシンリの言葉を最後まで聞かずBARを後にした。








 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る