男子たちは仲が良い?
「お待たせ、鈴木さん、奏」
「あ! 青葉くん!」
「お、和哉も居んじゃんか」
「ちっす」
青葉くんが、教室に帰ってきた。眞田くんと一緒に。
私と奏くんが駆け寄ると、すぐ笑顔になってこっちに視線を向けてくる。その顔を見たら、あれだけ聞きたかった告白の結果がどうでも良くなった。
青葉くん、泣いたんだ。目が赤く充血してる。でも、それをここに居る誰もが言い出さないから、私も黙っていよう。
それより、一緒に帰ろうね。今、私が彼にできることはそれしかない。
私たちは、カバンを持って教室を出た。
いつの間にか、廊下には誰もいない。4人だけで歩いていると、何だか別世界に来たみたい。遠くから聞こえる部活の声も、こうやって聞くと不思議なBGMに聞こえる。
「帰ろうか」
「うん! あ、今日ね、奏くんもうち来るって」
「……」
「……」
「……へえ、そうなんだ。奏くん」
「……あ」
「……?」
あれ、泣いてなかったかも。
私が、奏くんのことを話すと、一瞬寒気を覚えるような冷たい顔になった。でも、すぐにいつもの優しい青葉くんに戻ったわ。なんだったんだろう?
「青葉、気持ちはわかっけど怖い」
「ごめん、つい」
「……さすが、セイラの息子」
「奏くんどうしたの? 一緒に帰ろうね」
「さ、五月くん、別に、深い意味は」
「お前、マジで余裕ないな」
「後で殺す」
「ヒッ」
「……青葉ってやっぱ腹黒いわ」
「……?」
良く聞こえないけど、男子同士でお話ししてる。仲良いなあ。
男子の友情って、女子とはまた違った雰囲気があって良いよね。キャピッとした感じじゃなくて、爽やかというかなんというか。笑顔が見てるだけで……あれ? みんな笑ってはいないや。本当、何の話してるんだろう?
あ! もしかして……。
「……眞田くんもうち来る? 結構歩くけど、うちの近くに地下鉄あるから帰りは楽だと思うし」
「へ!? あ、え?」
「妹と弟ともう1人うるさいのいるけど、それでもよければ夕飯食べていってよ」
「……あ、えっと」
「……? 遠慮しなくて良いよ。青葉くんも奏くんも来るし」
眞田くんもうちで遊びたかったのかと思ったけど、違ったかな。なんか、青葉くんの方チラチラ見てるわ。
にしても、初めての人を家に誘うって結構緊張するよね。押し付けがましくなってないかなとか、変に気を使われてないかなとか。予定あったら、誘ったの申し訳ないなとかね。
「和哉、来いよ。お前が来ないと、オレはこいつに殴り殺される」
「え、奏くん殺されるの? ドラマの話?」
「お、おう。そうなんだよ。今度のドラマ、キッチンで殴殺される役やるんだけどさあ」
「そうなんだ。うちに大きめの中華鍋あるから、演技の練習する時は使ってね!」
……あれ、余計だったかな。
私がそう発言すると、奏くんと眞田くんの顔色が一気に土色になっちゃった。
1人、青葉くんだけは何だか嬉しそうな顔してるけど。
もしかして、中華鍋振りたいとか? 男子って、こういう大きな調理器具好きだよね。要もパパもなぜか好きなのよ。
「……和哉、お願いだ来てくれ」
「……行きます。行かせていただきます」
「無理には良いわよ。予定優先してね」
「予定はない、けど……」
「なら、決定! 今日の夕飯は、シーフードグラタンとサラダ、あと、ミネストローネだよ!」
「五月の好きなやつじゃん」
「リクエストしたんだ」
うん! 今日の夕飯は、賑やかになりそうね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます