終わるかどうかの瀬戸際!
「……終わらない」
4限終わり。
私は、日本史のノートを開いて絶望していた。
10分休みが3回あって、やっと10ページ分の用語集の写しが終わったところ。こんなスピードじゃ、絶対に終わらない!でも、授業中にはやりたくないんだよね。
あと、用語集の写しが6ページに、強敵の年表作成……。昼休み使えば終わるかな。
「梓〜、終わりそう?」
「宿題、忘れたんだって?ドンマイ」
「でも、6限までだからまだ時間あるでしょ」
「見せてあげればすぐ終わる宿題だったらよかったのにねえ……」
時間の計算をしているところに、お弁当を持ったマリたちがやってきた。どうやら彼女から宿題忘れを聞いたようで、ふみかや詩織、由利ちゃんが同情の視線を送ってくる。
「うーん、ギリギリ終わるかなってところ。でも、お昼はパス」
「だよね……。残念」
「でも、今日放課後は行けるっしょ?」
「行ける行ける!昼頑張る!」
「がんばれ〜。応援するために、梓のお弁当食べといてあげる!」
「マリ、それ応援になってない」
「え、だってもったいない!」
「あはは、マリらしい。あげないわよ、食べながらやるもの」
今日も交換するつもりだったのかな?
マリは、私の返答を聞くとなんだかしょぼくれている。こう言うところ、可愛いのよね。
「じゃあ、私たちは食堂に行くね」
「わかった。本当、ごめん」
「明日は一緒に食べようね」
マリたちを見送った私は、用語集を開いた。
写しが終わったら、年表作成は図書室でやろうかな。ここだと、みんなおしゃべりしてるから気が散りそう。
「よし!」
そうやって気合を入れると、シャーペンを握りしめる。これ、マリと一緒に昨年の校外学習の時に買ったやつなの。私が青で、マリがピンク。
これを握ると、なんだかやる気が出るの。マリは中のバネを壊したらしく、もう使ってないみたいだけど。
いやいや、今はそんなことよりも宿題!
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