リディアのチート

 リディア視点


 ジンの話が終わってから、私の話をする事になったわ。


 既に話していた事もあるけど、私が魔法特化で、どのスキル系統にデメリットを抱えているか等を伝える事にしたの。


 EOSのスキル系統は


 ① 武器戦闘


 ② 盾術


 ③ 軽装


 ④ 重装


 ⑤ 弓


 ⑥ 隠密


 ⑦ スリ


 ⑧ 解錠


 ⑨ 鍛冶


 ⑩ 錬金術


 ⑪ 付与術


 ⑫ 話術


 ⑬ 商人


 ⑭ 攻撃魔法


 ⑮ 支援魔法


 ⑯ 生命魔法


 ⑰ 暗黒魔法

 

 ⑱ 召喚魔法


 の十八種類。


 私は魔法特化で、攻撃魔法以下の魔法関係にはメリットがあるの。


 中でも中級攻撃魔法には特にメリットがあるわね。


 もっとも、この世界で魔法使い用の装備が手に入らないから、魔法中心という訳にはいかなくなっているのよね。



 武器戦闘・盾術・重装・スリ・解錠・鍛冶に最大深度でデメリットを持っていて、これらのスキル系統に関係する行動は殆ど使えないと思うわ。



 隠密と弓はデメリットがあったけど、レベルアップ時のパークを消費してデメリットを打ち消したの。

 今では若干のボーナスも付いているわね。


 軽装・錬金術・付与術・話術・商人にはメリットもデメリットも無いわ。



 ジンと特化のメリット・デメリットをきちんと伝えたの。



 「私、接近戦は本当に出来ないわ。一人だった時にダガー使った事もあるけど、ダメージが小さいとか以前に振るスピードが凄く遅いのよ」


 「あ、武器戦闘にデメリット付けると武器のスイング速度も遅くなるんだったっけ?」


 「うん。私、接近戦は中級攻撃魔法のマナブラストで対応するつもりだったから深度最大にしちゃったのよ。

 筋力も初期装備の革鎧と狩猟弓がギリギリ扱えるレベルだから、武器戦闘と盾術はバッサリ捨てたの。

 EOSの装備品が手に入らないから、魔法中心という訳にもいかなくなってるし……」


 「魔法特化じゃ無くて万能タイプにしとけば良かったってか?

 そもそもゲームアバターで異世界転移なんて想定出来る訳無いから気にしてもしょうがないし……

 選んだ特性の『天性の魔法の才』は大当たりだよ。」


 「うん。私も『天性の魔法の才』は大当たりだと思う。魔法特化にしなかったら、この特性は選ばなかったと思うから、結果良かったのかしら?」


 「良かったんだと思うよ。仮にリディアが接近戦出来ても、リディアに怪我して欲しく無いから俺が前に出たと思うから。」


       ・

       ・

       ・


 「あら?『俺が体張って守ってやる』って口説いてくれてるのかしら?」


 ふぅ、私頑張った。攻められたわよ、ね?



 「あ、うん。その、ほら俺って水飲めば怪我治るからダメージ受けるなら俺の方がいいし……」



 「うふふ、私もセルフヒールで怪我治せるし、ヒールでジンの怪我も治せるんだけど、大人しくジンの背に守られておくわ。」


 うん。私攻められた。

 ジンたら視線外しちゃってカワイイわ。  

 

 そうなのよね、ジンは水飲むと怪我治るから、魔法で怪我を治す聖女プレイは出来ないのよね。もちろんジンに怪我なんてして欲しく無いんだけどさ。




 「リディアのスキル系統のデメリットは理解した。そのカテゴリーは俺がカバーするよ。


 で、魔法なんだけど支援魔法をメインに伸ばして欲しいかな。


 倉庫がアンロックされるまでは、攻撃魔法も大事だけど、倉庫アンロックしたらリディアも銃がメインになると思うからね。」

 


 「うん。私も銃を使わせて貰えるんだったら、攻撃魔法にこだわる必要も無いわよね。

 EOSではフレーバー扱いだったけど、この世界だと支援魔法の価値が高いわよね。」


 「そうなんだよな。EOSだと錬金術で作ったポーションで事足りてたけど、植生が違うこの世界だと錬金術が死にスキルになる可能性が高いからね。


 他にも材料が揃わないだろう付与術も死にスキルになる可能性が高いと思う。


 「うん。私もその二つは死にスキルな気がするわ。

 専用の加工台もこの世界に無いだろうし、加工台無しで作成するパークを取るにしてもそのパークを取れるレベルまでスキル伸ばせないと思うわ。」


 「今後スニークからの射撃が中心になると思うから、支援魔法の『消音』とか凄く役立つと思うんだ。銃のサイレンサーも実際はサプレッサーで音を小さくしてるだけだから。」


 「『消音』ね。支援魔法の中級で自分以外を対象に出来る『消音』があるから、支援魔法を50まで伸ばせばジンにもかけられるわ。

 それだと『魔法静音化』から『魔法消音化』のパークも取った方がいいかしら?」


 「そのパークは早めに取った方がいいと思う。宿でも魔法の熟練度上げられるようになるからね。」


 「そ、そうよね。宿でも魔法使えるようになった方がいいわよね。」





 うん。追い風吹いてるわね。



 目標は支援魔法を75まで上げて、ジンに『恋人との抱擁』のボーナスにバフが付く『エンハンスドラバーズ』を掛けられるようになる事ね。


 支援魔法50で対象が自分の『エンハンスドラバーズ』もあるけど、ジンに掛けてみたいわよね。



 その後、状態異常等を回復出来る生命魔法の系統も意識して上げていく事になったわ。






 でもアレよね。魔法特化で支援魔法メインのキャラビルドなんて元の世界の掲示板に書いたら「正気の沙汰じゃない」とか笑われると思うけど


 EOSじゃない異世界でSOEのアバターとのコンボだと支援魔法メインが最適解よね。



 EOSのキャラビルドに関してのホームページとかスレッドとかいろいろあったけど、SOEのアバターとバディを組むなんて絶対に想定して無いわよね。


 自然と笑いがこみ上げてきて、魔法特化のネタキャラだとどこかで自分を卑下していた気持ちが消えていったわ。



 私の笑みに気づいたジンが

 「どうしたの?」

 と顔を覗き込んできたわ。



 「私の最大のチートってジンと出逢えた事じゃないかしら?」


 飛びっきりの笑顔で答えたわ。

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