いたずら小僧


 ジン視点


 魔導具と水の検証を終えて、リディアとスキル系統についての話をする事にした。




 SOE7のスキル系統は、


 ①アンアームド(格闘)


 ②ミーリーウェポン(接近戦武器)


 ③シューティング(実弾射撃武器)


 ④エネルギーウェポン(レーザー等)


 ⑤エクスプローシブ(爆発物)


 ⑥スニーク(隠密)


 ⑦リペア


 ⑧サイエンス


 ⑨ロックピック(解錠)


 ⑩ピックポケット(スリ)


 ⑪スピーチ


 ⑫トレード


 ⑬サバイバル


 の十三種類。



 レベルアップ時にスキルポイントを振り分けるシステムのSOE7では、ダウンロードコンテンツが未導入だと、レベルキャップの関係で全てのスキル系統を十分に伸ばす事は出来ない。




 通常のプレイでは、接近戦はアンアームドかミーリーウェポンのどちらかを選んで伸ばしたり、遠距離はシューティングかエネルギーウェポンの選択と成りやすい。


 もちろん初期は入手出来る銃器と弾薬の関係でシューティング一択となるのだが、最終的なメインをエネルギーウェポンにするかどうか?という選択からエネルギーウェポンのスキルを伸ばしたりもした。


 ダウンロードコンテンツを導入した後なら無理なくシューティングとエネルギーウェポンの両方を最高まで伸ばせたのだが、ダウンロードコンテンツが無かった時にはこの選択が頭を悩ましていた。



 過去作ではスモールガン、ビッグガンというカテゴリー分けもあったが、SOE7では武器に必要筋力のパラメーターが付きそれを満たしていないと命中等にマイナス修正を受ける仕様となっている。





 スキル系統の中には、サバイバルのようにフレーバー的なスキル系統もあり、決してゲームバランスが良いゲームでは無かった。




 SOE7はゲームのシステムを使った「ゴッコ遊び」という側面の強いゲームであった。




 「SOEのスキル系統についてだけど、リディアも気付いた事があったら伝えて欲しい。」




 「現状で使っているスキル系統は、ミーリーウェポンとシューティング、スニークとサバイバルかな。


 スピーチとトレードは使っているつもりだけど、言葉の関係でどうなっているか判らない。


 で、この世界ではサイエンスは完全に死にスキルだと思うし、ピックポケットとロックピックは使いたいとは思わない。」


 「そうね、私もスリと解錠は使いたいと思わないけど、SOEだとピックポケットで『いたずら小僧』があるわよね。」




 『いたずら小僧』とはピックポケットで相手にバンドグレネード等の爆発物をスリ渡す事で即死レベルの大ダメージを与えるシステムである。


 爆発物のスリ渡しが成功すると『いたずら小僧』のトロフィーが手に入り、ピックポケットにボーナスが付き、以後の『いたずら小僧』時のダメージも増す。


 『いたずら小僧』の成功回数が増えると『いたずら小僧+』『いたずら小僧++』となりボーナスも増える。


 プレイスタイルにもよるが、ボスクラスのエネミーすら即死させる事が出来るある意味禁じ手的なトロフィーでもある。





 「あ、『いたずら小僧』か……


 アレ面白いんだけど、この世界だとどうなんだろ?


 そもそもピックポケットを成功させる位にスキルを伸ばせないと思うから……考えなくてもいいんじゃないかな?」


 「……そうね、ピックポケットのスキルを伸ばすのに、この世界の人からスリをするのは考えものよね……」


 「後、リペアだけど二個一修理が出来たから、繰り返せればリペアのスキルも上がると思う。


 レベルアップ時にポイントを振ってスキルを伸ばすんじゃ無くて実際に使ったスキルが伸びるみたいだからね。


 このあたりはEOSに準拠した感じなのかな?」



 「そうね、私はEOSのアバターだから使ったスキルが伸びるのが自然なんだけど、ゲームのシステムよりもこの世界のシステムに沿った感じでEOS的なスキルの成長になったんじゃないかしら?」


 「うん、俺もそう感じてる。

 あと、接近戦だけど現実になったこの世界だと、ゲームと違って間合いが凄く大切だから、アンアームドは殆ど使えないと思う。剣の間合いに踏み込んでパンチとかしたくないからね。」


 「本当にゲームと違って間合いが大切よね……そう考えるとジンの銃って本当にチートよね」


 「あはは、早く倉庫アンロックして甲斐性を持つよ」


 「あら、今でも充分に甲斐性あるわよ。

 ジンに会う前は本当に心細かったんだから。」

 

 「あはは、ありがと。」



 その後、スキルの成長に繋がる行動を意識しながらレベルアップを目指そうという話になった。



********************


 リディア視点


 そっかぁ、ジンは「甲斐性」にこだわってたのね。


 私には今でも充分なんだけど、ジンの自信に繋がる事だから、本人にしかどうにも出来ない事よね。


 それまで私に手を出さない気かしら?


 まあレベルアップして倉庫アンロックという具体的なゴールがあるからすぐよね。


 それまで「今のジンで充分よ」というような言葉がけをして、自信を持って持ってもらう事位かしら?


 

 ジンの倉庫アンロックが待ち遠しいわね。





 それと「いたずら小僧」ね……


 うん。追い風吹いてるわ。


 私、主人公で間違いない。


 主人公に都合良く話が進む主人公補正入りまくってるわね。


 

 眠っている私にジンが「気付かれないように」いろいろする。には睡眠の検証だけだと弱いかも?って思ってたけどピックポケットの訓練にもなるのよね。



 倉庫アンロックした後でもなかなか手を出して来なかったら、スキルの訓練の名目でいけるわね。


 ジンが耐えられなくなって、そのまま手を出して来たら、私『いたずら小僧』されちゃうのかしら?


 うん。ジンが私に『いたずら小僧』するように誘導するのもアリよね。




 する方、される方、どっちが『いたずら小僧』か分からない思考をするリディアであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る