はじめてのまどうぐ

 ジン視点


 時間設定をした睡眠から目覚める。


 時間設定の途中で起こされるよりも寝起きはいい。


 昨夜の検証は起きがけにリディアが視界入ったり……柔らかいモノが当たってたりしたから、起きてすぐの意識の覚醒状態については、システムの検証にはならなかったと思う。


 ただこの事はリディアには伝えないでおこう……



 リディアも目覚める。


 朝の挨拶をして今日の予定の再確認。


 今日は雑貨屋等を見て回る予定。


 魔導具を扱っている店はリファールの街にはなく、領都まで行かないとないらしいのだが、中古なら魔導具でも雑貨屋とかにあるかもしれない。という事で散策を兼ねての買い物だ。


 リディアはこの街をあまり散策してないからいい機会だと思う。



 散策する上での懸念は、リディアが目をつけられて、トラブルに発展しないか?という事。


 戦化粧をしていても美人だから。


 俺と一緒にいれば一人の時よりは面倒には成りにくいと思うが、それでも注意は払っておいた方がいい。


 「戦化粧だけじゃなくフードもかぶっておく?」


 「そうね、面倒事は避けたいから、そうするわ」


 「フードで目立ったとしても、『怪しい』という目立ち方だから、美人すぎる目立ちかたよりは、厄介事は少ないだろうからね」


 「『美人すぎる』って思ってくれてるのね、嬉しいわ」


 とリディアがからかうような笑みを浮かべる。


 ん、なんかリディアを直視出来ない。


 「あ、ああ、そうだと思うよ」


 と視線をそらす。



 朝食をとってから街へ繰り出す。


 俺は腰に剣を履いておく。


 武器が目に見える形であることで、避けられるトラブルもあるだろうから。


 雑貨屋を何軒か見て回る。


 拙い言葉でやり取りをして魔導具があるかを聞いた。


 移動中もリディアに変に注目する人がいないか注意を払う。



 何軒か回った所で魔導具を見つけた。


 中古品だが明かりの魔導具と水筒の魔導具。


 明かりの魔導具は魔石を入れると明かりが灯るモノ。


 水筒の魔導具は2リッターのペットボトルより少し小さい感じで、下の部分に魔石を入れると水が生じるモノ。


 上部が狭くなっているわけではなく、筒のようになっていて木で蓋をするようなモノ。


 オンオフは魔石の取り外しで行い、材質は金属製。


 肝心の値段は金貨3枚とのこと。


 拙い言葉で値切って金貨2 枚と銀貨6枚で購入。

 (安く買うことよりも、トレードスキルの上昇を意識した)


 アリシアさんから聞いていた相場の値段から外れていない。


 偽装用の皮袋からお金を取り出す振りをしてインベントリから支払う。



 リディアと共に宿に戻る。


 早速水筒を試す事にする。


 宿の裏の井戸で水筒を洗ってから試してみる。


 ゴブリンの魔石を入れると、ゆっくりと水が生じる。


 七分目ほど入った所で魔石を取り出す。


 インベントリから空のボトルを取り出し、水を入れてからインベントリにしまう。


 インベントリ内での表記は「水」。


 「インベントリ内では水となっている。リディアのインベントリではどう表記されるかな?」


 リディアのインベントリに入れてもらう。


 「私の方だと『水入りのボトル』と表記されるわね」



 この表記の違いは、基本的に「水」がボトル入りで存在するSOEと「水」を水袋で汲むEOSの違いだと思う。



 優先順位は低いが、このあたりのシステムの違いも検証してみてもいいかも知れない。



 インベントリに入れる事で、魔導具で生じた「水」がアバターにとって害が無いか?等をチェックしてみるつもりだったけど新たなシステム違いを発見した。


 試しに俺のインベントリから「きれいな水」となっている未開封のボトルを取り出し、リディアのインベントリに入れてもらう。


 リディアのインベントリでは「水入りのボトル」と表記されるとの事。


 ボトルに入りきらなかったか「水」を二人で飲んでみる。


 味は普通。



 インベントリで大量の水を持ち運べる俺たちにはそれほど有り難くは無いが、魔石を使って「水」を生み出す魔導具を手に入れたわけだ。



 ゲームのシステムメッセージ風の口調で


 「ジンはヒールポーションを生み出す魔導具を手に入れた」


 とおどけてみる。


 うん俺、水飲むとHP回復するんだ。


 高い魔導具だけどこれが理由で欲しかったんだよね。



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https://kakuyomu.jp/works/1177354054920985828

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