街へ戻った。
ジン視点
拠点を後にし、街へ向かってダッシュ&ラン。
途中で獲物になる魔物を見かけた場合は狩るが、基本移動を重視。
しかし一度リディアに起こされた時は焦った。
意識がしっかりと覚醒しておらず、自分がアバターであると同時にプレーヤーであるというメタ意識ではなく、アバターに飲まれた意識でいたため、目覚めた時に視界に入ったリディアに見惚れてしまった。
このメタ意識でいる時は「賢者モード」に近い感覚だから、今後リディアと共に行動するにあたって今まで以上に意識してメタ意識でいるようにしないと。
メタ意識でいないと、リディアの信頼を裏切ってしまう事になると容易に想像できる。
リディアはこの世界に来てから、男性から襲われかけたり、嫌な事が多かったらしいので、俺が信頼を裏切ってしまうと深い傷をつけてしまうだろう。
街にある程度近づいてから、背負子を背負い、リディアに戦化粧を付けてもらう。
背負った獲物の量は、アリシアさんからの話で推測した二人で三日間狩りをした場合の獲物の量位。
それ以上を狩ったが、今はインベントリにしまったままにする。
グラスウルフとホーンラビットの毛皮が主で、他に魔石等。
グラスウルフの肉はあまり高くないらしく、狩人は売るよりも、罠や獲物寄せなどに使うらしい。
街用の偽装のチェックをしてから、(革鎧の下は一応トライバルからこの世界の服にしておいた)
街に向かって歩いて向かう。
街の門はギルドカードで問題なく通過。その足でギルドに向かい獲物を換金。
まだ、日もある時間なのでギルドにはあまり人がいない。(そうなるように時間調整した)
二人合わせて銀貨で15枚と銅貨3枚。特に多すぎるという事も無い様子。
宿に向かい食事付きで二人部屋を三泊分、銀貨3枚と銅貨3枚を払う。
(アリシアさんやガティアスさんからの話では獲物が十分だった場合、狩から戻ると二・三日は休むらしい)
部屋は八畳より少し狭い位で、ベッドが二つと簡素な家具がある。
部屋に入った後リディアが身体を拭きたいとの事。
アバターの身体はほとんど汚れないが、何日も身体を清めていないから気になるのだろう。
宿にたらいとお湯を頼みリディアに身体を清めている間、部屋の外に出ていた方がいいかと聞いたが、部屋にいて欲しいとの事。
部屋の外に出るのは不自然だからと言うが、一人でいた時に不安だったからだろう。
部屋にあったあまり使われていない様子の衝立を立てて、その向こうでリディアが身体を清める。
俺は意識してメタ意識になり、自分を中心として世界が創られている感覚のより深いメタ意識まで意識を誘導し、賢者モードでいるように努める。
この世界の人は、この意識だと薄く感じる感覚が強くなるのだが、リディアにはこの意識でも存在を強く感じるんだ。
リディアが視界に入らなければ、賢者モード全開で居られる。
今は目隠しの衝立があるから、音は聞こえるが、賢者モードで居られている。
うん、メタ意識で居続ける事に努力した。
リディアが身体を拭き終わった後、俺も身体を拭く事になり、お湯の追加を頼む。
身体を清めた後、リディアと話をした。
俺が体感しているメタ意識の事を話した。(賢者モードの事は触れなかった)
自分がアバターであると同時にプレーヤーであるというメタ意識の事。
そこから一歩踏み込んだ、自分を中心に世界が創られているという感覚の、より深いメタ意識の事。
その深いメタ意識になるとプレーヤーは「中の人」ですらなく「意志」ではないか?という事。
そして、その「意志」には外界中心の視点の「しなければならない」(Should)ではなく自分中心の視点の「したい」(Will)が大切ではないか?という事。
自分を中心に世界が創られているという感覚は、SOEとEOSに共通のエンジンのプレーヤーアバターの位置情報を元に地形データを参照して、プレーヤーに世界があるようにCGで見せている事とリンクしていないか?という事。
この世界の人が薄く感じるのは、NPCだからなのか、それともこの世界のアバターに意識が飲まれていて、メタ意識がある事自体に気づいていないからなのか?
等を話した。
この世界の人が薄く感じるのは、リディアも同じでNPCだからと捉えると問題が生じそうだから、メタ意識に気づいていないからだというスタンスでいよう。という事になった。
「意志」についてだが、リディアは俺が深く考え過ぎではないか?と言う。
「ジンが言う『意志』って何かを食べたいと思った時に、必要な栄養素が〇〇だから食べたいと思う。というのと同じように感じるわ。
『食べたい』と思ったら、その理由なんて考えないで『食べたい』訳よね。
あんまり深く考え過ぎないで『したい』という思いに素直になればいいんじゃないかな?」
リディアのこの言葉を聞いて、俺は考え過ぎていたかも知れないと思った。理屈で考え過ぎるクセは自覚しているから。
宿の食堂で箸を使い二人で食事を取った。
部屋で「起きても構わない」という思いで、睡眠時の身体に刺激を与えた場合にどうなるか?の検証をする。
俺から横になり三時間の睡眠の設定をして、意識を手放した。
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ジンは分析型で、下から積み上げていくタイプで積み上げた所までは再現性が高いです。
リディアは直感型で、いきなり答えにたどり着く事もあるタイプ。間が飛ぶので再現性に欠けます。
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