がーる?の中の人

 リディアの中の人視点です。


 敵味方から発せられる発砲炎、飛び交うレーザー光。


 それらを尻目にダッシュを交えながらサブマシンガンを片手に戦場を走る。



 ここは、SOE7のオンラインバトルフィールド。


 そのバトルフィールド内を走り回りながら、彼女はスナイパーライフルから、バトルライフルに持ち変えたエネミーに近づきながら発砲。


 手動でのバースト射撃。


 命中弾を与えるが、サブマシンガンの弾薬では、さほどのダメージを与えられない。


 しかし、軽微なダメージでも一瞬の怯みだけで彼女には十分。


 接近戦で使用する回避モーションとダッシュを交えながらエネミーに接近。


 バトルライフルの銃口が向くが、変則的な動きで狙いを定めさせない。


 バトルライフルから連続して発砲。


 被弾は無い。


 バトルライフルの銃弾・7.62弾は直撃すれば、強化されたアバターでもかなりのダメージ。ヘッドショットならなおさら。


 しかし高速移動している的に当てるのは、セミオート射撃では至難の技。


 「当たらなければ、どうという事もない。


ってね」


 サブマシンガンで牽制の銃弾を浴びせながら、接近。



 至近距離から、ショートカット登録をしているターボを使用。


 (ターボとはSOE7で登場する薬物。時間加速のシステムが使用出来ないオンライン上で使用できる、アバターの加速アイテム)



 何度も練習した動きで、エネミーの斜め後ろに移動。


 移動しながらサブマシンガンから交換した装備、ソードオフショットガンで、エネミーの頭部に向け二発発砲。



 ヘッドショットでクリィティカルが出た様子で、エネミーは死亡。



 フルオート射撃で牽制し、至近距離からのショットガンでのヘッドショットが彼女、いや彼女の中の人のバトルスタイル。


 装備持ち変えのラグの少ない片手武器のソードオフショットガンを多用するという変則的なスタイル。



 バヨネット付きのアサルトライフルに装備を変える。


 ボディーに着弾。ダメージはあるが、それほどでもない。


 的を絞らせないよう、走りながら発砲炎を探す。


 居た。発砲音の少なさと、受けたダメージから、マークスマンカービンらしい。


 アサルトライフルで射撃しながら、変則的な軌道で近づく。


 エネミーはあまり移動していない。手にした銃はSKSカービンのマークスマン仕様。



 「典型的なバッツ野郎ね、SKSマークスマンなのは工夫を感じるけど……」



 至近距離まで近づく。


 エネミーは彼女がバヨネット付きのアサルトライフルを装備している事を見て、防御の姿勢を見せる。



 ターボを使用して、斜め後ろへ移動。


 持ち変えたソードオフショットガンで、至近距離からヘッドショット。



 二発の銃弾でエネミーは死亡。



 今回のバトルは、味方の勝利らしい。


 しかし、ターボの中毒になってしまった。



 目の前のエネミーの死体に向かって、お辞儀のモーションを取る。


 今回は敵だったが、次回以降で味方になるかも知れないから。



 味方の勝利が確定し、オンライン接続を切る。


 アバターはSOE7内の拠点に戻る。




 拠点内の倉庫から、中毒回復用のアイテムを取り出し使用。




 「結構な弾薬を使っちゃったな、こりゃ1stキャラで弾薬集めしないと」



 そうSOE7ではオンライン対戦でも弾薬等を消費するのである。




 ゲーム後半ではそれほど影響が無いとは言え、元々弾薬に制限を感じる世界なので、オンライン対戦で弾薬を使いまくってしまうと、その弾薬をゲーム内で集める必要がある。



 1stキャラは、比較的、商人やスカベンジャーのパークを取得している事が多いので、弾薬集めをそのキャラで行い、オンラインはそれ用のキャラで、という事が多い。


 もちろん1stキャラでオンライン対戦している人も多くはいる。



 このシステムが有るため、同一アカウントでアイテムを共有出来る倉庫システムが導入された。



 一部には弾薬集めのスカベンジプレイが面白くなった。


 という声もある。



 「フルオート射撃から接近して、ショットガンでの、ヘッドショット。いい感じ。

 ん、このスタイル、EOSでも出来るんじゃない?」



 SOEを終了して、PCでネット上のデータを参照。


 こんな事を言いながら、PCを操作する女性。


 名は佐伯涼子。都内の会社でOLをしている。アラサーの女性である。



 アラサーと言った方が実年齢を言うより得になるお年頃。



 20代中頃までは、異性にチヤホヤされる事もあったが、最近ではヴェーダのゲームにドはまり中で異性関係は完全休眠中。



 このままだと、喪女のパークを取得してしまうかも知れない。




 「うん、EOSでもいける」


 ネットのサイトを参照しながら、そんな事を口にだす。



 EOS8を起動して、新規アバターを作成。



 能力値はこんな感じで


 特性は魔法特化で、初期パークは天性の魔法の才能。と


 アバターの外見は1stキャラと同じでいいか。MOD入れて気合いで作った外見だし。



 アバター名はリディア。と



 チュートリアルを終え転送中……


 佐伯涼子は意識を失った。





※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 ほぼ同じ頃。



 オンライン対戦で自分を倒したアバターを画面上で見ながら


 「フルオート射撃で牽制入れながら、接近して、ショットガンでヘッドショット……

 すげーな、ターボを移動と装備切り替えに使うのか……」


 「プレーヤースキルはかなり高いな。ん、倒した相手に挨拶するのね。でもこの女性アバターは……中の人絶対、男だろう」



 そう、ヴェーダのゲームで男性プレイヤーが美人の女性アバターを作ってプレイするのはある意味基本なのである。


 外見に関してのMOD入れて、装備品も外見MODで弄って扇情的なグラフィックでプレイする。という所までがデフォルト。



 「あのプレイスタイルは参考になるな、マネしてみるか……」


 「あ、パークの関係で新規アバター作った方がいいか。取って無いアイテムもあるし。新規アバターでいきますか。」



 SOE7を再起動して新規アバター作成。




 アバター外見は以前のアバターからコピー


 で、能力値はこんな感じ、と。


 アバター名は「ジン」で


 ゲームスタート。と




 そして意識を失う。



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オンライン対戦では、回復アイテム込みで薬品は3つまでしか持ち込めません。

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