街に向かって

 箱を埋めてから、襲撃された荷馬車へ向かう。


 日が昇る前に、道の脇に穴を掘って遺体を埋める。


 野犬に掘り返されないように、深く穴を掘るらしいけど、深く掘るのは大変だから浅くしか掘らなかった。


 野犬に掘り返されるとか以前に狼に襲われてたし。埋葬するだけいいじゃん、と。



 木の枝で墓標らしきモノを作り、そこに護衛のプレートをかけておく。誰かが回収して届けるだろう、と。届けた場合幾ばくかの謝礼が出るんじゃないかなと思う。


 俺は荷馬車と遺体からモノを漁ったので、無関係を貫きたい。



 ダッシュを交えながら道を走る。


 夜が白み始める。



 道から少しはずれ、朝日を浴びながら焚き火を起こす。


 木の枝を串にして、馬の肉に塩を付けて直火で焼く。


 十分に火が通ってから食べる。


 美味い。久しぶりに味覚を楽しんだ。



 バックパックに水筒等の荷物。


 魔石を分けて小袋にいれておく。


 グラスウルフの皮を入れた袋。



 袋を使って売るモノを小分けにし、ストレージへ。目立たないように少量ずつ売れるように、とりあえず分けておく。


 バックパックは背負っておく。ダガーも腰に着けておく。


 街が見えたら弓を背負って矢筒を装備すればいいだろう。ん、手斧も装備しといた方がいいかな。


 マントとフード付きのマントはストレージからどちらでも装備出来るように準備しておく。


 試しに装備もしてみる。


 こんな感じで偽装の準備をして、街に向かってダッシュ&ラン。


 徹夜で少しハイになっている。


 しばらく走ると、遠くにこちらへ向かって歩いてくる人影が見えた。


 フード付きマントを装備して、単弓を左手に。マント着けると弓を背負えないのね。



 現状顔を見られたくないから、フード優先で。


 弓もインベントリにしまっちゃえ。


 疲れた旅人風でよいでしょう。


 歩いて進む。



 三人のグループが近づいてくる。


 「ハイ」とか「こんにちは」とか敵意が無いことを示す言葉を発してくる。


 俺も「こんにちは」と敵意が無いことを示す。


 言葉が通じた事に感動しながら、道を譲ってすれ違う。


 三人は軽く武装していた。槍を持っているのが二人、弓を背負っているのが一人。腰には小剣だろうか。防具も少し。


 あまりジロジロと見れなかったので、細かくはわからないが、特別な人しか武装してはいけないコミュニティでは無いことが判った。



 しばらく歩いて進む。


 後ろを振り向いて、すれ違った三人が視界から消えたのを確認してから、走りだす。



 言葉は通じる。武装もOK。槍を持っていた方がいいか、弓の方がいいか?フードは逆に目立たないか?とか



 襲撃された荷馬車があるから、その荷物を回収したんじゃないか?と思われるのを避けたい。



 この世界だとああいったモノは手に入れたもの勝ち。ってルールだろうけど、違う場合もある。


 目立たないに越したことはない。



 ん、フードは止めて、弓を背負おう。矢筒も装備して、狩人っぽくしとこう。



 感知するよう意識して、ダッシュ&ラン。


 しばらく進むと丸太で作られた門と木製の壁が遠くに見えてきた。


 道はその門の前をかすめてそのまま伸びている。


 周囲を見渡して他に人が居ない事を確認して、スニーク状態になりかなり遠回りして、大きく弧をえがくように門の向こう側の道へ出るように進む。


 スニーク状態のため、時間がかかるが道の反対側から来たという体をとりたい。



 門のまわりに人影があるのがわかる。遠目なのでシルエットだけで、どんな格好をしてるかはわからない。


 中腰で、音をたてないように進む。


 周囲にも気を配る。


 思いの外時間がかかったが、門から反対側の道に出た。周囲を見渡して、道に人影がないことを確認してから道を歩き出す。



 さて、門をくぐる時、どんな設定の話をしようか?この世界に飛ばされてきた。という正直な話はNGだから、上手い具合のカバーストーリーを考えなきゃ。幾つか案はあるけど、相手の対応もあるから。


 今のうちにグラスウルフの皮を幾つか入れた袋を出して肩に担いでおこう。



 SOEだとスピーチスキルだけど、大丈夫かな?


 それよりも、しばらく喋っていなかったからちゃんと喋れるかな?


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