無事に終わると思いましたか?
『太陽の聖水はね、太陽の光をより眩しくさせるの。だから肌荒れとか怖いしね。』
「だから昼間はあんまり外に出ないのよ。それに聖水なんてなくても、そこら辺の魔物ぐらい魔法でなんとかできるわ。」
良かった。なんとかテュアルンの話に繋げられたし、これで怪しまれはしない筈よね。
『なるほどね。でも、最近は吸血鬼みたいな強い魔物もいると聞くし、少し心配だな。』
「心配しなくても大丈夫ですわ。それにこの辺りは夜景の方が綺麗ですの。」
吸血鬼だからこそ見える世界がある。この街で一番高い建物から見る景色とか。
あの美しい景色は、サフィル王子様と一緒に見られたらなとか思うぐらい。
『それは知らなかったな。今度、その夜景の場所を教えてくれないかな?』
「お断りしますわ。」でも、だからこそ場所なんて教えられない。
羽の生えた吸血鬼の姿を見られない為にも。
『サフィル、それじゃあダメ。ちゃんとゼルトランテの気持ちを考えなきゃ。
ゼルトランテは一緒に見に行きたいと思ってるの。誘ってあげなきゃ。』
「ちょ…ちょっと!何を言ってるのよ!」『いいのいいの。それに、ゼルトランテも一人で寂しいとか言ってたじゃない。』
あぁもう!確かに寂しいわよ!だけど私が吸血鬼だとバレたら全員一緒に処刑されるのよ!
それにもうすぐ満月なのよ!もし満月の時に一緒になってしまったらどうするのよ!
『そうだったか。それなら今度の日曜日、一緒にその場所までどうかな?』
『それいいかも。今度の日曜日は満月だし、景色だって絶対ありだよね、ゼルトランテ。』
「え…、うん、まぁありかも。」心の中ではヤバいと思ってるけど、この雰囲気では話しづらい。
なんだかんだで話は行く方向に流されて、結局、二人でその景色を見に行く事になった。
絶対、大丈夫じゃないわよね?そんな事を考えたけどもう遅い。
とにかく、雲が月を隠してくれれば最悪の事態は防げる。その事に掛けるしかないわよね。
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