パーティーの主役は私です、何故か

慌てて静かにしてとテュアルンに訴えかけるがもう遅い。『サフィル、ゼルトランテが美味しいって!』


『本当か!?良かった、君は紅茶にこだわる人だと聞いていたから、少し不安だったんだよ。


さぁ、紅茶にお菓子、他にも沢山用意したからね。』「……どうも。」


ああもう!なんでみんな優しいのよ!


他のみんなも、『ゼルトランテって優しいのね。何時もツンツンしてるのに、どうもなんて言っちゃって。』とか言ってるし。


優しさが、辛い。吸血鬼の私と関わったら、不幸になるのは間違いない。


なのに、その事を話せないまま私は皆を騙している。あぁ、いつか普通に仲良く出来たらなぁ。


『どうしたの?』そんな私の暗い気持ちを読み取ったのか、テュアルンが話しかけてきた。


『もしかして、あの事、気にしてるの?』「そうね、あの事なら確かに気にしてるわ。でもいいのよ。」


『んもう、相変わらず後ろ向きなんだから……サフィル、ゼルトランテが一緒に紅茶を飲もうって!』


「ちょっと!」『いいの、それに貴女は幸せになるべきだもん。』


そんな事を言われ、辛い気持ちが少し軽くなった。


まぁ確かに、パーティーを楽しんだぐらいでは吸血鬼の正体がバレるなんて無いわよね。


~~~~~


王子様が私のそばにいて、一緒に紅茶を飲んでいる。しかも私の好みを見抜いて持って来てくれた紅茶。


そして今この場所は、テュアルンが私とサフィルを仲良くさせる為に開催したパーティー。


この時、私は幸せだった。悪役令嬢を演じる事を忘れられ、皆と仲良く出来たし、王子様の愛を感じられたから。


『そういえば、ゼルトランテは夜が好きなのかい?』そうサフィル王子様が言うまでは。


「……何故そう思うのかしら?」『何時も日傘をさしてるし、それに太陽の聖水も持ってないしね。』


ヤバイ、このまま詮索されれば吸血鬼の事がバレる!ええと、なんとか上手く言い訳を考えて……。


『ゼルトランテはね、肌が弱いのよ。』そんな時、テュアルンが私を助けてくれた。

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