悪役令嬢を演じたぐらいじゃ、悪役にはなれません!
パーティーには遅刻する事にした。悪役令嬢を演じる為にも、ここで好感度を下げとかないと。
本当ならこんな事したくないのだけど、皆が私と関わって処刑されるよりはまし。
だからワザと遅く、テュアルンの錬金術の店に来た。なのに中は、横断幕まで掲げて歓迎一色。
学園の皆が、『ごめんね~、準備が遅くなっちゃって。さぁ、楽しみましょう。』なんて言ってるし。
どうやらパーティーの準備が手間取って、開催時間も遅刻したみたい。
その結果、私はワザワザ準備が終わるまで外で待ってた聖人とまで言われてる。
……どうして?
おまけにサフィル王子様が近づいて、『折角のパーティーをお待たせして申し訳ございません。
お詫びの代わりに、とっておきの紅茶をご用意しました。』と言ってきた。
当然、私は見逃さない。王子様が持って来たのが、前々から飲んでみたいと思っていた紅茶だと。
しかも珍しいお菓子まで用意しちゃって、それが爽やかイケメンな王子様が運んでいる。
私の為にここまでしてくれるなんて、そんな王子様の親切を私は台無しにしようとした。
その事実に私は胸が締め付けられる様な気分になる。あぁ、私は何で吸血鬼に産まれたのかしら。
「とっておきの紅茶ね。それなら頂こうかしら、謝罪の代わりにね。」
そうドギツク話しながらも、心の中では謝罪の言葉でいっぱいだった。
~~~~~
それから私は紅茶を飲もうと椅子に座り、同時にテュアルンがやって来た。
『ねぇねぇ、それ紅茶?美味しそうだし、ちょっと私も飲んでいい?』相変わらずの仲良しさ。
小声で「言っておくけど、私と関わったらロクな事にならないと知ってるわよね。」と言うけれど、
彼女は『大丈夫、それより少しちょうだいね。』とまるで気にしない。
まぁ、彼女の気楽さに助けられてる面はあるけど、ちょっとは気にした方がいいんじゃないの?
もしも私の正体がバレたら、まとめて処刑されるのは間違いないし。
でも折角のパーティーなんだし、少しは気楽にした方がいいかもね。さて、それじゃあ一杯。
「……美味しい。」『あっ、美味しいと言った!?美味しいと言っちゃった!?』「あっ、ちょっと、声がデカい!」
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