錬金術師の友人は、何故か私の恋を応援する

「テュアルン、パーティーって何の話かしら?」学園の昼休み、私はテュアルンに聞いてみる。


『えっ!?なんで知ってるの!?んもう、内緒にしてって言ったのに。』


詳しく聞くと、私とサフィル王子を付き合わせる為のパーティーらしい。


サプライズの方が嬉しがるかな?とコッソリと準備していたとの事。


「あのね、貴女は私の秘密を知っているわよね。


それなら分かると思うけど、もし彼と付き合った後に秘密がバレたらどうするのよ。


貴女も王子様も私も、み~んな処刑されちゃうわよ。」


『大丈夫!あの王子様って優しいし、きっと貴女の秘密がバレても平気よ!』


「声がデカいわよ!はぁ、精々バレない様に祈る事ね。」『了~解。それじゃあ、パーティーでね。』


相変わらずの能天気さ。まぁ、その能天気さに救われてる感じはあるけど。


そもそも彼女に吸血鬼という秘密がバレたのも、その能天気さからだし。


彼女、聖水を持ち歩かない私に、『私の店の聖水は凄いのよ!』と掛けてきた。


『最近は吸血鬼みたいな魔物も多いの。そんな時はこれ、太陽の聖水よ!』


そう自信満々に話しながら。お陰で太陽の下を歩ける、デイウォーカーの私が日焼けしちゃったし。


しかも日焼けした様子を見られて正体がバレるし、物珍しがられて質問責めにあうし。


まぁでも、彼女が吸血鬼を怖がらなかったのは嬉しかった。


『本当はね、血を吸うだけの生き物が、何で処刑までされるのかな?なんて思ってたの。


私の店は錬金術の店だし、口では『吸血鬼を追い払うにはコレ!』なんて言ってたけどね。』


そう話す彼女の前では、両親以外で初めて本音で話せる気がした。


だからこそ、私は悪役令嬢を演じて彼女を遠ざけないといけない。


もしパーティーで私の正体がバレたら、親しい彼女も吸血鬼の仲間として処刑されるから。

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