第372話 悔い改めた男の最期

「俺たち夫婦は 

悪事を働いた!

その事は自覚している!


しかし全てには理由がある!

それは、この村の奴らが オレ達を煙たがり

のけ者にしたからだ!


俺たちが立ち直れるように導くだと?

誰がそんな事を頼んだ!

俺たちは 自分を変えようなど思わないし

余計なお世話だ!!


さぁ!オレ達を

牢に入れるなり 王都の役人に渡すなり

鞭を打つなり 拷問にかけるなり

好きに裁けばよいのだ!!!」

男は口を尖らせ

腹の底から罵声を浴びせていた


「葵ちゃん

あんたは良い子だ!

火事のあと パンを焼いて 

みんなに労いの言葉をかけ

とても親切にしてくれた・・感謝しているよ!


でもな 今は 子供が出る幕ではない

さぁ! 家に帰りなさい!

今から悪事を働いた夫婦に対して

報復をする事を

天におられる神も

許してくれるさ!!」


「待ってください!!

あと少しだけ 時間をください・・

私は 力のない 非力な子供だけど


彼らの為に 

お祈りしてあげたいの・・・」


そう言うと葵は

捕らえられた夫婦に近づいていった


すると男は 叫び

葵にめがけて ツバキを吐いた!


「クソガキが!

俺に近づくな!!!」


しかし葵は 怯む事なく

男に近づくと 優しい眼差しで

言葉をかけた・・・


「神様!どうか 

この方を憐れんでください!

彼は 自分が何をしているのか?

分からないのです・・


彼の心は 悪に支配され 真っ黒です・・

人の親切や 優しさなど

まるで理解できない 

心があまりにも荒んでしまっている


どうか お願いします!

彼らの心を 救ってあげてください!!!」

葵は 涙を流しながら 必死で祈った!


すると・・祈る葵の上に

天から 光が下るように見えた・・


そして葵が男性の額に 

自分の額を合わせると・・


男の様子が・・・

表情や柔らかくなり

悪に染まった心が 

浄化されていくようであった



「す・・すまない・・俺が悪かった・・

お嬢ちゃん こんな俺の為に 祈ってくれ ありが・・とう・・

リムラ村の人達の 親切を 仇でかえした

俺は何て 悪い事をしてしまったのだ!!


どうか どうか 赦してくれ・・・」

男は涙を流し 悔い改めているようだった


男が悔い改めをした瞬間

彼の妻が 絶叫すると!!

隠しもっていた ナイフを 

夫の胸に突き刺した!!!


「死ね!!!!!」


そして妻である女も 自害して

死んでしまった・・・・


「何て事を!!!!!」

村人達が 女を取り押さえたが 既に息絶えていた・・・


今回の事件は 

リムラ村に大きな傷跡を残した・・・


問題を起こした夫婦は 

村外れの墓地に埋葬された

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