第263話 第四神災 「疫病」

次の日

葵巫女はバラク王に使者を送った


「あなたは幾度も

私を欺き、約束を破りました!

起源の存在:神は怒っておられます!


もう一度言います!

私の民ルエラ民族を解放しなさい!

さもなくば重い疫病で

さらに苦しむ事になります!


私はカナンの地にいます!

助けが欲しくば

奴隷解放を約束する念書を

持参するように!!!」


バラク王は

葵巫女の手紙を受け取り

驚愕した!!


「重い疫病だと?

一体どのような・・・」


しかし疫病に関しては

我々の秘術の方が秀でている筈だ!

アポリュオン様より

授かりし『魔具プレイグ』は

他国に疫病を流行らせ

死の灰を降らせた実績がある!


魔具プレイグがあれば

巫女に対抗できる筈だ!


「呪術長ファラオを呼べ!

そして巫女が術を行うまえに

阻止するよう伝えよ!!」


「はっ!」

兵士達は慌ただしく出ていった


「しかし・・嫌な予感が。。」


◆◇


巫女はカナンの地の高台に立ち

かまどの煤を両手いっぱいに取ると

アーサー国全土へ

天に向けてまき散らした!


その時

呪術長ファラオが現れ

魔具プレイグで抵抗しようとしたが

呪術を発す前に

葵巫女がまき散らした煤が

呪術者と兵士達に降りかかり

一瞬の内に、身体全体が腫れものに罹り

言葉を発する事ができなくなった


「これは・・・何だ!」

葵巫女が放った塵は

皮膚に触れると、瞬く間に

全身の皮膚、筋肉、関節、血管、内臓に至る

すべての免疫機能を低下させ

非常に強い痒みと痛みが生じた!


呪術者と兵士達は

戦闘不能になった


そしてアーサー国の全土

野にいる家畜、馬、ろば、らくだ

牛、羊の上に下り

非常に重たい疫病となり

膿の出る腫れものとなった


彼らの苦しみの叫びは激しく・・

その姿を見た多くの人達が

非常な恐れを抱いた・・


アーサー国全土に

神への恐怖が広がっていった


◆◇


そして神を礼拝したい!

思いにかられた人々が

葵巫女の元に続々と集まった!


「巫女様!

我らが間違っておりました!

これまでリエラ民族を苦しめ

虐げてきた事をお赦しください!

彼らに深く謝罪します!

どうか和解を受け入れてください!」


彼らは巫女の前で

土下座をし、懺悔を繰り返した


葵巫女は彼らを憐み

優しく語り掛けると

彼らの為にとりなしの祈りをした!


『なんと幸いなことでしょう

その力があなたにあり

心の中に 神を思う大路がある人は


彼らは涙の谷を過ぎるときも

そこを泉の湧く所とします

初めの雨もそこを大いなる祝福でおおいます

彼らは力から力へと進み

エデンで神の御前に現れます』

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