第264話 第五神災 「落雷と雹」

葵巫女は

族長アロンを呼び

これまでの神災について語り合った


「族長アロン!

アーサー国において

第4の神災まで起こり

大きなダメージを受けましたが


バラク王の心は今尚頑なであり

何度も奴隷解放の約束をうやむやにし

守ろうとしません!


奴隷解放までは

さらに大き神の力を

知らしめる必要があります!」


「我らルムラ民族は

巫女様にお従い致します!

どうか偉大な神の力を

お示しください!!」


葵巫女は族長アロンを連れ

カナンの地の丘の上に立つと

大きな声で叫んだ


「起源の存在なる神よ!

どうかアーサー国に

偉大な神の力を示したまえ!


明日の今ごろ

アーサー国は建国以来

未だかつてない極めて激しい

雹を降らせたまえ!!!」


すると分厚い暗雲が瞬く間に

アーサー国全土を

覆っていった


◆◇


葵巫女の宣言を聞いた多くの民は

急ぎ家畜を野から連れ

家畜小屋に避難できるようにした


しかしアーサー国内で

巫女の言葉に心を留めなかった者は

家畜をそのまま野に残した


葵巫女はモーゼの杖を

天に向けて差し伸ばすと

帯電した積乱雲が発生し

激しい雷と雹の火が

地に向かって走った


アーサー国全土に雹が降り

雹の直中を火が煌めき渡ると

きわめて激しいものとなった


雹は人をはじめ獣に至るまで

野にいるすべてのものを打ち

また野の草をみな打った

野の木もことごとく打ち砕いた


ただリエラ民族が住む

カナンの地には

雹は降らなかった


◆◇


バラク王は先の神災のショックにより

酒を飲み・・・ヤケクソになっていたが。。


突然、王宮の中庭で

大きな落雷音を轟かせたので

外に飛び出した!


何と!落雷により

真っ二つに割け

激しく燃えた大木の火は

王宮の中庭に燃え移り

王宮内は大混乱に陥った


慌てたバラク王は

王宮内を右往左往していたが

落雷は爆弾のように次々と投下され

身に迫る危険を強く感じた!


「このままでは・・ヤバいぞ!!

落雷が私に直撃し

感電死するだろう!!」


慌てたバラク王は

至急葵巫女に使者を送った!


「私はまたもや罪を犯した!!

神は正しいお方だ

私と私の民は悪者だ

どうか神に祈ってくれ!!


神の雷と雹は

もうたくさんだ。。


私はおまえたちを

奴隷から解放しよう!

おまえたちはもう

留まってはならない」


葵巫女は

バラク王の使者に言った


「私は今一度あなたの

言葉を信じましょう!

しかし次はありませんよ!!」


葵巫女は

カナンの丘で天高く手をあげ祈ると

雷はやみ、雹はもう降らなくなった!


(しかしあなたとあなたの家臣が

まだ、神である主を恐れていないことを

私は知っています)


残り神災は2つ!

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