第256話 ハイドの最期

葵巫女が

「第2の聖典」と

「モーゼの杖」を

手にしようとした時


エデンの園に

密かに潜り込んだ一行がいた

ハイド達である!


彼らはエデンの園に足を踏み入れた瞬間

自身に起きた強い欲求に

胸が苦しくなった!


「胸が・・・胸痛む・・・

この言いようのない渇きは何だ!!


こんな感覚は初めてだ!!」


ハイド一行は

引き寄せられるように

エデンの園中央の「善悪の知識の木」

に向かい駆け出した!!


必死に全力で

駆け寄っろうとするが・・・

決して近づくことができなかった・・


「何故だ!?

何故近づくことができない!!」


本来、エデンの園は

巫女しか入る事が許されていない

その理由は

『善悪の知識の木』は

非常に危険な果実であり


『魂の所在』を狂わす劇薬・・に近い

危険な魅惑を秘めている!


なぜそのような危険な果実が存在するのか?

それは、人が神に近づく上で

持つべき分別をわきまえ知る為である!!


『人は決して神にはなれない!』

もし神よりも力を得られると

錯覚するならば!

それはすでに堕落の始まりといえる!


『神のようになる!』

それは人を愛し

慈しむ心を求める中で

神に近づく存在になる!と言えるのだ!


しかしそれを間違った概念で

己の快楽や願望が勝る手段を求めるなら

人は大きく道を踏み外す事になるのだ・・


つまり魂の願望の根底に

何が存在するかで

『人の人生』は決まるのである!!


『神』を求める人生か!

それとも『欲望(悪根)』を求める人生か!

その選択が人生を大きく左右する・・


≪人生の選択を

間違えてはならない!!≫


しかしハイド達は

とりかえしのつかない

欲望の網に引っ掛かり悶え始めた・・・


「食べたい・・

この木の実を・どうしても・・・

食べたいのだ!!!!


どうしたら手に入るのだ!

どうしたら善悪の知識の木に

近づくことができる?


善悪の知識の木の実は

確かに存在するが

決して・・手に入らない!


手の届く所にありながら

決して掴めない。。


このもどかしさは

まさに地獄で・・あった・・


「食べられな・・・ければ

私は・・死ぬ・・

食べ・・たい・・


あ・・・あ・・どうした・・ら

食べられ・・るのだ


耐えられない・・・もう

我慢ができない・・・


食べたい!

  食べたい!

 食べたい!

   食べたい!

食べたい!

  食べたい!


この木の実を

一口食べることが

許されたら・・


私は死んでも構わない!!


もう・・ダメだ・・ダメだ・・

ダメだ・・ダメだ!!

ああ・・ああ・・あ・

あああ・・・ああ・・・・・あ・・あ・」


≪耐えられない!!≫


彼らはあまりに強い欲求に

悶え苦しみ・・ついに呼吸が苦しくなり

天を見上げて・・口をあけたまま

力尽きてしまった・・

(ハイドはあっけなく最期を迎えた)


◆◇


「さぁ!

アーサー国に戻りましょう!!

そして奴隷化した

ルエラ民族を救う為に

まずバラク王に会いに行くのです!

葵巫女はエデンの園を後にした


◆◇


≪神である主は人に命じられた

あなたは園のどの木からでも

思いのまま食べてよい

しかし、善悪の知識の木からは

食べてはならない

その木から食べるとき、あなたは必ず死ぬ≫


■□  ■ ◆ ◇

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