第216話 カール皇帝


「葵巫女様だって!?」

サイカはあまりにも驚き

絶句してしまった・・


「・・・・・

葵巫女様!

これまでの失礼の数々を

どうかお許しください!!」

サイカは跪き

額の汗が止まらなかった


「サイカさん!

ラッセル伯は

スンツヴァル王都の上級貴族です

そして今回の旅で私の補佐役として

仕えてくれています!


このラッセル伯が

推薦状を書きますので

あなたをギルデロイ王都議会の議員に

推薦したいのです!」


「王都議会ですって?

それはあまりにも

突拍子もないお話です!

私に議員など・・・」


「何を謙遜な?

サイカさん調べさせて貰いましたよ!

あなたは現皇帝の弟なのでしょう?」


「なっ!何故それを?」


「あなたはもともと王族

身分の回復さえできれば

議員になる資格は十分にあります!


これからサイカさんが王都議会で

力を発揮できるように

我々も全力でサポートをするので

どうかこの申し出を受け入れてください!

この国の未来の為に!!!」


「葵巫女様・・・」


「神に祈りましょう!

『全知全能なる神よ!

サイカを王都議会議員として

特別な力をお与えてください!


彼の霊肉を強め

揺るがないビジョンを与え

この国が悪しき力から完全に開放され

弱者を救い、未来ある子供達が笑顔で暮らせる

新しい国作りができますように!

ギルデロイ王都を祝福してください!』


「葵巫女様!

このサイカ!! 

命にかえて

使命を全うして参ります!」


「あなたに幾つか

プレゼントがあります!

まず身分を回復するための根回しは

すでに終えています!


あなたの多額の借金は

全て肩代わりしました

そしてあなたを不当な罪で

裁判にかけられ追放した

王都議会の裁判長の供述を得て

あなたが無罪となるように!

手を回しておきました

多少強引な手を使ったのですが・・・

何も心配はいりません!」


「葵巫女様・・・

何てお礼を申し上げたら良いのか・・

本当に・・本当に・・

感謝致します・・・」


「サイカさん!

あなたに会って頂きたいお方がいます!


アーバス隊長!

あのお方をお連れして下さい!」


「はっ!」


すると高貴な服装をした人物が姿を・・


「あなたは!!

兄上!!!」


何とそこにはギルデロイ王都

カール皇帝の姿が!!


「葵巫女様

お初にお目にかかります!」


「カール皇帝!

手荒なマネをして

大変申し訳ありません・・・」


「葵巫女様!

とんでもないです

私を強引に連れ出さらなければ

私は、奴らの操り人形にされ

続けていた事でしょう!


葵巫女様が

私にかけられた悪しき呪縛を

開放してくださった!

私は長い眠りから

醒めたような気がします!


そして謝らなければならないのは

弟よ!お前の訴えを信じず

不当な罪で、王都議会より追放してしまったことを

本当に申し訳なく思っている!


すまなかった!

どうか不甲斐ない兄を許してくれ!!」

カール皇帝とサイカは抱きしめ合い涙を流した


「カール皇帝!サイカさん

久々の兄弟の再開に割って入り

申し訳ないですが


気になる事がひとつ

ギルデロイ王都で暗躍する

「赤い星」組織の手下が

ナミ商会のカーメルタザイト鉱石に対し

不穏な動きをしているのは本当ですか?」


「本当です!

全ての採取が終わった時点で

『カーメルタザイト』を奪うつもりです!

しかも総軍司令省の第一軍団長リヴァイは

「赤い星」の右腕とされる人物・・

かなりの強敵です!


翌朝、不当な採取をしたと

裁判所の令状をもって

ナミ商会を根絶やしにする算段です!


急ぎ対策を練らなければ!!」

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