第174話 第2の神具を求めて

~今から1年前

ガデム村のラックの家において~


ラックの家は

小さくはあったが精錬された内装で

王都の古美術が幾つも置かれていた


「これは何ですか?」


葵は無造作に置かれている笛を見つけ

吸いつかれるように 

目が離せなくなっていた


「これは 父さんが13年前

スンツヴァル王都の市街地に住んでいた時

古美術店で見つけて

たまたま購入したようなのだけど・・・

それがどうしたの?」


「少し触っても 構わない?」


葵は古い笛を手にした!

するとその瞬間 次元の歪みが生じ

魂に直接 語り掛ける言葉を聞いた


□◆


我が子よ!

神具『琴笛』を手にせよ・・・

汝に 新たな力を与えよう!


           □◆


「今のは何だ!?

『琴笛』とは? 

どこかで聞いた事がある声のような・・・」

ラックは 葵に語られた言葉を 

不思議と理解する事ができた


すると客間の奥から

村長ガデムと妻ルスタ

ヨーデルが 慌てて飛び出してきた!


「何事だ!?」

ヨーデルは 

『琴笛』を手にした葵を見て

驚愕していた!

「これは!どういう事だ!」


これまで 古来の美術品として

展示していた笛が・・・

葵が手にした事によって

これまで感じた事がない 

神々しい器具に 変化し

光輝いているではないか!


「父さん!

これは・・もしかしたら

伝説の神具ではないかな?


「神具『琴笛』だと?

伝説では2000年前に初代巫女様が

スンツヴァル王都を建設した際

初代皇帝に都を「聖なる力」で守る為に

安置するように命じた神具であり 

1000年前に行方不明になったと聞いたが・・・


そのような代物が 

どうして我が家に・・

それに葵ちゃんが手にした事で

どうしてこのような姿に変化したのだ・・


ヨーデルとガデム村長とルスタは

3人で顔を合わせて・・頷いた

心臓の鼓動が激しくなり

汗が止まらなくなっていた・・


そして話し合いの結果

3人はある結論に達していた・・


≪もしかしたら

葵ちゃんは 巫女様なのではないか?≫


まだ半信半疑ではあったが

神具『琴笛』が本来の持ち主の手に戻り

神具としての輝きを取り戻した事が

葵が巫女である

明らかな証明であるといえた


◇◆ 第31話 神具『琴笛』より引用 ◇◆


「アーバス隊長!

私は今でも神具『琴笛』との

出会いの日を忘れる事はできません!」


「神具とは

巫女様と勇者を

持ち主と認めると

秘められた力を発動すると

言われております!


それ故に、これから我々が

大陸エデンに向かい

葵巫女様の存在に反応し

隠された第2の神具

伝説の武具『モーゼの杖』が

輝き出すと予想されます!」


「モーゼの杖」に

どのような力が秘められているか?

それは未知数ですが

第2の聖典を入手できれば

その能力も判明するでしょう!


我々が「赤い星」に対抗できる

新たな力が手に入れられることは

間違いありません!」


「アーバン隊長!

必ず手に入れましょう!!」


「はい!

第2の神具を入手できるその日まで

葵巫女様を必ず

お守り致します!!」


「ありがとう!

頼りにしていますよ!!」

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