第175話  葵巫女の手紙

葵巫女が

MIKOハウスを出発した2時間後

エルサ王女が最初に目を覚ました


静まりかえったMIKOハウスに

いつもにない閉塞感を感じ

大切な存在が近くにいない違和感に

胸が締め付けられる思いがした・・


「葵巫女様!?

巫女様はどこ!!!!」


大声をあげたエルサの声に

サラ、ラック、アニー

デル、シズ、ヘルドが

各人の部屋から出てきた


「どうしたのですか?

エルサ王女!」


「葵巫女様が出発されたのでは?

僕には近々こんな日が来るんじゃないか?

と予感はしていました・・

でもサラさんは聞かされていたのでは?」


「そうなのですか?」


「ええ・・・

ラックは気付いていたのですね・・

実は昨晩、皆がカーニバルに行っている時

今朝、早朝に出発する意向は聞いていました」


「どうして!

言ってくれなかったのですか?」

エルサ王女は半泣きになり

声を震わせていた・・


「皆を危険な旅に

巻き込みたくなかったのだと思います・・

それにMIKOシティが始まったばかり

みなさんは使徒として大切な任務が

あるではありませんか?


この国の都民達を守り

正しく導く為に

我々の助けが必要なのです!

そうは思いませんか?」


「分かります・・・

分かりますけど

葵巫女様がどれほど苦労されて

私達を助け励まし

導いてくださった事か・・・


しかし最も助けを必要としていたのは

葵巫女様ご自身であった筈なのに・・


今回の大切な任務には

葵巫女様の父君の救出が

絡んでいるのでしょう?」


「そうです!だからこそ

隠密に行動したい!とお考えになったのです!

軍隊を組織して大陸エデンに行くと

目立ちますし、敵も警戒し

どのような攻撃をしかけてくるか分かりません!


そして巫女様が

王都を離れた情報が広がると

この国にも危険が及ぶ

可能性が高いのではありませんか!


この手紙を読んでください!

みなさんに向けた手紙です

葵巫女様の優しさが溢れていますよ!」


各人が手紙を受け取ると

葵巫女の直筆の手紙に

言いようのない寂しさを感じた・・


エルサ王女は

もう葵巫女様に会えなくなるのでは?と

不吉な予感さえ・・感じてしまい

もうじっとしていられなくなった!


「葵巫女様のお気持ち・・

おっしゃりたい事は

とても理解できます!


でもダメです!

ダメなのです!!!

葵巫女様だけを行かせては!


私はついて行きます!

まだ間に合うでしょう!」

エルサ王女はMIKOハウスを

警備している兵士長に

エルサ王女の執事ダンテを

至急来るように命じた!


「待って!エルサ王女

葵巫女様はひとりではないようです!」


「どういう事?ラック!」


「この場にクリス王子と

ヒナタさんがいない!恐らく

葵巫女様について行ったのでは?」


◆◇


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