第80話 貴族マフィア

カフェ1階では

葵巫女を警備する為に

待機していたアーバン隊長が

ストレートのシルエットスーツを着こなした

貴族マフィアと呼ばれる男達に囲まれ

一触即発の状態だった


「オマエラどういうつもりだ!

大勢でよってたかって

ひとりの男を甚振るなど!!

恥ずかしくないのか!」


「お前は誰だ?

俺たちの邪魔をすると

痛い目に遭うぞ!!」


貴族マフィアと呼ばれる男たちは

借金取り立て屋として腕が立ち

皆に恐れられており

誰も歯向かえないでいた・・・


しかし彼らがアーバン隊長に襲い掛かった瞬間

皇帝直属エリートであるアーバン隊長に

敵う筈もなく・・一瞬の内に

打ちのめされてしまった!


「強・・強い!!!」


「くそ!ルーベン

借金の期日は明日の夕刻までだ!

それまでに返済しなければ

分かっているな!!」

(そう叫ぶと彼らは店をそそくさと出て行った)


「ああ・・分かっている」


「彼に話を聞く必要がありそうね!」

葵巫女はアーバン隊長にルーベンという若者を

2階のVIPルームに

連れてくるよう指示した


■□■◆◇


「ルーベンさんと

言いましたね?

先程は大変でしたね?

いったい何があったのですか?」


「私を助けてくださり

ありがとうございます!

あなた様はどなたですか?」


「このお方は巫女様だ!」


「えっ!巫女様?

大変失礼致しました!

それに私のような者を

助けて頂き、ありがとうございました!」


「いえご無事で

怪我もなくなりよりです!」


(ルーベンは暗い表情をしており

かなり深刻な事情を抱えているようだった・・・)


「マスター!

この方に冷たい水を

持ってきてあげてください!


落ち着いたらあなたの身の上話を

聞かせて頂けますか?」


(マスターは

ルーベンと葵巫女達の為に

軽食と水を運んできてくれた)


「実は・・・

私は、市街地でアパレルショップを

経営しているのですが、最近

売れ行きが・・かなり悪く。。


立て直そうと必死に努力しました

しかしどうしても資金繰りが苦しくなり

奴らに借金を・・・」


「幾ら借りたのですか?

銀貨10枚です!!」


「そんな大金を借りたのか?」マスター


「返済するあてはあったのだ!

私の店には有能なデザイナーがいて

彼女と毎日必死になって

徹夜で新しいデザインを考え

縫製工場に発注し

発売直前まで来ていたのに・・・」


「何があったのですか?」

ラックが話に入ってきた


「今回私が店の再起をかけてデザインした

カジュアルファッション「コート」は

生地で仕立て、大きなボタンやポケットをつけており

丈が軽快で、着こなしやすく

幾つもの切り替え線でアレンジできる

優れたジャケットでかなりの自信作だったんです!

しかし奴らが私の事務所に忍び込み

デザインを盗まれていたのだ!


貴族マフィアのボスはアル・カボネは

市街地の経済を牛耳っており

アパレルショップを幾つも経営している!


奴らは、私の店のデザインに似通った商品を作り

お抱えの専属モデルをつかい

ファッションショーを開き

私より前に発表してしまったのです!


もう同じ商品は発売できません・・・

しかも彼らの商品の方が安いのです・・」


「何て奴らだ!

そこまであくどい事を!!」

話を聞いていたマスターは憤慨し

葵巫女に、市街地で起きている

貴族マフィアの影響を話し出した


「葵巫女様

貴族マフィアのボスアル・カボネの横暴な振る舞いは

日を追うごとにエスカレートしています!

ルーベンのような被害者は数えきれず・・・

市街地の多くの商店が廃業に追いやられ

借金を背負い、店の権利を奪われ

路頭に迷っているのです!


今、市街地では仕事を失った失業者が溢れており

それ故に家庭が崩壊し

離婚率が高くなっている要因にも

なっているのです!


それだけではありません!!

将来ある若者達が

ギャンブルやお酒、不法薬物に手を染め

背後で暗躍するマフィア同士の争いも過熱し

治安がかなり悪くなっているのです・・・」


「ここまでとは・・・

今共に神に祈りましょう!」

葵巫女は暫し黙想し、祈祷をはじめた


「浅はかな者よ、あなたたちは

いつまで浅はかなことを愛するのか

嘲る者は、いつまで嘲ることを欲するのか

分別のない者は、いつまで知識を憎むのか

わたしの叱責に立ち返れ

あなたたちにわたしの霊を注ぎ

わたしのことばを知らせよう


主は正直な人のために、すぐれた知性を蓄え

誠実に歩む人たちの盾となり

公正の道筋を保ち

主にある敬虔な人たちの道を守られる

そのとき、あなたは義とさばきと公正を

またすべての良い道筋をわきまえ知る

知恵があなたの心に入り

知識がたましいに喜びとなるからだ」


葵巫女の祈りに皆が反応すると

ラックの魂が震え出し

心の内が燃えてきて

新たなビジョンが湧き出て

勇者のごとく発言をした!!


「葵巫女様!

私に良いアイデアがあります!

私の考えを申し上げてよろしいですか?」


「聞かせてください!」

ラックは思いの内を全て語った

◇◆□■


「ラック!

あなたという人は・・

素晴らしいアイデアです!

私も賛同します!


今から一緒にアダム皇帝に

謁見にいきましょう!」


アーバン隊長!

使者を遣わし、至急お会いしたい!と

皇帝に伝えてください!」


「ハハ!!」

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