第3話 アイテムコレクター ②
この世界の文字の読み書きを一日でマスターした俺。余りの頭痛から間一髪超即効性のある薬で全快した俺は、早速アイテムの収集を始める。図書館からはお爺さんの厚意で本を借りる事が出来た。
今日から兎に角この本を読みまくり、薬の調合の仕方や希少価値のある物を探し、目指すはこの世界全てのアイテムを制覇だぁ!
そう!アイテムのフルコンプリート。恐らく凡ゆる全てのゲーマーにおいて、高確率で残るのはアイテムの制覇。イベント限定を除いても大量にあるアイテムの網羅は超ベテランプレイヤーでもキツイ筈だ。
その根拠は、ベテランプレイヤーはアイテムより特定の力に特化した装備やスキルを整えるからな!所謂限定的なレア素材から作れる装備はユニークスキルという物があり、特殊過ぎる且つ、邪魔な場合が多い。つまり、大体は手に入れても使う場面は無く、保管庫入りという。
必要なアイテムと要らないアイテムを完全に仕分けているプレイヤーはアイテム制覇なんて程遠いという訳だ!!
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さてと、世界の全アイテムをコレクションするとは言ったが、まず最初にやるべきはどうしようか。やっぱり外は危険らしいし、大量の回復薬と最小限の武器と金か?あぁ、それとこの世界のシステムを知る為に街の探索も良いな。
今更気づいた事なんだが、やっぱりこれって俗に言う『異世界転生』って奴だよなぁ?アニメや小説の中じゃあ、女神やチート、悪役令嬢なんて物があるが、今回の俺はそのどれにも当たらない。フツーに一からゲームスタートしたな。うん。
だがそれが良い。もしこれがチートとかだったら、人生のつまらなさに何が何でも死のうとする哀れな主人公になっていただろう。という事はだ。異世界転生に関して最初のあるあると言えば『冒険者ギルド』だよな!
普通ゲーム中の冒険者ギルドなる物は、基本他のプレイヤーと協力プレイか、ギルドという名のグループに参加し、グループ同士で対戦やイベントを行う。ソロプレイヤーにとっては全くと言って良いほど縁が無い場所なのである。
だからと言っても俺はソロプレイヤーでは無い。少しでも死ぬリスクを抑える為に最低一人の味方は付けるさ。という訳で、仲間を見つけるために冒険者ギルドに行こう。
街の案内図を見ながら冒険者ギルドに到着〜……。
良いねぇ……ゲームでも大体ギルドの集い場って決まって酒場と合同なんだよなぁ……。ま、俺はお酒飲めないんだけどな。
それでだ。異世界転生、冒険者ギルド来てからする事その二。『冒険者登録』だ。
要はプロフィール登録って奴だよな。だけど俺は思うんだ。なんで毎回ギルドなんだ?普通にゲームスタートした時点でやるもんじゃね?まぁ、此処はゲームではなく、異世界何だし……俺の知る常識は伝わらんか……。
えーっと……受付の人は殆ど確率で女の人っていうね。おっさんやお爺ちゃんでも務まる仕事だってのに、なんで決まって女性なんだ?まぁ、それはゲームに対しても野暮な疑問かな。とりあえず冒険者登録するぞ!
「いらっしゃい! どうしましたか?」
「冒険者登録がしたい!!」
「畏まりました。では、こちらの水晶に手を翳して下さい」
はい出た。相手のデータを勝手に盗み取るやべぇ水晶。相手の知能や身体能力を勝手に数値化し、適切な職業を選ばせる奴ね。こういう展開を何度見たか分からない。さぁ、俺のステータスはどんな物かな?
俺が例の水晶に手を翳すと、水晶は青白く光り始め、青色の波紋が俺の身体全身をスキャンする様に何度も流れ込んでくる。さぁさぁ、ワクワクするなぁ。
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名前:
性別:男
年齢:17
身長:168cm
体重:56kg
適切職業:アイテムコレクター
レベル:1
体力:100
攻撃力:6
防御力:3
魔力:0
俊敏力:5
運力:2
習得スキル:
・レアアイテムドロップ1%(自動)
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うおおおおおお!!めっちゃ良い!!超最低ステータスでこいつはやり甲斐があるぜぇ!それも適切職業の『アイテムコレクター』ってなんだぁ?まぁ、アイテムをコレクションするのは好きだけど、そんな職業聞いた事無えぞ?
「おぉ……あのー、このアイテムコレクターってどんな職業なの?」
「あれ? それしか適切職業は表示されていませんか?」
え……何そのもっと出来る事あるでしょみたいな反応は……。
「うん。これしか無いな……」
「は、はぁ……はい。アイテムコレクターとは、その文字通りアイテムをコレクションする事を目的とした職業で、強いて言えば趣味と言っても良い職業なんですが、その自由さから最近正式に職業として登録された物なんです。アイテムコレクターは特殊な職業で、アイテムの売買を冒険者同士で出来るんです。なので、売り手を中心に活動する人は、冒険者のアイテム探しにも良く役立てられますね。さらに、少し言っては悪いですが……普通の戦闘型職業より、十倍以上のアイテム所持上限があり、荷物持ちとしても雇われる事も有りますね」
ほえー。アイテムの売買かぁ……要は、トレードシステムって奴か。それを施設を通す事なく個人で出来ると!ワクワクするねぇ……。
「そっか! じゃあこれで冒険者登録は終わりか?」
「はい! それではいってらっしゃい!」
さぁさぁ、遂に俺のアイテムコレクション生活の始まりだぜぇ!
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