3話:Rain (雨)
僕は彼女達の後を追うように外へと向かう。しかし施設は扉だらけで、どこの扉が外に出れるのか分からなくなっていた。
1時間ほど施設の中を
そんな僕を
どうしてこのような天気なのに書佳は詩音と2人で外に行ったのだろうかと僕は思わず考えてしまう。
僕は路月の言葉を思い出しながら僕は頭を横に振って忘れようとした。
僕は木陰に身を隠して耳を澄ませると最初は何を言っているか聞こえなかったが、段々と耳が慣れてはっきりと聞こえるようになった。
「――キミは何者なんだ!正体を現せ! 」
詩音は大剣を従美に突きつけていた。彼女の
「私は何度言っても秘田書佳よ!何度言ったら分かるの! 」
それに対して書佳は
「それしか言えないんだな。もうコピーが解けてきたんじゃないか?それに声にも限界が来てるぞ。諦めて白状したらどうだ? 」
詩音は書佳に問い詰めると彼女はゆっくりと白状し始める。詩音は余裕げな顔をしていたが、その相手の声を聞くと彼女の顔が固まり始めた。
「ふん、これだからポリは嫌いなんや。正体を顕にさせたこと後悔しても知らへんで。」
彼女はそう言うと書佳であった人が正体を現すと同時に突然風が吹き荒れる。
それに対して僕は風に耐えるために近くにある木にしがみつく。
詩音はどうやってこの風に耐えているのだろうかとふと頭に浮かぶが、その時にはもう吹き荒れていた風は止まっていた。
「くっ……キミは…………。」
僕は詩音の声に反応するかのように前を向くと、彼女の目の前には
まさかこのような男が書佳をコピーしたなんて信じられないと思いながら僕は何度も目をぱちくりさせる。
どう見てもこの姿は
おそらく何かしらの理由があって彼は書佳をコピーしたのかもしれないがその理由までは全く分からない。
「階級が低いスケのポリでもオレのことは分かっているようやな。キサマはポリの同僚と同じく飛ぶか?それともタマ取られたいんか? 」
男はニヤリと笑いながらドスの効いた声で詩音に指を突きつける。それに対して彼女はふっと笑うと、大剣を構え直して言い放った。
「あたしは逃げもしないし死にもしない。そしてキミはあたしが倒してみせる! 」
すると男はニヤニヤと笑うと話を続けた。
「中々気の強いポリやなぁ。ワイは
すると詩音は大剣を天魔に向かって
しかし彼は涼しい顔で
今回は事例が特殊すぎるが、そんなことはどうでも良くなっていた。
「ぐはっ! 」
詩音は天魔のパンチで少し
そして詩音は大剣を振り下ろすと天魔は完全には避けきれなかったのか、彼の胸元に傷がつく。
僕は詩音の顔を影からちらりと見ると彼女が少し苦しそうな顔をしているように見えた。
「どうやら先程のパンチが効いたみたいやな。飛ぶなら今のうちやがどないすんねん? 」
すると天魔は大剣を抜刀して詩音を斬りつけようとしたが詩音は大剣でガードする。
あまりにも緊迫した戦いに僕は目を離すことも詩音の手助けをすることも出来なかった。
雨が激しくなり、詩音と天魔の髪には雨の雫が滴っている。
雨の中の激闘とはこのことを指すのだろうかと僕は2人を見ながら思っていた。
「あたしは諦めない!弟の野球を見て学んだんだ。
エースが諦めたら戦いは負けるんだってな! 」
詩音は唇を噛み締めて大剣で天魔を縦斬りしようとしたが、天魔はそれを回避して彼女にタックルする。
詩音はまさか回避するとは思わなかったのか、タックルを食らって怯んでいる隙を彼は見計らい、彼女を大剣で
「うぐっ! 」
彼女の赤い瞳の先には何故か怒りに燃えている天魔が大剣を向けていた。
「キサマはワイにアヤをつけに来たんか?兄弟愛など…………。」
天魔は顔を真っ赤にして納刀すると詩音に接近して蹴りを入れてくる。
それに対して彼女は前回り受け身で避けると大剣を抜刀して彼に向かって振り下ろした。
しかし天魔も大剣を抜刀していたのか大剣同士の
そして
「キミ、まさか兄弟がいるのか?そのことを詳しく聞かせてもらおうか。」
彼女はニヤリと笑うと彼の攻撃をいなして大剣を天に掲げながら叫んだ。
彼女の声にも反応したのか空が段々と晴れていく。
「トランスフォーム! 」
詩音が叫ぶと謎の光が彼女を包んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます