3話:Leader (指導者)
「えっ!あの人は
もし名の知れた有名人が目の前にいたら誰もが夢かなにかだと勘違いするだろう。
僕は彼がその場にいることに対して信じられない思いでいっぱいだった。
御剣鉄秤――
プロゲーマーとしてデビューしてからあらゆる大会で無敗のゲーマーを何人も撃破した話は有名だった。その恐ろしさから“
他にも様々な週刊誌やゲーム雑誌のインタビューを受けたりして今のゲーマー界では名を知らない者がいない。
僕もとある週刊誌を読んだ時に彼の名前を知った。
『彗星の如く現れた“
見出しがあまりにも強烈過ぎて、忘れられずに居られなかったのだ。
「お前はオレの名前を知っているのか? 」
鉄秤は少し嬉しそうな表情を浮かべながら僕の両手を握った。
一方で詩音は誰なのというような表情で僕と鉄秤を交互に見回している。
僕が頷くと彼は喜び笑顔を振りまいた。
「とりあえず2人とも車に乗ってくれ。キミと女装している彼に話をしたいことがあるんだ。」
「あたしは女。そうじゃなければ通報ものだからな。」
詩音は鉄秤に食ってかかる。確かに口調だけで判断すると男性だと誰もが勘違いするだろう。
彼は少し驚いた表情をした後に車の運転席に座り車のエンジンをかけた。
「ごめん、とりあえず後部座席に座ってくれないか? 」
まさか彼の車に乗るなんて何かのドッキリとしか思えなかった。
「わかったぞ。」
詩音に続くように僕も彼の高級車の後部座席に座る。
彼は僕と詩音が乗ったことを確認して車を発進させた。
「さてと……2人に話だけど“アーク”っていう単語を知っているか? 」
鉄秤が運転をしながら僕達に話しかけてくる。アークという単語は
まさか彼もアークの1人なのだろうか。
しかしこんな有名人もアークとして選ばれるということはやっぱりドッキリか何かなのだろうと僕は疑った。
「知っています。御剣さんもアークの1人なんですか? 」
僕は
「勿論だ。確かお前は雷電幻夢っていう名前だったよな。そして隣にいるのが朝火詩音。」
彼の言葉を聞いて僕と詩音は驚いた。何故僕の名前を知っているのだろうかと疑問が浮かぶ。
おそらく天使の誰かが彼にアークが誰なのか情報を渡したのだろう。そうなると彼に情報を渡した天使は一体誰なのだろうかと悩んでいると詩音が鉄秤に訊ねて来た。
「どうしてあたしの名前を知っているのか? 」
すると鉄秤は車を運転しながらぽつりぽつりと答えてくれた。
「7大天使のミカエルだ。オレがアークのリーダーとして引っ張ってくれとも言われた。」
ミカエル――
ミカエルと言えば誰もが知る天使の長だ。
鉄秤を選んだのにもミカエルなりの理由があるのだろうか。
確か彼は32歳だったはずだし最年長として選んだというのもあるかもしれない。
しかし他の“アーク”達の年齢も知らないのにそんなことで判断するのはあまりにも
「そうか、頑張ってくれ。出来れば……その話が嘘だといいけどな。」
詩音はそう言いながらにこりと笑う。
その顔はどこか引きつって無理矢理作ったような笑顔だった。
僕達は無言のまま車は走っていたが、
「ここで降りるぞ。みんなが待っている。」
鉄秤はそういうと車から降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます