注意!この作品はとても危険な作品なので学校や会社の中で読まないように!
本編の男子勢に対する目線を直に感じる羽目になります!
この作品は突如「沢村キネシス」と言う超能力に目覚めた沢村君が主人公…ではなくそのクラスメイトの「俺」こと後藤が主人公となります。
沢村キネシスに目覚めた沢村君はBITEという組織に追われることになり、それを後藤たち3組のみんなが見物することになります。
沢村はクラスメイトをBITEから守るため、「沢村キネシス」について話さず、孤独にBITEと戦うことを決意するような人物です。
しかし後藤ら3組の面々は、沢村にバレずに沢村とBITEの戦いを見物できる場所を探したり、沢村の超能力について知った人間を消すためのBITEの刺客を難なく返り討ちにしたり、暴力を振るうことに抵抗のない女子を沢村の護衛につけようとしたり、沢村とBITEの戦いを見物しながらホットケーキを焼いたりしています。
沢村キネシスに目覚めた沢村、彼を狙うBITEのリーダー犬飼、それを馬鹿な遊びをしながら見物し、時に手助けをする後藤たち、ロケットランチャーやライフル銃を沢村の見物のためだけに作る科学部、超能力と中二病に目覚めた女子高生の紅葉沢さん、超能力者を返り討ちにできるくらいの高い戦闘力を持った女子など魅力的な人物が多くいます。
自転車で女子と衝突したら自転車だけが破壊されるような町で、小学生同士の喧嘩で籠城戦が始まり、怪我人が集中治療室に運ばれるような町で、愉快な超能力バトルが始まります!
11月22日 安藤栞
ある日、授業中に火炎放射能力に目覚めた男子高校生の沢村。彼の力を狙い、他の能力者たちや秘密組織が動き始める……のだが、本作の主人公はこの沢村ではなく、彼のクラスメイトの後藤である。
この後藤が友人とともに沢村の今後の扱いについて話したり、沢村の戦いを野次馬しにいったりするのだが、そこで交わされる会話のボンクラっぷりが実に心地良い。クラスメイトが超能力に目覚めたのに、校庭に野良犬がやってきたぐらいの温度感で話が進むし、沢村の超能力、通称『沢村キネシス』について考察を始めても、すぐに話題が脱線してどこまでいってもシリアスにならない。でもこのどうでもよさそうな会話の流れが非常に男子高校生らしくて楽しいのだ。
また一応話題の中心になる沢村が結構平凡な性格なのに対して、中二病要素が非常に強い他校の能力者や、暴力の行使に一切ためらいのない手芸部員など、脇を固める女子が非常にインパクトの強い設定と性格をしており沢村よりも遥かに印象に残る。
結構大きな事件も起きているのだけど、そうは感じさせない軽妙な語り口と他愛ないけれど愉快な会話、そして変なキャラたちの魅力でグイグイ読ませる独自の魅力を持った力強いコメディだ。
(「覚醒する力……! 超能力特集!」4選/文=柿崎憲)