第2話 白
家の中での自分の居場所は自室だけだ、リビングは酒とたばこに酔う父親がいるし
母は仕事でほとんど家にいない
窮屈だとは思わない、むしろ居心地がいいとすら思う
誰かといることはストレスだし、裏切られるのはもうごめんだ。
家庭は恵まれているほうだと思う、お金は使い道を言えば父が出してくれるし
ひきこもってても何も言われない、いわゆる放任主義。
いや、俺に興味がないだけか。
いつも家にいるときはパソコンでメモを取っている
今日の振り返りやこれから何をしていきたいかとか、そのためには何が必要か
でも何も思いつかないのでいつもはほとんど一行で終わってしまう
でも今日は違った、帰路で起きた理不尽な出来事、それに対して何もできなかった
自分、久しく聞いた人の怒鳴り声、思い返すだけで震える
「なぜ世の中はこんなにも理不尽であふれているのか、今日のことだけじゃない
人が亡くなるような事故を起こしても特定の地位にいたという理由で裁かれない人
もいた、さらわれて犯されてそのまま殺された人もいた、知り合いのホームレス
を殺しておもちゃにした高校生は今も平然と生きている」
自分が何もできなかったことを悔いる気持ちと
ここまで理不尽な世の中を生きていかなければいけない恐怖心
ここまで書いて涙が出てきた、「死にたいな。」
高校二年にして人生に絶望してしまった、今日の出来事からまるでパンドラの箱が開かれたみたいに。
それから考えて煙草を父からもらってきた、こいつなら苦しまずに少しずつ死ねる
口から出た白い煙が自分の生気みたいに見えて笑えた
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