第20話 わたしが鍛えた

……

「…なんでだ?」

真凜ちゃんにはちゃんとマッサージを施した。そのあと飢えた三人衆の攻撃をきっちり回避したはずなのに、目が覚めたら事後になっとる!


「このシーツの赤いのって…」

うつ伏せでスヤスヤ眠る蜜葉の頭を動かして、顔を見る

「ん…」

「蜜葉の鼻血だったらと思ったが…」

鼻下が赤くない。ということはやっぱり?


「初物はどうだったー?」

「寝起きの第一声がそれか」

「ねー、どうだったー?」

しつこいなフーコ。いやらしい笑みを浮かべやがって。とても悪い顔になってるぞ


「どうもなにも、お前も沙織も…蜜葉だって俺としたのが初めてだったじゃねーか」

蜜葉の時は問題だらけだったな


「?! そうだった!」

「え?忘れとったの?」

「…でもねシュウ。違う子としたシュウの感想って気になるっしょー」

「感想もなにも、意識がない時に襲われてるんだが?」

「…ですな」


ですな、じゃねーよ! お前や沙織はいい。いや、沙織にちゃんとしてやれんかった自分が情けなく思う…。

蜜葉は…ありゃ例外だ

だけどよ?真凜ちゃん…これはダメだろ。俺は後悔しまくりだよ


「後悔してる顔してるー」

「分かるか?」

顔に出てたか。鋭いな…

「もち。私とシュウ、そこらへんのへっぽこ新米夫婦如きとは違いますからね」

「お前しばかれるぞ?」

へっぽこって…。頼むから外で言うなよ


「疑ってるなー? よし!シュウのお尻の穴のシワの数を…

「黙れっ」

「ひたひ〜」

両手で左右の頬を抓る

上下に振ると…連動しておっぱいもプルプルと…


「修様、風ちゃんのおっぱいを堪能されてますね?」

「をおう?!」

しまった!ガン見してたのがバレたか

慌てて視線を逸らす


「私も風ちゃんぐらいあれば…」

「沙織様、ジェラシーですか?」

「…はい」

シュンとなる沙織。蜜葉、余計なこと言うんじゃねーよ


「さおりん大丈夫だよ〜」

「風ちゃん…」

「あのね。私のおっぱいはね、さおりんのもの。さおりんのおっぱいは私のものだよ」


なんだその思考は?


「?! …ありがとう風ちゃん!」

沙織がガバッとフーコに抱きつく

…沙織、それでいいのかお前?


「私のはどなたのでしょう?」

両手で自分の胸を揉む蜜葉

蜜葉はシュンと…してねーな。むしろ感じてるじゃねーか!


「私のも さおりんのも、みっちゃんのもぜーんぶシュウの専用おっぱいだー」

「「きゃぁーっ!」」

三人衆が飛びついてくる

「馬鹿、やめろ!」

まだ真凜ちゃん寝てるんだ。起きちゃうだろ


「…ん、んんー」

「ほらみ。起きちゃっただろ」

目覚めた真凜が目を擦りながらあくびした


「おはようさん」

「おはようございます」

「おはよー」

「「おはよう御座います」」


「みなさん朝から元気ですね…」

「元気なんはフーコと蜜葉だけだって」

俺も沙織もいたって普通だ。あの2人が異常なだけだ。今も互いの胸を触り合ってはしゃいでいる。放っておこう


「真凜ちゃん、その…なんだ…。えーと、俺でよかったのかい?」

何がとは言わないが伝わるはずだ

「はいっ! もちろんでしゅ!」

威勢が良い返事が返ってきたが、噛んでしまった


「もちろんです!」

「なんで言い直す?」

「大事なことですので」

「大事と言えば大事なことだけど…。真凜ちゃん、彼氏や好きな人でなくてよか


「違います! エッチした後に言うのはズルイと思いますけど、修さんが好きです」

……

「へ?」

「一目惚れってあるんだ、と思いました。修さんは私のこと嫌いですか?」

…その言い方はズルイよ真凜ちゃん


「嫌いとか、絶対にないから」

「…と言うと?」

「ぐっ?!」

あかん。ピンチだ

三人衆に助けを求めよう


「お前たち…。いや、なんでもない」

振り返ってお三方を見るとニヤニヤしていらっしゃった

…味方はいねーな


「はいはい。真凜ちゃん、降参するよ」

「それじゃ分かりません」

「…はー…。俺も好き…と思う」

真凜の目を見つめて話す

「と思う?」

「…好きです」

完全に負けだ。真凜ちゃんに踊らされてるな


「…ふえぇぇん」

急にポロポロと涙を流し出した真凜

「…どした?」

真凜の頭を撫でながら優しく尋ねる


「みなさん、やりました…。修さんが好きだって…ふえぇーーん」


「よーし、でかしたー」

「今日からお仲間ですね」

「私蜜葉の後ですから、第四席になります。よろしくお願いしますナンバー4」

真凜が三人衆に連れて行かれた

…俺の手が宙に浮いている


「フーコ、お前ちょっと来い」

4人いる裸の女性の中のBOSSを呼びつける


「なーに?」

「なーに?じゃねーよ。お前たち謀ったな?」

きっと俺が寝てる時に話し合ったに違いない


「もち」

「…やけにあっさりと認めたな」

てっきり『違うよー』という台詞が返ってくるものと思っていました


「でねシュウ。真凜ちゃんも事務所の方に住んでもらおーかなーって」

「おーかなーって…。どうせ決定事項なんだろ?」

「分かる?」

「ったりめーだ。好きにしたらいーさ」

フーコの考えることなど手にとるように分かる。お前とは浅い関係じゃねーからな


「シュウ、好きー!」

「バカやめろ!」

ベッドの上にいる俺を押し倒すフーコ


「あっ?!」

「おやおや」

「風子さんずるいですよ」

フーコに負けじと3人が加わった


「だからお前たちやめろって!」



〜〜〜


「余は満足じゃ」

「バカやろう。体中艶々しやがって」

フーコの言葉にイラッとした俺は、艶々なお尻をペチンと叩く


「艶々ですね」

「です。…初めてなのに痛くなかったですし」

「真凜さん、これがマスターのテクニックです」

「な、なるほど」

テクニックって…俺をヤリチンみたいにゆーな


「テクニックじゃないよー? 愛だよ、愛!」

「こ、これは私としたことが! 申し訳ありません風子様」

「テクニックより愛の方がいいな」

ヤリチンぽくなくなった気がする。それに悪い気はしないな


「初めてで痛いのはねー、彼女に対して愛が無いからだよー」

「阿呆! それ間違っても外で言うんじゃ無いぞ」

破局の種を撒こうとすんなよ頼むから


「そうですね。世の中のオス共は突っ込むことばっ

「蜜葉、それ以上はやめとけ」

わざわざ敵を作るのはよくないぞ


「その点修様は素晴らしいです」

「さおりん分かるー?」

「はい。なんて言えばいいのでしょうか…蜜葉の言う通りテクニック?でしょうか」

しっくりくる言葉が浮かばないらしい。沙織はブツブツ独り言を言い始めた


「それはねー、わ・た・し、が鍛えたから」


?!


「風ちゃんが?」

「マスターを?」

「鍛えた??」


「えっへん!」

3人に対して胸をプルンとさせるフーコ


「違うだろー。そうじゃないよなフーコ」

「ひゃい。ひがひまひたー」

『私が育てました』みたいに言うんじゃない


「まー、自慢話じゃねーし、恥ずかしくて死にそうな話しでもないけどな」

「「「聞きたいっ」」」

「えー? そんなに期待するような話しじゃねーよ?」

「「「ぜひ」」」

「んー、ほれフーコ」

口を解放してやる


「痛かったよー。シュウひどーい」

スリスリと両頬をさする

「そんなに強く引っ張ってないだろ。フーコ話してやれ」

「…あの話?」

「そっ。聞かせてやれ」

「うん。分かったー

……

あれはねー。シュウも私も、お互いに初めてだったんだよ。エッチがねー

お互い服を脱いだとこまでは早かったんだけどね?たぶん。

でねー、ベッドの上で睨めっこしたまま時が止まったわけ

『私からいくのもなんだなー』って思ってると、シュウがね雰囲気に負けたのかTVをつけたの

そしたらAVが流れてね。その最中の…


でもね、大事な所がモザイク入って…分かんなかったのよねー

だからスマホで『入ってないやつ』を見たの


じっくり見て、その通りにやって…シュウはコツを掴んだって訳ね


後から思ったんだけどー、あのままTVだけの知識でやってたらね…たぶん私、お尻に…


「はいストップ! フーコもういいぞ。

…とまあ、概ねフーコの言ったことで合ってる」

最後は余計だがな


「風ちゃんのおかげですね」

「ふあぁぁ…勉強したんですか」

「いやいや、勉強というほどじゃないぞ」

学んだことは確かだけどな


「マスターがTVをつけた時のAVが気になります」

「えーと。…確かお隣さんはお尻がす

「違う!俺じゃないっ! 俺が観てた番組は終わって次が流れてたの!」

いらんことを気にすんな蜜葉! フーコ、お前タイトルを良く覚えてたな


「「「何観てたの?」」」

「気になります」

だから変なとこを気にすんな!


「頼むから追及しないでくださいお願いします」


前後左右、おっぱいに囲まれた俺は


土下座した

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