第2話 オイルマッサージ

「うん、よく分からんな」

塗るだけなのに手順やら効果的な方法など様々なことが書いてある

「試しに、先ずはちょこっとだけ腕に…」

別に怖くはない。怖くはないのだが…いきなり胸からとかあり得ないから


恐る恐るボトルのキャップを開ける

「うーむ…ヌルヌルだ」

これ自分のベッドじゃ使えないぞ

「ラブホに来て正解…

…まてよ?1人でするのに、ベッドに横になってやる必要…ないぞ」

しまった。風呂場でやりゃいーじゃんと気付いた


"ピンポーン"


ん?おばちゃんか?

何か差し入れくれるのかな? ここのおばちゃんとはよく話す。ご近所さんでもあるし、昔から知ってるからな


「はいはーい。おばちゃん今開けるよ…う?」

「シュウ、やっぱりココにいたのねっ」

ドアを開けたら若い女の子が胸に飛び込んで来た


「メス猫の影…なーし」

俺の胸をスンスンと嗅ぐ女の子

俺の胸を嗅ぎまくる女の子は、木崎 風子

(きざき ふうこ)

いろいろあってコイツとは長い付き合いだ


「いつまで嗅いでるんだ、いつまで」

フーコを無理矢理剥がす

「いや〜もう少しだけ〜」

「もう少しだけ、じゃねーよ」

「ケチっ」

ぷーっと頬を膨らますフーコ


「…で、シュウは1人でラブホに来て何をするのかな?

は?! まさか…凄く激しいオナ

「ちげーよ、バカやろう。つーか何で俺が部屋にいるって分かった?俺じゃなかったらどうすんだよっ?あぶねーぞ!」

コイツ大丈夫か?危機管理なってねーな


「あ、それは大丈夫。シュウの居場所、スマホに出るもん」


は?!


「出るもんってお前…。えっ?何、その機能?」

初耳やー。居場所がバレる機能なんて誰得よ?

「スマホ同士で許可しないといけないんだけどね…そういえば、2日も家に居たみたいだけど風邪ひいた?」


いつ俺が許可をしたのだろうか…。いや、それよりも、だ

「フーコ、俺の居場所…毎日チェックしてる?」

「もちろんよっ!当たり前じゃないの。私も忙しいから家へシュウの看病に行けなかったけど。…元気そうで何よりね」

ふふふ…ココも元気ね?と股間を触るフーコ


…当たり前か。そうか、そうですか、当たり前なんですね。もーいいや

「俺、その日スマホ忘れて仕事に行ってな。で、ケガで入院したんだけど、スマホは家に置きっぱだったから…俺が風邪ひいたとフーコが勘違いしても仕方ないな」

「入院?!ねぇ、ちょっとどーゆー事?シュウ大丈夫?!」

「大した事じゃない。捻挫も治ったし、検査も異常なかったし」

「それならいいけど…」

疑いながらも心配してくれるフーコ


「ならなんでラブホなんかに…やっぱり溜まってたんだね?! 退院祝いオナ

「だからちげーって。肌荒れが酷いから体にオイルを塗ろうと思って…」

「…思って、ラブホ?」

ぐ?! 掘り下げてくるなコイツ


「ベッドがオイルまみれになると思ってたんだよっ!」

「1人なら風呂場とかで…

「ストーップ! それ、俺も気付いたからそれ以上言うなっ」

バカだねーシュウは…みたいな顔するんじゃねえよ


「ねー、最初私にしてよ」

「はあ?何で? 俺の肌荒れ対策だぞ」

「素人のシュウにちゃんと出来る?」

「オイルを塗るだけじゃねーか」

幼稚園児でも出来るだろこんなの


「分かってないなーシュウは。場所によって力加減まったく違うんだよ?それにシュウ1人で自分から背中…出来る?」

くっ!それを言われると…

「…フーコの言い分も一理あるな」

悔しいが背中は自分じゃ無理だ


「でしょ?じゃあ準備するねー」

スポーンと爽快に服を脱いだフーコ

「待て待て待て待てっ!お前、何全裸になってんだよっ」

コイツ、恥じらいという言葉を知らんのか?


「何よシュウ。今更じゃない。…それにシュウは私の全てを見てるのよ?あ、お互い様だったわね」

「……否定出来んのが歯痒いな」

ほら、早くやれと言わんばかりにベッドに横たわるフーコ


「…始めはうつ伏せからにしねーか?」

「はー。注文が多いマッサージ師さんだこと。分かった、先ずは背中からね」

おかしいな…。何故やらす側が愚痴ってるんだ?

「じゃ、やるぞー?」



〜〜〜



「うん。シュウ、全然ダメ!やっぱり思った通りだわ」

はい、0点頂きました。どうもすみません

「何がダメだったか分かる?言ってみなさい」

おー、怖っ。しかし自分でもコレは失敗だなと感じるな


「力加減…ですね」

「そうね。力加減がなってなかったわね。…それから?」

それから?それからって、まだ他に何かあんのか?

「えっと…。えっと、尻を叩いたのがいけなかったと思います」

「そうね。エッチの時は最高…いや、マッサージにはスパンキングなんてしたらダメね。…他には?」

まだあんの?!

俺、全く分かんねーよ。つーか、素人だぞ俺。高いクオリティを求めんなよ


「すみません。全く分かりませんです」

「これだから素人は…。いい?1番大切なことは''愛"よ」

「はい?」

「あ・い!」

「強調すんなっ!分かってるよ。俺が疑問に思ったのは、なんで愛なんかって事だよっ」

まだ耳が遠くなっとらんわ


「バカねシュウ。癒してあげる、気持ちよくしてあげるって愛情をもってすると、効果が全く違うのよ」

「マジでっ?!」

「マジで」

「本当に?」

「しつこい!」

し、知らんかった…。まさか技術云々の前に、気持ち次第で効果が変わるなんて…


「私がお手本をしてあげる」

「フーコ先生、お願いします」

今度は俺がベッドに横たわった

「フーコ先生の実力、味わいなさい」

……

「…上手いな」

「でっしょー?本当のね、そう…お店の

オイルマッサージを受けてると、コツが

ある程度分かるんだよ」

「そうなん?」

「月2回通ってますから」

「それは…普通なんか?」

「さあ?人それぞれだし。聞いてる中では1番多い人で3日に1回」

「3日?!」

「そんなに驚く?」

「いや、3日だぞ?多いだろ。それにお金もかなり…」

「金持ちなんでしょうね。でもお金より身体って考えてる人、割と多いのよ実際」

「へー。そんなもんかね」


驚いたが納得。確かにコレは気持ちいいや

癖になりそうだし…お金に余裕があるなら、毎日でも受けたいって考える人もいるかもしれないな

コツをいくら掴んだといってもフーコは素人。素人でここまで出来るなら、プロならもっと…


「んー…。気持ちいいなぁ…

        ……スー…スー…」

「ありゃ?寝ちゃったか…

       …シュウ起きて〜」

「…」

"ニヤリ"

風子の口元が歪む


「寝てしまうのが悪いのよ♪」

風子は修をゴロンと仰向けにさせた


「まあまあ、いつ見ても大層ご立派なモノをお持ちで。じゃ、いただきまーす」

風子の1人作業が始まった



〜〜〜


「…んっ?! 寝ちまったか」

いつもの癖で時計を探す

「うを?!」

フーコが隣で寝ていた

「マッサージで疲れたから寝ちゃったんか。起こすのはかわいそうだ…な?」

時計を見ると朝8時を過ぎていた


「朝じゃん?! おい!フーコ起きろっ」

「んー、もいちょっと…寝とく〜」

「いいから起きろっ!」

俺が先ずベッドから降りて、薄い布団をフーコから剥がした


「ひゃん?!」

「ひゃんじゃねーよ。起きれっ」

かわいい声出しても無駄だ。俺は厳しいぞ

……

「…おはよう」

「ん、おはよー。ちゃんと起きたようだな。もう8時過ぎてるぞ」

「ホントだっ」

「昨日はマッサージありがとな。気持ちよ過ぎて寝ちゃったよ」

「でっしょ。私もプロですから当然ね」

「いや、プロじゃねーだろ。ま、上手いのは確かだが…」

フーコが俺の正面に座る

いろいろ見える。危険な所もだ


「…こう、なんか…あらたまって見ると、お互い恥ずかしくないか?」

「そう?私は全然。むしろ、ほれっ」

ぷるんと揺らし胸を張る


「そこは恥ずかしいとか何とか…

…あれっ?!」

ドコとは言わないが、ピンク色になっていた

「お前、ピンクだったっけ?」

「へ?ピンク??」

首を傾げるフーコ

「だからー、それ。そこだよ」

胸に指を差す


?!


「あぁっ?!ピンクになってる!」

「大声出し過ぎ」

「だって…。でも、なんで??」

「お前が分からんのに、俺が分かるわけないだろ?」

「うーん…。そうだよねぇ…」


2人は朝メシもとらずに悩んだ

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