第50話 ちょっと待ってよ!!
「皆さん買ってきましたよ!!」
急いで買いに行ってきてくれた三月さんが勢いよく扉を開けた。
「ありがとう!ちょうどイチゴソースがなくなってどうしようって困ってたとこだった!」
「間に合ってよかったです!私も手伝います!」
「そんないいの!?」
「いいですよ!一人で回ってても面白くないですし!」
「ありがとう!助かるよ!」
「いえいえ!頑張りましょう!」
「1番テーブルマンゴー1つ、イチゴ2つのチョコ1つ!あとみんなトッピングに白玉とシリアル!」
「了解!」
こうして休むことなく仕事していた。
「お待たせしました!イチゴパフェ2つとマンゴーパフェ1つとチョコパフェ1つにトッピングの白玉とシリアルです!ごゆっくりどうぞ!」
僕がお客さんにパフェを渡すときとは大違いで歓声が沸き上がっていた。メイドパフェということで、男性のお客には女性が、女性のお客には男性が持っていくという風になっている。男性客に関しては学園の美少女が持っていくことになっているため文句も何もいらない万々歳なのだが、女性客に対してはこの僕が持っていくことになっているのだ。まぁそれはそれはお怒りですよ。男子はいいよね~ってね。
そりゃハードルが上がりますわな。男性に対しては学園一の美少女が接客してくれているのに女性の接客といったら見るからに負け組の陰キャですよ。そりゃ文句の一つや二つ出てきますよ。けどさぁ・・・!
仕方ないじゃないか!!!そんな美少女が接客してるからってカッコいい男が接客してるとは限らないんだよ!!何を期待しているんだよ!!ここは学校だぞ!!ちょっとお値段がするオシャレなお店じゃないんだよ!!!!そんな僕だってできればこんな醜態さらしたくないよ!!!
だったら違う人がやれって?
そんなこと僕も言いたいんだよ!!けどもう決まってたんだよ!!
久遠がやればいい話だったのになんか僕になってたんだよ!!
もうそうなったら断るなんて不可能なんだよ・・・!!!
と、持っていくたびにこの様な気持ちになるのだ。
もうやめてほしい。
「雷斗くん!これまた2番テーブルに!」
「は、はい・・・」
負の連鎖が僕を襲ってきて接客するたびに干からびそうになる。
「お待たせしました。チョコ2つとイチゴ2つにトッピングでシリアルです。」
「先輩!そんな死んだような眼をしながら言わないでくださいよ~」
声を出した人を見てみると・・・
「静さんか・・・あ、どうも」
静さんのお友達に挨拶をして立ち去ろうとしたが・・・
「待ってくださいよ~もう行っちゃうんですか!!」
「並んでいるのが君には見えないのか?こっちは話に付き合ってられるほど暇はしてないんだよ、分かったらその手を放せ!」
「この人がこの後一緒に回るって言ってた先輩?」
「うん!この人が雷斗先輩です!」
「なんか思ってた人と違うや~凪沙ならもっといい人選びそうなのに~」
え?何子の人達。僕とは初対面ですよね?それに一応先輩だよ?それになんで僕のことを話しているんだよ・・・
「先輩言われてますよ(笑)」
「もっとひどいことを言われたことが何回をあるから大丈夫だ」
「なんかすみません」
「いやそこツッコむとこな。何回いったらわかるんだ、余計に悲しくなってくるだろ」
またいつもと同じような会話をしていると
「けど凪沙が好きになったのわかる気がする」
「ねぇ雷斗先輩、今から私たちでカッコよくしてあげよっか?」
静さん以外の後輩たちがニヤニヤしながら言ってきていた。
いやだから僕先輩だよ・・・???
「い、いや結構です・・・」
「なんで~そんなこと言わずにさぁ~、ま!そんなこと言ってもイケメンにするんだけどね」
「ちょっ!やめてください!ってやめろぉぉぉぉ!!僕は先輩だぞ!!ちょっ!ホントに怒られるから~~~・・・」
そう言って3人の後輩たちにムリヤリ手を捕まれ思うままに引きずられていってしまったのだった。
つづく
あとがき
最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!
いや~ついに雷斗もイケメンになるときが来ましたね!これは女性客もびっくり仰天するでしょう!!次回もお楽しみに!!
立花レイ
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