第44話 それでも私は

「先輩待ってください」


私は腕をつかんだ。

やっぱり私は諦めることができなかった。

何度も諦めなければと思ったのに体が勝手に動いてしまった。

まだ心のどこかで先輩のことを譲れないと。


「どうした?やっぱり体調悪いか?」


「いえ、違うんです...」


さっきまであんなに大泣きしていたのに。

もう届かないって思っていたのに。


先輩は振り切らせてくれない。

先輩の顔を見た時、私は今まで以上に心臓がバクバクと体中に鳴り響いていた。

今日の心配してくれたたった一言で私の心は揺らいでしまう。


自分が情けなくて仕方がない。もう私の恋は終わったって、もうこれで終止符を打とうって決めたのに先輩の言葉でいとも簡単に壊されてしまう。どんなに諦めようとしても、どんなに忘れようとしても、どんなに振り切ろうとしても、本当の自分には嘘をつくことができない。


そしてその時本当の欲望が現れるって。


「なんだよ、何か嫌なことでもあったのか?」


「いえ、そんなことではありません。ただ今は先輩と一緒にいたいって思っただけです。もっとこっちに来てくれませんか?」


「え?お、おう」


「ねぇ雷斗先輩、もし私が先輩のことが好きっていったらどうしますか」


「なんだよ急にそんなことあるわけ.....」


「いいから答えてください!!!」


私は先輩の言葉を断ち切るようにして声をあげた


「そんなことは言われてみないと分からないだろ、僕にだって...誰にだって分からないんだよそんなこと...」


先輩はいつもとは違って真剣な表情で言って来た。


「けど先輩は好きな人いるんじゃないですか」


「なんでそうなるんだよ」


「だって夏祭りの時必死になって咲奈先輩のこと探してたじゃないですか」


「それとこれとは違うだろ」


「好きじゃなかったらなんなんですか、咲奈先輩になにか違う義理でもあるんですか」


「一緒にお祭り来た人とはぐれたら探すのは当たり前だろ」


「やっぱり好きなんじゃないですか...」


「なんでそうなるんだよ、さっきから何が言いたいんだ?言いたいことがあるならはっきり言っ...!?」


私は先輩に答えを返した。


これが私の言いたかったこと。


唇と唇が重なり合う。

初めてのキス。

これは私の思い、そして誓い。

もう諦めたりなんてしないって、もう弱音なんて吐かないって。

奪えるものは全部奪う。

誰かを傷つけようとも誰に何と言われようとも。

私は全力で喰らっていくって。

最後まで諦めないって。


「先輩!これは宣言です!いつか必ず先輩を振り向かせて見せます!覚悟しておいてください!!」


私はそういって立ち上がりみんなの方へと走って向かった。



「私は先輩が好きです」



小さく言葉に出して勝を入れた。


勝負はこれから始まる。

きっと思い通りになんて簡単にいけるものではない。

だけどそれを乗り越える。

どんなに失敗したってどんなに苦しいことが起きたって私は戦い続ける。

もう二度と挫折はしない。












もう二度と迷わない。


                        つづく



あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

これにて凪沙の思い編は終わりです!!

いかがだったでしょうか??楽しんでいただけたなら嬉しいです!!

明日と年始は忙しいのでもしかしたら投稿がないかもですのでよろしくです!!

もう今年も今日で終わりですよ(現在12月31日深夜0時20分)

いや~早いですよね一年って。もう来年令和3年でしょ??令和になったのは5月くらいとはいえもう3年が経つんですよ、信じられないですよね。時の流れが早いよ。

受験生の方は必死に頑張っていると思います。今が追い込みの時期ですよね。

もしかしたら受験生の方で見てくださっているひとがいるかもしれませんね。

いま辛いときですが頑張って下さい!陰ながら応援してます!

おっと!あとがきが長くなってすいません!

ではまた!次話でお会いしましょう!よいお年を!

                            立花レイ

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