第43話 君に届けようとしても...

静 凪沙


私は聞いてしまった。

思いもよらない形で辛い真実を突き付けられた。


「好きじゃないよ」


私は頭が真っ白になった。

いきなり記憶をなくしたかのようだった。

そして何も考えられなくなってしまった。

嘘だ嘘だと思えば思うほど、雷斗先輩が放った言葉が蘇ってくる。


信じたくなかった。


お祭りでの出来事


必死になって咲奈先輩を探していた雷斗先輩を見た時から薄々気づいていた。

きっと先輩は咲奈さんのことが好きなんだって...


だけどそれを信じ切ってしまうとどこまでも離れて行ってしまうような気がして...

分かっていた思いを押し殺して別の視点から見るようにした。

雷斗先輩はとても優しい人だ。と


別視点から考えるといっても嘘をついているわけではないです。

本当に雷斗先輩は親切です。

まだ会ったばかりの生意気な後輩に目が覚めるまで隣にいてくれるくらい優しくてカッコいい人です。そんなことまでしてくれる先輩が私を知る前から付き合ってきたお友達に対してするのは当たり前だと思います。そのくらい親切で優しい方なんだなと思い込んでいたんです。


いや、思い込ませていたんです。



だけど



だけど...!!



自分で嘘をつくことは限界でした。

必ずこういった日がやってくると......


分かっていました。嘘をつけばつくほど自分が辛くなるだけだって。

分かっていましたよ。

けど欲望には勝てなかった。

もしかしたらという甘い考えをしていました。


本当はお祭りの時に覚悟を決めるべきだったんだと。


その後といい、脈なしなことなんて分かっていた。


「なんか静さんは妹みたいだな、妹いないけど...」


先輩の言った言葉です。


妹みたい


それはつまり一人の女の子として見てもらえていないと言われているようなもの。


けど私バカだから......


まだチャンスはやってくると思っていたから......




先輩が好きだから......!!!!



諦めきれなかった。


だからこんな大沼をかいている。


結果、つもりに積もった雪が崩れ落ちてきた。





涙が止まらなかった。



こんなに泣いたのはいつぶりだろう

小学校低学年でもこんなに泣いていなかったのに...



思えば思うほど涙が溢れてくる。

先輩との楽しかった時間、先輩の逞しさ。

沢山の思い出がプレイバックしてくる。


「先輩!!先輩!!......雷斗先輩...!!」


こんなにも苦しくなったことは人生で初めてだと思った。


恋がこんなにも辛くて苦しいことなんだと思い知らされた。




私は恋愛を一度もしたことがなかった。

それどころかロクに好きな人もできたことがなかった。


体が弱いことで友達はいなくなりクラスでは一人ボッチでずっと影のような存在感になってしまった。もうそこには私の居場所はなく孤独だった。

私が明かしたことでこんなにも状況が変化してしまうんだと気づいた。

そして誰も信用しなくなったし今後二度といわないと心に決めた。

自分を分かってくれる人なんていないだと、

そして恋愛感情なんてものは私の中から消え去っていた。



だけどその壁を壊してきた人がいた。



恋をした。


初恋だった。


恋というのは単純で挨拶一つで嬉しくなるし、その人の笑っている姿をしているだけで思い悩んでいたことも一瞬で吹き飛ばしてくれる、魔法のようなもの。


私がこんな思いをする時が来るなんて自分でも想像していなかった。


つい目で追いかけてしまったり、ふとした時に考えてしまう。

いつもの生活にはあり得ないことを考えてしまう。

そんな毎日だった。




けどそれも今日で終わり

私の恋は散ったのです。



「私には勝てないのか......な?...恋なんてしなきゃ...雷斗先輩と出会わなければ良かったのかな......ねぇこえてよ先輩......」



                               つづく


あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

まず初めにこっぺぱん改め立花レイです!

ペンネームが既に使用していた方がいらっしゃってそれで当然ですが変更することになりました!!

ペンネームが変わったとはいえどやることは変わらないのでご安心を!!


さぁ!久しぶりに結構長めの回想をかいたような気がします!!

やっぱ回想はいいですね!書いててもたのしいです!!

まあラノベの良いところですよね!漫画にはない少し賢い感じの自分の気持ち的な!

これからどうなっていくのか!?凪沙もいい心の持ち主ですからね!

乞うご期待!!

では!!また!!よろしくお願いします!!

                           立花レイ

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