第42話 海2

僕はみんなの分も買おうと朝宮さんを呼んで売店に行くことにした。

何故か静姉が不在だったために少し複雑な人たちで来ることになってしまった。


「瑠美ちゃんは何食べたい?焼きそばとかイカ焼きとかいろいろあるよ!」


「........」


朝宮さんの言葉に黙り込んでしまった瑠美ちゃん

朝宮さんを呼んだ時からずっと僕の後ろに隠れているままだった。

それに朝宮さんたちが遊んでいるところにはあまり行きたがっていなかったように思えた。


「私嫌われちゃったかな...?」


そう言って少し寂しそうな顔で言ってくる朝宮さん


「ねぇ瑠美ちゃん、瑠美ちゃんはおねぇちゃんのことは好き?」


「うん...好き」


「じゃあ瑠美ちゃんよりおっきい人はどうかな?」


「ちょっとこわい...」


「けどせんぱいも瑠美ちゃんより大きいよ?怖くなかったの?」


「せんぱいはいいの...」


「どうして?」


「なぎねぇがいつも話してたしいいせんぱいだっていってたから...」


「そっか」


多分瑠美ちゃんは何らかの形で知っている人じゃないと怖くて話すことができないのだ。おねぇちゃんが話している人は安心感があるのだろう。けど見知らぬ人となると引き気味になってしまう、といったところだ。

それは小さい子は自然なことであろう。大きい人はこわい、それは誰しもが通った道である。


「じゃあさ瑠美ちゃん、せんぱいの友達はどうかな?」


「......」


瑠美ちゃんが黙り込んでしまうと


「ねぇ瑠美ちゃん見てみて!!今ここに木の棒があります!この木の棒を右手から左手に移動させます!よく見ててよ~~~」



「はい!!さっき右手にあった木の棒が左手に移動しました!!」


それをみた瑠美ちゃんは今までが嘘だったかのように顔いっぱいの笑顔でそして目を輝かせていた。


「わぁぁ!すごい!おねえちゃんどうやってやったの!!」


「それはひみつで~す!!」


「おねえちゃんのケチ~~~」


顔を膨らませて言っていた瑠美ちゃん

無事に朝宮さんに打ち解けられることができたので良かった。


「ほら瑠美ちゃんもうすぐ順番回ってきちゃうよ!何食べるか決めないと!!」


「たこやき~~~!かきごおり~!!」



数分前にはなかったであろう光景がそこには広がっていた。


「じゃあ、たこ焼き4つと焼きそば六つください、あ!あとイカ焼きも六つ!」


「あとかきごおり!」


「はいよ~」


そして二人とも笑い合っていた。

それはとてもまぶしく見えた。




僕たちが戻ってきた時にはもうみんな集まっていた。


「おせ~よ!腹が死にそうだぜ!」


「ごめんね~いろいろ買ってきたよ!」


そう言ってみんなが取り囲んでいる輪の中にご飯をおくと


「お~!やっぱり海といったら焼きそばとイカ焼きだよな!!スゲ~うまそう!」


「おいしそう!!」


「おお!!これが海での焼きそばですか!!ほんとおいしそうですね!!」


みんなが騒いでいる中、僕は見た。


「.........」


「どうした?大丈夫か?」


「い、いえ!少し遊び過ぎて疲れてしまっただけです...」


「そ、そうか。あまり無理して食べなくてもいいからな、体調悪くなったら言えよ」


「はい、ありがとうございます」


静さんはいつもの元気ではなかった。

僕は彼女の返答を言葉の通りに受け止めた。



「瑠美ちゃんたこ焼きはおいしい?」


「うん!おいしい!」


「そっか!良かったね!」


「おねえちゃんにも一つあげる!!」


「ありがと!」


すっかり仲良くなった朝宮さんと瑠美ちゃんを見ていると瑠美ちゃんが寄ってきて


「せんぱいにもあげる!!」


そう言って口の前にたこ焼きを差し出してきた。


「ありがとう」


僕はそういって口の中に放り込んだ。


そしてこの後も楽しくご飯を食べ......




「じゃあもう一回暴れるか!!」


「そだね!!今度はみんなでね!」



そう言って海へと駆け出して行った。


                            つづく



あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

次回もまだまだ海編がつづきます!!!どうぞお楽しみに!!!

では!また! 

                            立花レイ

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