第29話 夏の終わりと新たな始まり
「終わっちゃったね。花火」
「結局、あの二人とも合流できなかった...」
僕たちは4人で一緒にお祭りに行こうって言って来たのだが、みんなでいたのは1時間くらいだった。
到底、夏祭りとなんて言えるのもではなかった。
探して探して探して
何も祭りらしいことなんてすることができなかった。
「今日は楽しかった!!今度はみんなで花火みたいな!!」
朝宮さんがそう言ってきた。
僕は少し驚いた。
あれだけ楽しみにしていた朝宮さんが......
こんな形で終わってしまって楽しかったはずがないのだ。
一緒に回りたかっただろう。
一緒に花火を見たかっただろう。
その思いを押し殺して言葉にしているんだと
そんな言葉に思えた。
しかし、言葉には先があった。
「楽しかったっていうよりは嬉しかったのほうが正しいのかなっ!一人で不安だった時もあったけど、それを忘れさせてくれるくらい嬉しくていいことがあったからさ!!」
「え???」
「雷斗くんは責任を感じちゃってるかもしれないけどね(笑)・・・・・・けどそんなに背負わなくていいよ!雷斗くんが思っているほどのことじゃないし、とってもいい思い出になったからさ!!」
君はどれだけ素晴らしい心を持っているんだろう。
僕にはそんな考えはない
そして嘘を言っているような言葉の表現ではなかった。
本当はみんなで屋台回って花火をみて
沢山の思い出を残すはずだった。
それを僕は台無しにしてしまったのだ。
それなのに君は
朝宮さんはそうじゃなかった。
「もっと楽しいことは来年にお預けしてさ!今は今の思い出を作ろうよ!お祭りは終わっちゃったけどまだ私たちの夏は終わってないよ!」
彼女はそういって僕に語り掛けてきた。
そうだ。
そうだよな。
何で僕が一番悲しんでんだ。
朝宮さんが一番悲しくて、悔しかったはずだ。
それなのに逆に励まされてどうするんだ。
朝宮さんの言うとおりだ。
今は今だ。
チャンスは来年にだってあるんだ!
「そうだね。」
僕は短い言葉で返した。
「咲奈~~~雷斗くん~~~!!花火買ってきたよ~~~」
そう言いながら走ってきた雪野さんと久遠
「ごめんね~~~!!!迷子になっちゃった子がいて一緒にお母さん待ってたらこんなことになっちゃって...」
「全然いいよ!やっぱり優しいね!紅葉は」
俺は!?といってツッコミを入れてくる久遠
そこで少し笑いがおき
いつものような雰囲気に戻った。
足りなかったものが返ってきたような...
そんなこの空間がとても懐かしく感じた。
「じゃじゃ~~~ん!!みんなで花火見れなかったから急いで買ってきました!!」
「ってそれさっきもう言ってただろ(笑)」
「うるさいな~~!!そんなのはいいの!...というわけで早速やろう!」
「お~~~!綺麗~~~~!」
朝宮さんたちがそう言いながら笑っていた。
僕たちは四角形になってみんなでそれぞれの違った色の花火を見合っていた。
そして
「今度はもっと大きな花火をみんなでみたいね!」
「そうだね!それに次は七瀬ちゃんとか凪沙ちゃんも誘ってさ!!」
「来年にそれは持ち越しだな!」
「まぁ、来年は受験生だから来れるかどうかも心配だけどね....」
「ああ~~~~~!!!雷斗くん上げてから落とさないでよ~~!!今せっかくいい感じの流れだったのに~~」
「テスト頑張って余裕を持つしかないな!!」
「そろそろテストか~~、勉強しないとな~~」
「今度こそ雷斗に勝つぞ!!!」
「むりだな、お前は僕に一生勝てないよ、大体順位50位くらい離れているだろ」
「それを超えて見せる!!」
「できたらいいな」
「そんなこと言ってられるのもいまの内だぞ!」
「テスト勉強またみんなでしますか!!」
「いいなそれ!学年上位の朝宮さんいるしな!」
「教えてもらい放題だ!!」
そんなことを言いながらこの空間を楽しんでいた。
「今日はありがとう!とてもいい思い出になった!」
朝宮さんの言った言葉でみんな笑顔になった。
途中、いろんなことがあったけど最終結果がいいならそれでいいんだ。
いつもと違う夏
僕にはとても新鮮で
僕にとっての一番の夏の思い出になった。
つづく
あとがき
最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!
これにて夏祭り編完結となります!!
次はテストが待ってます!!
みんな頑張ります!!
次回もお楽しみに!!!
立花レイ
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