第28話 奇跡の虹色

「咲奈~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!」


気が付いたら叫んでいた

僕もなぜこんなに叫んでいるのか想像もつかない


けど...


そう行動しなければいけないのだとそう感じた

沢山の出てくる朝宮さんとの思い出

そして楽しそうにしていたあの顔が

あの笑顔が




忘れられなかった



その笑顔を


守りたいと思った。


人の目なんて今は知らない

そんなことは今どうだっていいことだ。

恥ずかしいし目立ってて気分が悪い


けどこの思いはしまっておけ

こんな感情は今思うことではない


僕以上に苦しくて悲しい思いをしている人がいる


その思いを捻じ曲げてまで自分を貫く趣味は僕にはない


だから何度でも


何度でも


君の名前を叫ぶよ



「咲奈~~~~~~!どこにいるんだ!!返事をしてくれ!!」


ダメだ...!

いくら人が少ないとはいえ結構な人数いる!

みんなの話声で僕の声がかき消される......!!

片っ端から探していくしかない...!!!


「咲奈~~~~~!!どこだ~~~~~!!聞こえたなら僕のほうに来てくれ!」


僕は人だかりをかき分け探し出していた。

しかしそう簡単には見つからず......


全然見つからない...!!僕が探すのが下手なのか...??

けどこの神社を4.5周してるぞ...!

それでも見つからないってのか!!

クソ!!花火が終わってしまう...!!


よく考えろ僕!!

ここは祭りの中心部ではなく比較的静かな場所だ。

だが静かな場所の中にも静かなスポットがあるはずだ...!!

そこはどこだ............






そうか!






僕は走り出した。




そして......




「咲奈!!!!!!!」




「雷斗くん.........?」



そう彼女は神社の裏の薄暗い木の下で座り込んでいた。



「どうしてここが.........?」


「静かなところが好きって言ってたでしょ?それを参考に探してたらここにたどり着いた」


すると朝宮さんは泣き出してしまった。

それもそうだろう

長い時間一人でこんな暗いところにいたのだから

こんな状況で不安にならない人のほうが間違っているだろう。


僕は申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうになった。


僕は泣いている彼女に抱き着いた。


「ごめんね。僕のせいでこんなことに...咲奈にこんな思いをさせてしまって...ホントにごめん......花火もみんなで見れなかった......ごめん...ごめんね......」


「怖かったんだから...!急にいなくならないでよ...!雷斗くんのおおバカ!!ヘタレ!」


「何でも受け止めるよ、」


こればっかりは僕も何も言い返すことができない。

言い返す権限すらない

こんな形で泣かせてしまうなんて......


僕は......


「けど...ありがとう......見つけてくれて.....!私を迎えに来てくれて嬉しかったよ...!ちょっと遅かったけど!!」


「ごめん」


「もう謝らない!!」


「分かりました......」


「カッコよかった......。」


「え?」


「雷斗くんがきた瞬間ヒーローなんじゃないかって思ったよ..!」


「ヒーローなんて大げさな.....大体僕が悪いんだし...」


「それでも来てくれた。わたしはそれだけですごくうれしい」


「.........」


「それとね...さっき名前で呼んでたよね......?」


「へ???」


「咲奈って......」


あれ?僕そんな呼び方してた...?




(咲奈~~~~~~~~~~~~!!!!!!)



あ...


目茶目茶名前で呼んでる......!!!!



「ご、ごめん!!!!必死になってたからつい!!今後は間違えないようにします!!だからどうかゆるして.........」


「名前のままで呼んでほしいのにな......」


「E???」


「い、いや!!!私は雷斗くんって名前で呼んでるでしょ!!......なのに雷斗くんは名前で呼んでくれないんだって......」



ええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!

ちょっ!!!マジですか!!!

そんないきなり!!!

唐突に言われても......!

ま、まあ確かに焦ってて名前で呼んでいたけどあれは意識してなかったから!!


そんな呼んでほしいなんて言われたら緊張通り越して体がはじけ飛びますよ!!!

けど......


呼びます!!!


よばさせてください!!!


少しづつでも君との距離を縮めていきたい......!!



「わ!分かった!!時間はかかるかもしれないけど名前で呼んでいけるように頑張るよ!」


「うん!!」


「じゃあ花火見に行こうか、咲奈」


「うん!雷斗くん!」



こうして無事に朝宮さんを探し当てることができた。

探すべきだった久遠と雪野さんはいないが......



僕たちが表に出ると


最後の一番大きな花火が僕と朝宮さんを照らしていた。


                       つづく



あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

いよいよお祭り編も終盤です!!

最後までお楽しみください!!

                         立花レイ

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