第27話 夏の色

なんだかんだで沢山の屋台を見ていたらすっかり久遠たちのことを忘れていた。


「そろそろ合流しようか」


「そうだね!花火もあるし!」


そう言って別れた場所にたどり着いた


が...


「あれ?見当たらないね...どこにいるんだろう」


「久遠に連絡してみるよ」


僕はそういって返答を待った。


早く返信してきてくれ!

この状態だとあんまり出歩くこともできないし緊張が凄いから...!


僕はそんなことを思いながら返信を待ちに待っていた。



だがその願いが叶わないまま30分が経過した。


「あの二人どうしちゃったのかな~」


「連絡もないからどうしようもない...何をしているんだあの人たちは...」


「心配だよ...」


「一人一人ではぐれてることはないと思うからそこは安心だけど...花火はみんなで見れるか心配だ...」


一緒に買いに行ってたからはぐれているっていることはなさそうだけど最後みんなで花火を見ようって言ってたのにそれがなしなるのはちょっとな......

朝宮さん楽しみにしてたしそこだけは何とかしないとな...

だから早く連絡をしてくれ久遠...!!!


「連絡も今のところ来そうにないし少し探しながらで屋台回ってないところ...ま、回る?」


あんまり退屈にはさせたくないしここで待つより探しながらのほうが効率はいいかもしれないし!!


「う、うん!!そうしよっか!!」



「あ!カステラある!おいしそう~~!...っわぁ!すいませんっ!!」


そう言って人とぶつかってしまった朝宮さん


「人が多いとどうしてもこういうことが起きてしまうね...」


「う、うん、気を付けないと...」


少ししょんぼりした顔で伝えてくる朝宮さんに僕はとっさに


「り、りんご飴!買ってくるよ!」


そう言って列に並んだ。


そんな顔しないで朝宮さん!!

別に朝宮さんが悪いわけじゃないんだ!

これはしょうがないことであって......

けど朝宮さんは優しいから...

優しいが故の考えをしてしまう。

ここは僕が...!


何故かここでりんご飴を買って少しは気が紛れてくれるんじゃないかとそう思ってしまった。


そして僕は大変な失態を犯してしまった。



「やべっ!感情のままに来てしまった!!戻らないと!!」


そう思い元いた場所に戻ると




「朝宮さん??」




彼女の姿はなかった。



クッソ!!!!!何をしているんだ僕は!!!

いま現在進行形で久遠たちと離れ離れになっているっていうのに僕は...!

バカなのか雷斗!!

何でそんなことも分からないんだ!!こんな混雑している中で少しでも離れたらはぐれるに決まってるだろ!!

女の子一人にして!!何をしているんだよ......!!!

クッソクッソクッソクッソ!!!

探さないと!!!!

この混雑の中だ!まだそんなに遠くには行ってないはずだ!

早くしないと4人どころか一人で花火を見せてしまうことになる...!!

そんなことあってたまるか!!!



僕は人だかりをかき分けて探し出した。



「クッソ!見つからない!このままだと花火が...!」


確か花火が始まる時間は19時だったか...!

今は......18時半...あと30分か

どこにいるかの検討が付かない限り考えなしに探すのは効率が悪すぎる!!

なにか...なにかないのか?朝宮さんが行きそう場所...!



そんなことを考えていると思いだした。




「静かな場所は心が落ち着くから好きだな!」




そうだ!朝宮さんは静かなところが好きって言っていた!!

この騒がしい祭りの中で静かなところは......



そうか!神社か!あそこはあんまり人が来ないはずだ!

行くしかないっ!!!





そして神社を目の前にして花火が始まる5分前になってしまった。



やっとここまでついた...!

人が多くてなかなか進めなかった...!

もう時間がない!

ここにいてくれないと終わりだ...!!!


すると

僕の名前を呼んできた人がいた。


「雷斗先輩も来てたんですか!?しかも一人で!!悲しいですね!!」


「静さんか。ごめん今はギャグに付き合っている暇はないんだ!もう行くよ!また学校で!」


「ちょっ!先輩!咲奈先輩なら上で見かけましたよ!悲しそうでしたよ~、あと意外と混んでるので気を付けて~」


「ありがとう!!静さん!今度何か奢るよ!!」


「ありがとうございます~~~!」

「.........なんで名字に戻ってるんですか...先輩」




僕は階段を一気に駆け上った。


「はぁはぁ......ついた...どこにいるんだ!朝宮さん!」


そして走り出した瞬間


花火の音と共に僕の背後を照らした。


僕はピタリと止まり汗をにじませた。

そしてもう一度走り出す!


クッソクッソクッソ!どこにいるんだ!!朝宮さん!!

僕の失態でこんなことに...

探せ僕!!

朝宮さんは白に赤の模様が入った浴衣を着てただろ!!

探し出せよ!!!雷斗!!!

てめぇのせいだろ!!








今君はどこにいるんだ!!!








人は必死にもがいて、足掻いて、全力になっているとき

われを忘れて感情が心臓を貫通して行動するときがある


感動や嬉しかったとき、怒りや悲しみのように普段こみ上げることのない張り裂けそうな思いが混みあがってくる。



なにかを成し遂げるため

大切なものを守るため

約束を遂行するため


自分の大切なものを

人の思いを守るため



その思いをさらけ出すことがある。









「咲奈~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」


                         つづく




あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

夏祭りいいですよね~~

世間は厳しい状態で来年も祭りが開催されるかどうかもわからない中ではありますがまた落ち着いたら行きたいですね。

僕も青春したいです!

参戦するのは一人ですが.........

雷斗...みんな...僕も混ぜて......!!

                           立花レイ

















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