第12話 僕と美少女とバイト
バイトをやることになってから二週間、僕たちは働いていた。
「いらっしゃいませ~~!ご注文はどうなさいますか?」
僕は朝宮さんの声を耳にテーブルを拭いていた。
ご飯を食べに行った数日後に面接を受けに行った。
新しくできたところで人員が欲しいのか、すんなり受かった。
もうバイトを始めて何日か経っているためある程度仕事内容は覚えてきた。
「雷斗くんと咲奈ちゃん!もう上がってもいいよ!あとはやっとくから~、お友達も来てるんでしょ?行ってあげな!」
「すいません!!じゃあお先に失礼します!」
「お先に失礼します」
僕たちは先輩に甘えて先に終わることにした。バイト先の先輩が優しくて何よりだ。
「お!お疲れ~、バイトやってみてどう?」
「大変だけど楽しいかな~、先輩も優しいし緊張してたけど良かったよ!」
「雷斗はどうだ?」
「まあぼちぼちかな」
「詰まんねー返しだなおい!」
「この質問に対して面白く答えるほうが難しいと思うが...」
「まぁうまくやってそうで何よりだよ!」
「また暇なとき寄るわ~」
「いつでもきて!」
そうして僕たちは店を後にした。
なんだかんだでバイトをすることになってしまったけど、案外悪くない。
楽ではないけれどやりがいはある。お金も稼げる。
いい商売だ。
初自給は何を買おうか?
そんなことを考えながら家へと歩いていた。
朝宮咲奈
雷斗くんとバイトを始めて数週間
着々と仕事がこなせるようになってきていた。
「最近どうなの?雷斗くんとは」
「わっ!えっと、その~進展はないです...」
しゃべりかけてきたのはバイトの先輩の円香さん
彼女は大学生だ。
そしてなぜか私が雷斗くんに好意を寄せているということがバレているのだ。
「そっか~~そう簡単にはうまくいかないよね~」
そう言って頭を斜めに考えながら声に出す
「雷斗くんの趣味とか知らないの?」
「趣味は知ってます。ゲームと読書ですね」
「女の子だと入っていき辛いよね~ゲームなんてわかんないよね~」
「一回だけ一緒にやったことあるんですけどそれきりです...」
「なんかないかな~」
「雷斗くん、不思議なオーラ出てるし何が好きなのかとか分からないよね~」
「あんまり自分から話しかけタイプではないですね...」
「そうだ!バイトの初の給料でデート行けばいいじゃん!」
「デ!デート!?そ、そそ、そんな無理ですよ!!!」
「大丈夫!私に任せて!!」
腰に手を置き決めポーズをとっている円香さん
円香さんはまだ数週間程しか接していない私たちのことをとてもよく見ている。
こういった話は一切していないのに気が付いた時にはもうこんな恋愛相談みたいな会話をしていた。観察眼がとてつもない人だ。
それにしてもデート!?!?そんなも私にできるの!?!?
うぅ~~~~!!考えるだけで恥ずかしくなってきたじゃない!!
どうすればいいの~~!!!
雷斗くんと二人きり
ちょっとだけ、ちょっとだけ行きたい!!ちょっとだけだから!!
一ノ瀬雷斗
「雷斗くん!仕事は覚えてきた?」
「まぁ大体は覚えました」
「はやいね~、優秀な人が来てくれてうれしいよ~」
「それはどうも」
声をかけてきたのはバイトの先の先輩の円香さん
髪の毛は茶髪でロングヘア、体系スラっとしていて男性からは人気が出そうな
社交的で話しやすい人だ。
「雷斗くんは初の給料で買いたいものとかないの?」
「本買ったり、ゲームの課金に使ったりするくらいですかね」
「ゲームに課金ってどのくらい使うの?」
「使っても5,000円くらいで」
「結構使うんだね...」
「僕なんか少ないですよ。もっと本気でやってる人は万単位でつぎ込んでますから」
「なんか怖いねそれ」
「ゲーム闇ってやつですね」
「使い過ぎないようにね...他には使うことないの?」
「とくにはないですね、たまにごはん誘われたりするんですけど値段なんて知れてますし使うことはあまりないですね」
「服とか買いに行けばいいのに~~オシャレな人はモテるぞ~?」
「本当にモテる人はどんな服着ててもモテますよ、全裸でもモテますよきっと」
「全裸は引くけど...咲奈ちゃんと前来てた友達と買い物行ったんでしょ?その時に服とか買わされなかった?」
「買わされましたよ、僕は外に出ることなんてほとんどないからいらないって言ったんですけどね、結局買わされました。試着して以降来てませんけど」
「ホントに!?...まぁでもそうか~、服に興味がある人って買った服を着たいって思うんだけど雷斗くんはそうじゃないしね~」
「ごくまれに遊ぶとき専用ですね」
「初給料で咲奈ちゃんとお買い物デート行ってこれば??」
「サラっと無理難題なこと言わないでくれますか?」
「無理じゃないよ~咲奈ちゃん服買いたいって言ってたよ?」
「それは友達と行けばいい話なのでは...?だいたい僕が行ってもどれがいいとか分かりませんよ、それにあっちが僕となんてお断りですよ。僕には無理です」
「そういう関係か~、これは長くなりそうだな~」
「なんですかそれ。そんなヤバい関係なんですか僕ら」
「いやそういうわけではないんだけどね、いずれ気が付くさ」
「はぁ......」
何なのこの人は...
朝宮さんとデート??そんなのないない!
というか僕を誘わせようと誘導してなかったか?
その手には乗らないぞ。僕はこんなとこで恥はかきたくない
僕にメリットがない。僕の悲しさと比例してないだろ!割に合わないんだよ!!
無駄なカロリーは使わない!!
「誘わないと給料減らすよ?」
「どういう脅しですか!!僕にはできません!逆に言えば朝宮さんが可哀想なまである!!こんなヘタレとデートって...誰が行くんですか...」
つい焦って早口にしゃべってしまった。
「いいじゃん!初給料で買い物デートしたって結構思い出に残ると思うけどな~」
「あとバイトする以上バイト用の服とかあったほうがいいと思うよ!汚れてもいいようにね!」
「は、はあ...」
意地でもデートさせたいんだなこの人......
果たしてこと人が諦めてくれるのだろうか。
いやないな...ここまで来たら押し込まれるのほぼ確定してるようなもんだな...
優しそうでいい人だと思ったのに...とんだ間違いだったな...
ここでまたイチャモンつけても結局は押しつぶされそうだからな~...
言うしかないか......
「分かりました!分かりましたよ!デート行きますよ!行けばいいんでしょ!!」
「分かればいいの~!あとで誘っといでよ~!咲奈ちゃんきっと喜ぶからさ」
「喜ぶ?ま、まぁ誘っときます」
なんでこうなったんだ~~~~~!!
朝宮さんとデート!?!?!?
そんなの心臓保つわけないだろ!!!!!!!!
どうしてくれるんだよ~~~~~~~!!!!!
誘うことになった経緯がよく分からんが先に誘っといたほうが気持ち的にも楽だから誘っておこう。
「あ、朝宮さん!」
「い、一ノ瀬くん!?急にどうしたの?」
「い、いや~、そのバイトの初給料さ、デートしない...?」
「えっ?」
「い、いやごめん!!そりゃやだよね!こんな奴とデートなんて...驚かしてごめん、忘れて...ほんとに...」
ほらな、僕の思った通りだ。結局期待したって返ってくる言葉は同じなんだ。
はぁ...これでまた黒歴史が増えたな.....
「違う!!そうじゃない!驚いたけどそうじゃないよ...私も誘おうとしてた。けど雷斗くんから誘ってくれるなんて思ってもいなかったから嬉しくて......
デートしてくれませんか?」
朝宮さんがそんなこと思っててくれてたなんて思いもしなかった。
こんな僕を君は...
そんなの断る理由なんてどこにもない。
応えはもちろん
「喜んで」
その言葉に朝宮さんは少し頬を赤くして微笑した。
そんな彼女を見て僕も微笑む。
不思議とこんな時間が続いてたらいいのにと無意識に思っていた。
つづく
あとがき
最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!
明日も投稿する予定ですのでよろしくお願いします!!
コンテストに応募する作品もそろそろ書かなきゃ出すのでそっちのほうも投稿出来たらなと思います!お楽しみに!!
立花レイ
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