第9話 僕と転校生と放課後

         ラング 「急にゲームやろなんて言ってきたから正直ビビっちゃいましたけど、楽しくできたからよかったです」


僕は朝宮さんとゲームをしたその日の夜、MMOをプレイしていた。


いつもギルドメンバーとはこうして日常の出来事を話したりしている。

モヤモヤしているときに気軽に話したりできるので心地よい。

これがMMOの良いところだ。ゲームを通じて人と話すことができるのはいつも現実では口下手な僕にとっては欠かせないコミュニケーションだ。


因みに僕のネットでの名前はラング


本名である”雷斗”をライトニングにして、それでは長すぎると思い省略して付いた名前がラングだった。ただの気まぐれで思いついたニックネームだ


マギル 「楽しかったなら何より!」


ニモ 「仲良く生活できてそうですね!順調でなにより!」


グレイ 「けど異性と同居っていろいろ大変じゃない?」


ラング 「そうですね。いろいろ気を使わないといけないので、まぁでも今はこの生活にも慣れてきたので初めよりは楽になりました。」


セブン「あんなこととかこんなこととかしましたか!?!?」


ラング 「そんなことしてないですよっ!!!」


僕の必死の抵抗にみんなが笑う


グレイ 「そっか~、けどあんまり羽目を外さないようにね」


ラング 「はい!」


ニモ 「じゃぁそろそろダンジョン行きますか~」


「「「リョッス!」」」



これが僕のプレイしているMMOの大切なギルドメンバーだ。


ちょっと変態な奴が紛れ込んでいるがとてもいい人たちだ。



そういえばこのゲームがきっかけで三月さんと話すようになったんだっけ。


ゲームの話で盛り上がったのはいいけど一度も一緒にプレイしたことないんだよな~



今度誘ってみるか。


そんなことを考えていると本人から連絡が来た。


「明日、私が買うゲームの発売日なんですけど、そのついでにゲームソフト見に行かないですか?前言ってた本屋とかも!」


ついでにかよ...まぁ初めて話した時に行こうって言ってたしな


「僕も気になってるラノベを見つけたから本屋行こうと思ってたしいいよ」


「やった~!、じゃあまた明日学校で!」


「おう」


やり取りを終えてゲーム画面を見たらリスポーン地点にいた。



あ...やらかした。


ログを確認すると案の定ギルドメンバーはお怒りだった。




翌日、何の変化もない一日を過ごし気が付いたら授業は終わり、下校時間になっていた。


「雷斗くん行きましょう!あ~~もう楽しみで仕方ないですっ!!!」


「僕も楽しみだ」


目を輝かせながら言ってくる三月さんに応えるようにして言葉にした。




「わぁぁぁ!!やっと手にできました!!この日を待ってましたよ!!」


「そ、それはよかったな...」


キラキラした目でこちらに近づいてくる


ちょっ!!近い!!こういう天然?みたいなとこあるんだよなこの人

明るい陽キャの人あるあるなのかこれ?

それかポンコツなのか...

いくら意気投合したとはいえ、まだ初めて会ってからそんな経ってないし緊張はするんだ。それに美少女だから余計に...


「雷斗くんはMMOの他に好きなゲームとかないんですか?」


「そうだな~、僕はFPSかな~」


「FPSですか~、私あんまりやったことないんですよね...あれ難しいですよね、私には無理だと思ってやめました」


「一つ一つの行動を考えないといけないからな~、僕もうまくはないけどプレイしていくごとに成長していったから、やっていけば上手くはなっていくとは思うけど。」


「まぁそうですよね、どんなゲームでもプレイ時間がものを言いますからね」


「プロゲーマーの人達は一日10時間とか平気でやってるからね、ほんとにあの人たちはすごいと思うよ」


「ほんとですよね、私には到底無理です...」


「あ~これ!最近話題のゲームじゃないですか!」


「新感覚RPGだっけ?世界観はすきだな、キャラのデザインも僕の好みだ」


「なのに買わないんですか??買えばいいのに」


「他のゲームで忙しいからな、やってる暇があんまりないんだよ」


「いつかレビューしてください!」


「いつかな」


この後いろいろ見て回った。


「じゃあそろそろ本屋に行きますか」


「そうですね、長居しすぎましたね...」


こうして僕たちは本屋に向かった。




「結構大きいですね~この本屋」


「来たことなかったのか?」


「今日が初めてですね、いつもは自分の家から一番近い本屋にいっていたので」


「そうか、ここは結構品揃えが良いからマニアックなラノベでも大抵揃うぞ」


「おおぉぉ!それはいいですね!私の行ってるところはないラノベがあったりするので心強いです!」


そんなことを話しながら歩いているとライトノベルのコーナーにたどり着いた。


「ほんとに沢山ありますね!より取り見取りです!」


「だろ?ここはすごいんだよ、っおあったあった」


僕は自分の買いたいラノベを手に取った。


「これが雷斗くんの気になっていたラノベですか...」


「な、なんだよ...そんなに変か?」


「いや、別にキモイだなんて思ってませんよ?」


「いや、もう言葉に出してるんだが...」


僕が持っていたのは幼馴染系のライトノベルだった。


僕は幼馴染系ライトノベルが好きなんだよ!!!!

ライトノベルの世界では幼馴染は正義!!

あんなにかわいい存在が常に隣にいるんだぞ!?

最高だろ!?!?

しかもだ!!!この二次元でもあり得るかもしれないことなんだよ。

この現実離れしてそうでしてない感じがいいんですよ!!!


「幼馴染系ライトノベルの魅力が分かってないな...」


「分からなくていいですよ...というか分かりたくないです」


「全国の幼馴染系ライトノベルファンにあやまれいっ!」


普通にけなされた。


MMOやっているよしみで今回は許しておいてやろう...

次は許さん!!


「三月さんはどんなジャンルが好きなんだよ?」


「私は推理小説が好きですね、たまにラブコメも見たりしますけど」


「幼馴染系ラノベもラブコメあるが?」


「ありますね」


「なんでけなしやがったんだ...」


「詳しくは幼馴染系ライトノベルをけなしたのではなくラブコメというくくりでいいのに幼馴染系が好きとか言ってちょっとニヤニヤしてた雷斗くんをけなしました」


「え......そ、そんなにキモかった...?」


「まぁ、キモかったですね」


悲しくて涙が出てきそうだ...


いいじゃないか、そのくらい


人生負け組も楽しませてくれよ...


現実ではできないんだよこんなこと!!!




陰キャラにも栄光あれ...



なんか買う気失せたな...買うけど



「ま。まぁ買ってくるよ」


「はーい」


僕はそう言って買い物を済ませたのだった。





「すっかり暗くなっちゃいましたね~」


「結構な時間いたな...」


夕方前くらいには学校が終わっていたがもう辺りは暗かった。


「そうだ、僕らMMOがきっかけで話すようになったのにまだ一回も一緒にプレイしたことないから近いうちにやらないか?」


「確かにそうですね。なら明日とかどうですか?」


「そうだな、明日はギルドの活動はないしいいよ」


「私も明日、ギルド活動ないんですよ!まさか同じギルドだったりして(笑)」


「あるわけないだろ」


「ですね、じゃあ私こっちなので!また学校で!」


「近くまで送っていかなくて大丈夫か」


「い、いえ大丈夫です!」


「そうか、気を付けて、また明日」


そう言って別れた。



三月さんとゲームか。


学校ではだれとでも話しているから本当はかけ離れた存在だろうと思っていたから、こうして一緒に話したりどこかに寄り道したりするのが変な感じだ。


レアなアイテムでも取りに行くか


そんなことを考えながら歩いていく。


明日 衝撃が起こるとも知らずに......

                つづく





あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!

10話もお楽しみください!

                    立花レイ













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