第9話
仕事を終えて出てくるとしたら、最後に入ったホラーハウスからだろうと、二人はその出口の前のベンチに腰掛け、葵から聞いた話を検証していたのだが、途中からその騒動に巻き込んだとされる藤原夫妻の話に、変っていた。
「一応、牽制はしておいたんだけど、今回のことで何かうまい手を使ったら、そのまま身近な存在になりそうで……」
雅は昨日の事を話し、心配を口に乗せた。
黙って話を聞いていたエンも、その可能性が否定できず、小さく唸る。
「蓮もだけど、妙な物に好かれる体質なのかな」
嘆く女の隣で、エンは小さく呟いた。
「……脅しが、足りなかったか」
「ん?」
「いえ。こちらの話です。しかし、暫く会わない内に、ミヤも貫禄がつきましたね」
笑顔で指摘され、雅はつい顔を顰めた。
「それは、誉め言葉なのか? 君がいなくなってから、君の分まであの子を大事にしなきゃって思って、必死だったんだよ。あの子の方も、私を気にしてくれているから、尚更弱い所は見せられないだろ?」
そうやって強がっている内に、百年余りはすぐに過ぎてしまっていた。
「だから、腹が立つんだ。叔父の件もそうだけど、自分の血縁が、あの子に悪い意味で関わっているなんて」
「その、十五六年前の話なら、もう心配いらないはずですよ。きっと、負け惜しみじみた言い分だったんですよ」
「どうして、そう言い切れるんだ? あの人、昨日はっきりと、まだ気にかけていると言っていたんだよ?」
気にかけるくらいなら、害はない。
そう口には出さずに思い、エンは小さく笑った。
そして、十五六年前、実際に起きた話を語り出した。
朝の日課は、葵探しだった。
朝食を作り、薪の材料を拾いに山をさ迷う葵を探し出し、家に連れ戻る。
既に市原葵として家を持ち、家族も持っていたのだが、その時奥方は臨月で、当時はまだ北の地にいた両親の元に帰っており、こちらに入り浸っていた。
蓮が非番の時は、その作業を短縮できるが、その日は仕事の日で、それは叶わなかった。
居候させてもらっているのだから、文句を言う筋ではないが、最近出回り始めた探査機の類を、葵に取り付けられないものかと、エンは真剣に考えながらも、時間を費やして大男を探し出し、家に戻る途中その人を見つけた。
「あの山にも、小さいながらにも滝があるでしょう? それを見下ろして、蓮がぼんやりと立ち尽くしていたんです」
驚いて声をかけたのだが、その声に珍しく体を跳ね上げ、蓮は振り返った。
勘の鋭い若者が、自分に声を掛けられるまで気づいていなかった。
その事実が意外で、ついつい、どこか悪いのかと心配した。
「そうしたら、これも珍しい事なんですけど、慌てて大丈夫だと取り繕ったんです。すぐ仕事に戻るから、朝食はいらないと言うので、オレは葵さんと共に家の中に戻ったんですが……」
様子がおかしい、というのは、エンよりも葵の方が強く感じていたらしい。
エンも、いつもの蓮と違うと言うのは、分かった。
「それより数年前にも、おかしい時があったんですが、その時ともまた違う感じで……」
その時は、エンと顔を合わせると、何か後ろめたい事があったのか、咳払いをして目を逸らすことがあった。
「意外に、分かりやすい子なんだよね、あの子も」
口調も動きも乱暴だが、世話焼き気質で、素直な若者だ。
「その時は、一月ほどでいつも通りに戻りました。今回も、その位したら戻るかなとは思いましたが、葵さんが険しい顔で言うんです」
あの時とは、事情が違う気がする。
エンもそう感じてはいるが、どこがどう違うのかが、分からなかった。
昼過ぎにそれとなく、朝の場所に行って様子を見てみると、蓮はまだそこに立ち尽くしていた。
おかしいとは思うが、尋ねても取り繕われるだろう。
そこで、葵は携帯電話で鏡月に相談したのだ。
面倒臭がりだが、実は優しい若者が、夕方姿を見せた。
未だぼんやりと立ち尽くしている蓮のいる場所に案内すると、近づく少し前から怪訝な顔をしていた鏡月が、その姿を前にして露骨に顔を顰めた。
「無茶苦茶嫌そうな顔をして、その場を離れてすぐにどこかに電話したんです」
電話をしながら、エンには夕食の催促をし、誰かと話してから葵と共に小屋に戻って来た。
「夕食の後、明日のこの時間にもう一度来るから、そのままほっておけと。何か、考えがあるのだろうと思って、言う通りにしていたんです」
「もしかして、その時には蓮、蘇芳さんと?」
「何かあった後、だったんだと思います」
その時は事情を知らなかったので、朝昼の飯時にそっと蓮の様子を伺い見、変らぬ状況なのを心配しながら夕刻を迎えたのだが、鏡月が再び姿を見せ、一緒に蓮の元へ向かった頃、変化があった。
向かった先にいた蓮は、同じようにこちらに背を向けて立ち尽くしていたが、電話中だったのだ。
「自分からかけたのか、相手からかかって来たのを受けて、話しているのかは分からなかったんですが、どうやら前者だったようです」
突然、緊迫した声で電話口に呼び掛けていた蓮が、舌打ちして携帯電話を握りしめたまま、振り返った。
何事かと驚くエンと葵の隣に立っていた鏡月が目を据わらせ、そんな外野の存在を素通りして、どこかに向かおうとする若者の前に立ちふさがる。
目を見開く蓮の体を鏡月は蹴飛ばし、そのまま胸を押して滝から突き落とした。
小さな滝つぼの中で、勢いよく水しぶきが立つ。
突然のその乱暴に唖然とする二人の前で、鏡月は蓮が取り落とした携帯電話を拾い、舌打ちする。
「仕事中に受ける方も受ける方だが、それを気遣う余裕もなく話し込むとは、情けない奴だなっ」
誰にともなく吐き捨ててから、エンを振り返る。
「食事の用意をしろ。多少消化が悪くても構うものか。瞬時に体力が戻るものを用意しろ。無理やりにでも口に押し込んでやるっ」
「え、はい」
怒気を孕んだその言葉に、エンは訳も分からず頷いたが、葵が我に返り叫んだ。
「れ、蓮っ? 大丈夫かっ」
「死にはせんっ。これから丹念に、あの匂いを、滝の水で落としてきてやる。それまでは戻らんから、ゆっくり準備しろ」
言いながら、鏡月は背を向けて躊躇いなく崖の下へと飛び降りる。
思わずそちらに向かいかけたが、意外にも高い崖でエンは足がすくんでしまい、声と水しぶきの音で、二人の若者の無事を確認するだけに留まった。
「……あの高さも、駄目なのか」
「そういう訳では、ないですよ。高さはそうでもないですけど、傾斜がすごいですから」
「この期に及んで、誤魔化すか」
兎に角、蓮は鏡月に任せ、葵に手伝ってもらって夕食が出来た頃に、濡れ鼠の二人が戻って来た。
憑き物が落ちたような顔で蓮は葵に詫び、エンにも笑顔を向けた。
「変な心配かけて、すまなかった。もう、大丈夫だ」
「当たり前だ。これ以上うじうじする間があるなら、先を考えろっ」
そこまで聞いた雅が、首を傾げた。
相槌を打ちながらも、話を止める事がなかった女が、初めて話を遮る言葉を投げる。
「うじうじ? 蘇芳さんとのことがあっておかしかったのなら、うじうじだけで、すまないと思うんだけど、どう言う事?」
その当然の疑問に、エンも大きく何度も頷いた。
「オレも初めは、仕事先で何か過去の事を思い出させる何かがあって、落ち込んでいたんだと思ったんです。ふたを開けたら、そんな生易しい問題じゃなくて、大混乱してしまいました」
用意しておいた衣服に着替えた後の夕食中、まだ不機嫌な鏡月とこれからどう動くかを話していたが、その時蓮の携帯電話が、着信を告げた。
目を細めてそれを受けた蓮は、静かに受け答えし、すぐに電話を閉じた。
「……まずは、こっちから治めるしか、ねえか」
やや緊張の面持ちで、蓮は外出を告げた。
その様子に葵も真顔で言う。
「オレも行く」
「駄目だ。お前は、エンとここにいろ」
初めから留守番する気のエンだったが、大男の不安な顔に何かを感じ、食後の茶を啜って気を落ち着けている鏡月を見た。
視線に顔を上げた若者は、蓮に切り出した。
「オレも一緒に行く。気になる事も、あるんでな」
「おい……」
「心配ない。あの狐は、目を合わせなければ、どうとでもできる」
視力のない自分には要らない心配だと言い、続けた。
「それに、あの辺りで何やら不穏な動きがあると言うのは、聞いていた。それがどう奴らに関係するかは分からんが、それ次第では、葵に対する心配も、皆無になる」
「それは、あいつが依頼して来た話が、動いたって事か? そういや、早晩襲われるかもしれねえとは、言ってたな」
予想の範疇を出ない話だが、結局葵も一緒に小屋を後にし、その夜は戻ってこなかった。
「戻って来たのは、翌日の昼前でした。全員無事だったんですが、出て行くときとはまた様子が違っていました」
どう違ったかというと、鏡月は気の抜けたような顔をし、葵は何とも言い難い表情をしていた。
そして蓮は、エンの前に正座したかと思うと、頭をうなだれて土下座した。
「今度ばかりは、お前に顔向けできねえ」
思わず慄いて身を引いた男を見上げ、若者は苦々しい顔で事情を話し出した。
「……詳しい事情は端折りますが、要は、あの人のせいで質の悪い狐に目をつけられたセイが、瀕死になっていると言う話でした」
聞いた時の感情が湧き上がるのを必死に抑え、エンは言った。
話の内容は、自分が思いもしない方向へと転がり、弟分の命の危険に及んだ。
「質の悪い薬で、命が助かっても、元の通りに生活できないかも知れないと言われて、危うく、あの人を殺しそうになりました」
それを留めたのは、葵や鏡月の目があった事もあるが、何より、自分にとって蓮は甥っ子であり、命の恩人であったからだ。
「それに、最大限の治療はしてくれたと感じたからこそ、殺意を押しとどめました」
蓮の心配も罪悪感も本物で、その気持ちにも真実性があったが、その証の品を目の辺りにしても、そんな事があり得るのかという気持ちの方が強かった。
「……君も、不思議な男だな」
話を収めたエンに、雅がしみじみと話しかけた。
「どうして、そこまでセイを大切にしているのに、あれだけの長い年月、放置できたんだ?」
今日もそうだ。
ホラーハウスに入らされることが、セイにとってはひどい仕打ちだと、知っているはずだ。
なのに、今も落ち着いてベンチに座り、話に興じている。
「オレも不思議なんですが……あなたは、どうしてあの子の苦手な物がここにあると、分かったんですか?」
小さく笑い、エンは逆に尋ねた。
誤魔化されているとは分かったが、最もな疑問に雅は笑いながら答えた。
「初めは、気づかなかったよ。朱里さんにビニール人形を贈った時も、礼を言われただけだったし」
気づいたのは、その朱里が結婚し、二人目の子供を産んだ後だった。
「出産して生まれた凪君と、小さかった里沙ちゃんと共にこっちに戻ってきた後すぐ、ライラさん達がこちらで喫茶店を開いたんだ。まあ、心配だったんだろうね、その前の数年、ライラさんが別口で稼いでたのは、その為だったんだって」
雅はセイと共に開店祝いに行ったのだが、その店の中にある物を見て、若者が目を見開いたのだ。
引き攣りそうになる顔を、何とか隠して目を逸らしたのを見とがめ、そのある物を見た雅は、思わず声を上げていた。
「これって、アンティークドール、ですか?」
人の赤ん坊ほどの大きさの、真っすぐな金髪の髪を背に流した、愛らしい人形だった。
雅の言葉に頷いたのは、ライラだ。
すぐにカウンターの上に座らせていたそれを抱え上げ、笑う。
「マリーが、開店祝いに送ってくれたの。可愛いでしょ?」
「本当ですね。本物の女の子みたいだ」
「ほら、寝かせたら、目を閉じるの」
女性陣が黄色い声を上げてはしゃぐ中、セイはそそくさと後ずさって、遠ざかってしまったのだ。
「その態度が、私たちのはしゃぎように引いたからじゃなく、人形から遠ざかっていたように感じて、おかしいなと思ったんだよ」
疑い始めたら、すぐに裏が取れた。
「周りの人の祝い事や弔いごとの度に、大きなデパートに行く機会があるだろ? あの子大概、服屋には入らないんだよ」
服の事は分からないから、雅や身近な女性に頼むと、セイ自身は言い訳していたが、待っている若者をそれとなく見ると、明らかに視線が泳いでいたのだ。
「デフォルメした物は、まだ大丈夫みたいだけど、リアルなマネキンには、目も向けないんだよね。あそこまで露骨だったら、いずれ周囲にもばれちゃうよ」
「……成程」
呟くエンは、何故か嬉しそうに頷いた。
セイの様に、身が危うくなりそうな動きをしている者が弱味をさらけ出す行為が、どれだけ危険か知っているはずの男なのにと、目を細めてしまった雅の心境を察し、男は苦笑して先の問いに答えた。
「幸せというのは、自分で勝ち取るものです。親や周囲はその手助けをするにとどめるのが、生き物としては正しいと思うんです」
種族としての本能は変えがたいだろうが、幸いにしてセイも自分も人間だ。
本能と言うものにも縛られなくていいのだから、ありのままの姿で幸せになって欲しい。
「その為に、邪魔になりそうなものがあるのなら、躊躇わずに消しますし周囲に心配や迷惑をかけたなら、暫くの監視もやむなしだと思いますが、それ以外では縛りたくないんです」
独り立ちさせるにはまだ早かったと気づいた時、早々に縛りつける手はずを整えたように、捕まえる時には加減する気はない、今迄もこれからも、そういう心算だ。
「そう言う匙加減が出来る君が戻ってくれて、良かった。ロンの行き過ぎな行為も、少しは治まればいいんだけど」
先程の問いの答えに納得し、雅は頷いたが、すぐに別な事を尋ねる。
「苦手な物をさらされるのも、邪魔にならないか?」
エンの考え方で言うと、弱みを握られる事も、自分で勝ち取る幸せの邪魔になりかねない。
そうなると、画策に協力してしまった雅も、その邪魔になる。
折角ここで和解したのに、ここでまた諍いが勃発しそうだと危惧する女に、エンは穏やかに笑った。
「生き物としては、怖がるのも普通でしょう?」
「?」
「ちゃんと、怖いと感じる事が出来るようになったんですから、それが知れたんですから、嬉しいです」
拾った時から、セイを知る男の、重い言葉だった。
感情が表に出ない子供は、祖父である大男の力を目の当たりにした時も、殆ど動揺しなかった。
僅かに、緊張する仕草をしただけだ。
孫の拒絶がないのは、祖父にとっては嬉しい事だろうが、あの場を知っていたエンは、逆に不安になった。
日々一緒にいる中で、不安は大きくなっていき、それはすぐに確信に変わった。
「……ようやく、正気に戻り始めているんですね。あの子にとって、ここがスタート地点なのかも知れません」
全ての思いを込めた言葉に、黙って男を見つめた雅が溜息を吐いた。
「君は、どこまでも保護者目線だな。本当に不思議だ。あの容姿と顔に、一度でも色事めいた思いを持ったことは、無いのか?」
「ないですね。初めのうちはそれどころでなかったですし、その後は心配が過ぎて、逆に振り切れたと言いますか。ああいう見目を意識したのも、遅めだったんですよ」
初めて感嘆したのは、髪が生えて来た時だった。
「? そんなに小さい時から、世話してたのか?」
聞いた話では、五歳くらいまではライラ夫婦と一緒だったと聞いたがと、首を傾げる女に、エンは首を振った。
「救出した時、枯れ木の枝の様な有様だったんです。髪は伸び放題だったんですけど、色々なものが絡まって、解せなくて。お湯を何度も沸かすのも手間だし、燃料も馬鹿にならなかったので……」
仕方なく、根元の方から刃物を入れ、全ての髪をそり上げた。
「生えてきた髪が、あんな綺麗な色合いだと言うのにも、感動しましたね」
だから、本当は色を誤魔化してほしくないのだが、土地柄そうしなければならない所もあった当時は、何度か悲しい気分になったものだったと言うエンを、雅は黙って見上げていた。
ついつい、昔の事に浸っていた男が我に返り女を見下ろすと、雅はしみじみと言った。
「君の代わりなんて、勤まっていなかったな。おこがましい事を言って、すまなかった」
「謝る事じゃないでしょう。実際、あなたはあの子に、とても頼られているみたいですし、羨ましい位です」
本当か?
ついつい、疑わし気にしてしまった雅だが、それ以上その話題は続かなかった。
嗅ぎ慣れた匂いが、近くに歩み寄って来るのに気づいたのだ。
「あ、終わったみたいだ。やっぱり蓮、香水つけてる」
無事に終わったようだと言う安堵と、矢張りあれは蓮だったかと言う思いが混ざり、いつもと違う笑いが漏れた雅の隣で、エンも面白そうに笑った。
「背丈もほぼ同じくらいになったんですから、自棄にならずに普通に行けば良かったのに、何を考えているんですかね、あの人は」
「仕事をわざわざ見つけて、ここに入ったくらいだから、余り怖がらせたくないってのが、本音なのかも知れないね。あの子、意外に優しいから」
特に何故か、セイには甘い。
そう言って笑う女に、エンは眉を寄せて唸る。
「殴る印象の方が大きいですけど、確かに」
例の件の話では、負い目があるからという事を差し引いて考えても、余るほどの恩を受けた。
その代わり、蓮本人と葵から、衝撃的な話を聞いてしまったのだが。
聞いた時は、全く信じていなかった。
だが、自分の父親のカスミが、仕事の一環で面白半分に書いた映画の脚本を読んでしまった時、信じるしかなくなってしまったのだった。
「……何だか、癪に障りますね」
「え、何が?」
笑顔で呟いたエンに驚いて雅が問うと、男は答えた。
「だって、自分が平気だからって、あの中で偉ぶる気なんでしょう? 蓮は」
パンフレットで見る限り、鬼火類の火は紛い物ですら出ない三つのホラーハウスを、敢て選んで入っているように感じる。
この選択を蓮がしているとすれば、本当に小狡い。
「最近の紛い物の火も、リアルですから、蓮だったら引っかかるはずなのに」
「え? あの子、火が駄目なの? 獣みたいだな」
「ええ。昔から極力竈には近づかない人だったんですが、最近は特に、その傾向がありましたよ。蝋燭の火に似せた物を見て、ぎょっとなった事もありましたから、相当苦手なんじゃないですか?」
予想しているだけの話だが、雅は空を仰いだ。
「ふうん、そうか。確かに、セイだけ泣くのは、可哀そうかな」
呟きながら、右掌を上に向け、目の前に掲げた。
突如現れた大きな狐火を見て、エンが目を見開くのを見返し、雅は優しい笑顔で言った。
「じゃあ、蓮にも、泣いてもらおうか」
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