『ルックバック』視聴して思い出した、「生クリームを食うように」映画を見る楽しさ

 先週、ルックバックを見てきた。


 言わずと知れた、藤本タツキ先生の読み切りマンガの映画化である。

 

 炎天下の中、高速の下をひたすらチャリを漕いで、映画館に向かった。


 目的地のモールに着いて、シュークリームとコーヒーで一休みした後、映画館へ。


 平日の昼間だというのに、やたら人が入っていた。こんな映画も珍しい。しかもここ、かなり辺境だぞ。


 それも、一般的な客層ではない。


 なんか、目つきが違うんだよな。


 明らかに「クリエイター然」とした感じの人が多かった。

 娯楽目的に、見に来ている層ではないなーと。


『デデデデ 前章』のときは、ホステスとか来ていたのに。

 おそらく、声を担当した「あのちゃん」とかが目当てだろう。


 でも、ルックバックの客層は結構統一感があった。

 創作ガチ勢という雰囲気が拭えない。


 でね、映画が始まってしばらくすると、こういうセリフが出てきた。



 新人賞に入選し、賞金を下ろした主人公が、「都会へデートしに行こう」といい出す。



「この金で、生クリーム食いに行こうぜ」


 主人公は、パートナーの少女にそう言う。




 映画を見終わった後、オレは頭を殴られた感じになった。

 

 この感覚って、結構重要な気がした。


 そうだよな。映画ってそういうもんだよなーと。


 いつからかオレは、映画のレビューを描くために映画を見る習慣になっていた。

 映画を本質的に楽しめているかなー、と。


 何をするにも、取材。

 何をするにも、経験。

 何をするにも、創作のため。


 なんか、そんな感じになっていたなと思った。


 創作者としてはアリなんだろうけど、それは本質を捉えてんのか? と。


 映画相手に、構えてもしょうがない。


 娯楽は、どこまでいっても娯楽である。

 

 創作って、そこに創作物があるだけしかない。

 金を払って食うか、スルーするかである。


 絶対に食わなければならないものでもない。


 ましてや、あら捜しでもない。


 でも、どっかでジャッジしてる自分がいるなと。


 いやそういうのを取っ払ってさ、生クリームを食えばいいんだって。


 そう思って、オレは昼食に、モールの食べ放題店でアイスを食いまくった。


 「ああ、これでいいんだよな」って思ったわ。

 何も考えず、むしゃむしゃわらわら食っていいんだよなと気付かされた。


 いくら考えさせられる内容だからって、変に構えなくていいんだよな。


 一度、創作とかそういう枠を取っ払って、映画を楽しもうと思った。


 それこそ、生クリームを食うように。

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