テーマとディテールのバランス

 岡田斗司夫さんによる、『10クローバーフィールドレーン』のネタバレ感想を見た。


 大事なのは、12:30以降の「作中のディテールとテーマのバランス取りの大事さ」について。


 最近のヒーロー映画に思うことを、岡田斗司夫さんが代弁してくれた。


「この映画の見所は、この先どうなるのかという紆余曲折の段階よりは、少女がどのように立ち上がるかの心理的な物語性」


「フロリダ銃乱射事件などの痛ましい事件がある中、『それでも立ち上がるアメリカ』という話を、アメリカ映画は作り続けなければならない」


「本来それはアベンジャーズの役割であるはず」


「だが、アベンジャーズもXメンも、【挫折して、内部で対立する、リアルな国際情勢の複雑さ】にシフトしてしまっている。『その中で立ち上がる人間の強さ』は、描かない」


「『バットマンVSスーパーマン』は、これのせいで失敗した」


「理由は、【なぜもめるのか】に力点を置きすぎているから」


「そのなかで、【それでも、我々は強く生き続けなければならない】というテーマこそ、ハリウッドは書かなければいけないはず。特にスーパーヒーローモノは」


「そこを置き去りにして、最近のヒーロー物はリアルさやディテール、複雑さに逃げている」



 さらに岡田氏は、安彦良和のガンダムにも言及していて


「ガンダムの核になる話とは、『SF世界という環境の中で、いかにして少年が周囲との関係性を取り戻すか』という話であるべきだ」


「だが安彦良和は、戦争のディテールにばかり気持ちが行っている」


「リアリティのあるディテールを細かく書いていくこと自体は悪くない。が、そのせいでテーマ性、問題が見えなくなってしまう」


 で、『10クローバーフィールドレーン』の話に戻り、


「この映画の良さは、その紆余曲折の中で、いかに少女が立ち上がり立ち向かうのかが面白いのだ」


 とまとめた。


 オレがつい最近、このエッセイ内で、


「小説じゃなくて、文章が書きたいんじゃねえの?」

 と、フラストレーション全開の記事を書いたでしょ? 


 ようやく、その正体がわかった。

 これだわ。

 ディテールに凝りすぎて、ドラマが見えない作品が多いんだ。


 小説講座の作品でも、「新しい話を書かないと!」って、ディテールばっかりにこだわっている作品が多かった。

 とくにSF作品はそうだったな。

 オレも一時期、ディテールばっかり凝った作品を何本か提出して、ドラマをおろそかにした経験はある。


 世界観やディテールは必要だと思う。

 が、第一ではない。


「こんな世界観の中で、主人公がどのような選択をして、正解だったり間違えたりしながら、どう現状に立ち向かうか」

 が大事なんだなと、改めて思う。


 HJ後期やカクヨムコンなどの各賞レースが始まる中、このことに気づけてよかったわー。

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