小説が書きたいのか、描写だけがしたいのか

 人の作品を読んでいるとき、ふと頭をよぎる事がある。


「この作品は小説を書きたいのか? 描写がしたいのか?」


 小説講座の作品を読んでいるとき、たびたびそういう気分にさせられた。


 やたら描写にこっていて、ドラマをおろそかになっている作品が、たまーに提出される。


 オレたち生徒はそういう作品を読んで感想を書くのだが、描写過多系の作品は割と多い。

 おそらく、

「伏線回収に手間取って、ドラマまで気が回らなかった」

 か、あるいは、

「描写こそ書きたいものだったか」

 のどちらかだ。


「ドラマを作る気がねえな。この人は」

 と思う作品には、よく出会った。


 中には「推理ゲームだけがしたいねん」て人もいたくらいなので。


 言うても、その「書き方がダメ」って説教したいわけじゃない。


 オレも、同じ気分になるときがあるから。


 先日、『マトリックス・レザレクション』の感想動画で、

「ストーリーは小さく、アクションもなあ」

 といった辛口な意見があった。

「自分がマトリックスに求めているのは、ストーリーじゃなくてアクションだ」

 との批評を動画で見た。


 その意見には、オレも納得した。

 オレも個人的に、マトリックスにはアクション以外の要素はそれほど求めていない。

 どれだけすごい映像を見せてくれるのか。それだけだったりする。


 あなたも、そう感じたことはないだろうか?


 たとえばAV。

 ドラマ性のあるAVで抜けるだろうか。

 寝取り系ならわかるが、絡み時間が少ないビデオだったら「金返せ」と思ってしまう。

 オレもドラマ性の作品よりは、「パ●ズリだけ四時間」とかの方をレンタルする。


 同じように、最近のエロ系なろう系アニメなどは、TV版でも見ない。

 声優さんの事情などがあって、どうしても制限がかかるからだ。

 中途半端感があるのは、微妙だ。

 それなら、全部映っている普通のエロアニメを借りる。

「声優さんがあえぐ」という貴重性なら、ネトフリの『BASTARD!』でもいい。


 エロマンガ。ストーリーがあっても竿役がでしゃばりすぎてなんか萎えるとか。

 何度、寝取り系竿役に殺意を抱いたことか。

「お前のケツ邪魔やねん! プレスして犯している悲劇性を生み出したいんやろうけど、ヤロウのケツでは抜けん!」

 と、何度思ったことか。


 他にも、ヒーロー特撮は戦闘シーンに集中していたなど。


 心当たりはあるはずだ。


 先に話した「推理ゲームだけ楽しみたい」という意見にも、ある意味では納得だ。

 そういう作品だってあっていい。『五分間ミステリ』などの謎解き特化ショートショート集があるくらいだし。

 また、推理を楽しむだけならアプリゲームをやればいい。またはトリックをゲーム会社に持ち込むとか。


 このように、欲しい物が即物的なものだと欲望がむき出しになっていく。

 その感情を利用するのも、手なのかもしれない。


 なんというか


「ドラマを入れなければならない」

 というよりは、

「ドラマを入れる気がないなら、別の戦い方があるよね」


 というのが、オレの意見だ。

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