「主人公には目的を」というけれど…… ~「夢や目的を持たないといけない病」を逆手に取る~

◆主人公に、夢や目標を授けられない作者たち


「主人公には目的を!」

 これはいまや、創作の要となっている。

 最近、この話題はSNSでもバズっていた。


 ではこんなケースはどうだろう。


「主人公が、大きな夢や目標を持っていない場合」


 普通の人を主人公にするケースだと、主人公は何をしていいのか分からない。

 そのため、どうやって動かせばいいか分からず詰む。


 だからといって、とってつけたような目標を持たせても、結局は詰む。

 本心からの望んでいないから。


 しかし、かたくなに主人公に夢を持たせたがらない人もいる。


 そういう人の作品は、どうしても凡庸な作品になりがちだ。


 エンタメにするには、巻き込まれ型にするしかないかなーと考えてしまう。


 となると、一昔前のラノベによく現れた「没個性主人公」のできあがりになる。

 いてもいなくてもいい、ギャルゲの主人公だ。

 だが、多くの作家志望者はうまく扱えず、結局はただの語り手、傍観者と成り下がる。



 どうして多くの人は、「夢や目標がない主人公を選びたがる」のだろう。


 理由は二つ。


「夢や目標を持っていない人の方が、圧倒的に多い」から。

「夢や目標を掲げて挫折する人が、圧倒的に多い」から。


 そっちの方が共感してもらえるのでは、と考えているのだろう。


 後者は元々何かをしていた人で、挫折したタイプだ。

 そっちはそっちで、再チャレンジしてもいい。

 また、別の道に行くとかもいい。

 ドラマは作りやすいだろう。


 問題は前者だ。

 前者は、「子ども」の主人公が多いかな。まだ世間を知らない。

 もしくは、漫然と生きてきた人など。

 こういう人は、充実した人生とは、というところから始めないといけない。

 お話を作るのは難しい。できてもまったりしすぎる。



 では、どうすればこういった没個性主人公が光るのか。


 これを逆手に取るいい手段がある。


 めっちゃカンタン。


「夢を探すこと自体を、目標にすればいい」



◆夢や目標をもたなければいけない病


 オレも昔は、「魅力的な目標を持たせないと」と躍起になっていた。


 しかし最近、人の作品のプロットを読ませてもらって気づく。


「あっ、この考えは、『子どもの主人公にはあてはまらんやん!!』」


 と。



 現在、SNSで

「夢や目的を持たないといけない病」

 という現代病が蔓延しているからだ。


 夢や目標がないと、漫然と生きているのではないかと不安になる症状だ。


 現在は、価値観が一昔前と変わっていて、

「やりたいことをやらないと意味がない!」

 という考えが広まっている。


 それ自体はとても素晴らしいことだ。


 しかし、どんなに考えが素晴らしくても、強要すべきではない。


 夢、目標、そんなものがない人の方が普通なのに。

 


 メンタリストDaiGoだって、

「夢や目標は持たなくてOKだと、科学的に証明された」

 と、解説している。


「変化のリスクに耐える力がない人」

「今目の前にあることをおざなりにしている人」

 ほど大きな目標を立てる、と。


「想像力を持って今に集中すること、目の前のやりたいことに、今、全力を注ぐこと」

 が大事なことで、

「今を生きるということが僕たちが幸せになる唯一の道」

 と、ブログや動画で語っている。 


 とある研究で

「科学者になりたいを思っている子」

「科学をしながら生きていくことを選んだ子」

 という二つのグループを大人になるまで観察し、

「実際に科学者になった子の割合」

 を調べた研究がある。

 結果、

「科学をしながら生きていく」

 ことを選んだ方が、挫折に強く、実際科学者になる子が多かった。


 反対に「科学者になりたいと思っていた子」は、

「理想と現実のギャップに耐えられず」

 挫折する子が多かった。



◆対策

 ではどうすればいいのかで、

「夢探し自体を目標に掲げる」

 ことを提案した。


 そうすれば、少なくとも主人公は能動的に動かせるはずだ。


 夢や目標を掲げている役回りは、「友人たち」に譲る。

 主人公は彼らから学び取り、何も助言できないなりに彼らの抱える不安を取り除く。

 彼らの思考が歪な場合は、矛盾点を突いて衝突するってのも手だ。

 別の道を提示して、軽蔑されつつも実は正しかったことで信頼を勝ち取ってもいいだろう。


 パートナーをもうけて、主人公と共に夢や目標を探させるのもいい。

 夢のない主人公を肯定し、上記した「今を全力で生きればいい」と提案してみてもいい。

 主人公が言うと、達観しすぎているので鼻につく。発想が成熟しすぎて、枯れている。

 パートナーに言わせる方が、フィルターになっていいかも。


 そんな冒険を経て、主人公は自分の役割に辿り着く。


「夢を持つ者を応援することが、自分の目標だ」

 と結論づけてもいいだろう。


◆まとめ


 オレは以前より、「夢や目標のある主人公」に固執はしなくなった。

「夢や目標を持つことが、美徳とされすぎている」

 と気づいたからだ。

 

 その発想を逆に「ネガティブなモノ」としても提唱できると気づいた。


 夢を持たせられず、主人公に個性を出せないをお考えなら、上記の方法を試してみては?

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