第13話 悪種と妖精族

ヨーデル家の晩餐会

葵、ルスタ、サラ3人は

和やかな団欒の時を過ごしていた


「サラ!そろそろ」

ルスタは声をかけると奥の間に葵を誘った


「葵ちゃん これからあなたに

とても大切な話をします」


「最初にあなたに聞きたい事があるの・・・」


「あなたの父さんダンさんはいつから

あなたに冷たくなったの?」


「いつから暴力を振るうように

なったか覚えている?

ダンさんはもともと

優しい人だった筈よ・・・」


葵はハッとした表情になり・・・

ルスタとサラ両方の顔を見た

(1年前・・・あの時から)

葵は当時の事を今でも忘れられない

父ダンだけでなく

リムラ村全体が

破滅に追いやられた

奇怪な出来事の数々


葵自身 元々は利発な少女だったのだ


『葵おはよう 

よく寝くれたかい?


「父さん おはよう 

昨日ね!とっても素敵な夢を見たのよ!

妖精さんが出てきて

私と遊んでくれたの・・・」


ダンは葵が楽しそうに話す夢を

優しい眼差しで頷き

受け止めてくれていた・・・


「そうかやはりソルナの子だな・・

さぁご飯にしよう!

今朝はご馳走だぞ!」


そういうとダンは葵を抱き上げ 

葵用の小さな椅子に座らせ

できたてパンを運んでくれた


「今朝焼いたばかりのパンだよ!

召し上がれ! 葵」

ダンはとても優しい人だったのだ。。


父の友人の奇怪な死のショック

そしてある騒動に巻き込まれ

ひどい怪我をして帰ってきた


「父さん どうしたの?

何があったの?」


「大丈夫・・

心配しなくていいから・・」

父は優しく返事をし

ベットに倒れ込むように寝入ってしまった


その晩 ダンは夢に魘された

「うっ・・・やめろ!やめてくれ!

葵に 葵だけには手を出すな!」


何度も何度も夢にうなされ...朝が来た

(そこにはすでに優しい父はいなかった)


何かに取り付かれているような

異様なオーラが

悪根が成長してしまったのだ


その頃の葵は父の豹変が理解できず

ただただ悲しく、辛い日々のはじまりであった

(その日から葵は涙を流さない日はなかった。。)


「葵!今から大切な話をします!!

これはあなたの父さんを助けられる

そしてこのガデムの町と

あなたが育ったリムラ村を救えるかもしれない!

重要なお話しよ!!」


葵はワールドの世界と人間界の関わり

そして人間が生まれつきもつ

悪種と妖精種の秘密を知る事になる


■□■◆◇


この3人の共通点は

妖精族の加護を受ける者であった


そして伝説の救世主巫女の出現が

間近である!という事に

時代の動きが見られるということ!


「妖精族はなぜ

人間社会へ来たのか?」


それは人間族の世界で果たすべき役割 

使命があるからである!

 

人間族に蔓延する闇の力があり

今の人間社会はサタンの子孫と呼ばれる

悪種が人間社会に影響を及ぼしている


その闇に影響を受けた人間はどうなるのか?

最初は心の中に生じる

小さなウソからはじまる

人のものを欲しがったり

妬んだり、疎んだり 誰もが持ち合わせるものだが

この小さな闇に悪種が反応するのだ!

そして悪種は成長し・・・やがて

 

盗みや暴力がなされ

人の命さえ奪われてしまう

悲惨な影響を及ぼす人間関係が壊れるのだ!


そして争い殺戮・・・戦争が起こる


しかしこの悪種は

生まれた時から宿っているものであり

人間の性質として備わっているものだ!


しかしこの悪種と対する善良な種がある

『それが妖精種』

つまりワールドの世界の命と呼ばれるもの


悪種と妖精種

この2つを持ち備えているのが人間であり

どちらの根が成長するかによって

人間社会でおこる倫理や道徳

人間個人としての資質に差が生じる!

生きる目的に及ぼす力は絶大なものである!


妖精族の資質が高い人は人徳があり

優しい、思いやりのある人と評価され

逆に悪種の影響が強い人は

思いやりがなく 乱暴な言葉をつかい

粗暴な人と評価される


悪種と妖精種のどちらの根が成長するか?

それは、その町に住む守護者の影響が大きいとされる


しかし最近、悪種の力をもった者たちが

力をつけはじめ、支配力を強めている

情報が入ってきていた!


そしてこれは噂だが

リムラ村の廃村の背後に

王都の悪種に支配されている貴族が

関わっている!という噂があった


ガデム村の守護者はルスタとサラである

(彼らの存在、役割を知る者は少ない)


ガデムの村は、この10年

守護者によって村や町が守られ

悪の根が広まらないように働いてきた

(村長のガデムとヨーデルは

この守護者の存在を知る数少ない人間である)


葵が住むリムラ村の守護者は

葵の母ソルナであった


しかし10年前

葵を生んで

暫く様子がおかしかった


父ダンは、ソルナを心から愛していた

しかし事件がおこり

行方が分からなくなった


ソムラ村において

守護者の加護が失ってしまった為

悪根が成長し、村は荒れていった

そして意図的に廃村になるよう

仕向けられたのだった!


そして最初は優しかったダンも

ある日を境に別人になってしまったのだ!


■□■◆◇


葵は悲劇の日々を思い出し 涙が溢れてきた・・・

この涙は父への同情

そして父を信じられなくなっていた

自分に対する悔しさがあった


あんなに優しかった父が

変わってしまったのは

自分のせいだと思い

どれ程 苦しんできたことか・・・


しかしルスタの話を聞き、葵は強い決心を!

自分のこれから成すべき使命を!

強く強くその小さな胸に刻むのであった!!

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