第10話 葵の決意!

「何だか葵ちゃん

強くなったよなぁ・・」

ラックはベットに横になり

今晩の話し合いの葵の姿が

頭から離れなかった


最初は同情心から葵を

守りたい気持ちが強かったが

今はそれだけでない 葵に対して

何かとてつもなく惹かれる思いがあった


「オレにできることないかな?

明日も葵ちゃんに会いにいこう!」

(葵が大切な存在に思えていたのだ・・)


■□■◆◇


葵はひとり夜道を散歩していた

今日起こった出来事を葵なりに

頭の中で整理する為であった

父さんに生まれて初めて 

自分の意見を言う事ができた

言葉が自然に出たのだ!


この一年葵はひどく

臆病で弱々しい存在だった


父の顔色を見て

怒鳴られ、暴力を振るわれない為に 

ただ従順に自分の気持ちを押し殺して

生きてきたように思える


しかし1か月前 

父からひどい暴力をうけた時

気絶して、夢の世界・ワールドの存在を知った

ワールドの国は わたしの心の傷をいやし

わたしを慰め何度も立ち直らせてくれた!


『素晴らしい世界だった!!』


葵は最初ワールドの国は

夢の世界だと思っていた

あまりにも現実的ではなく

願望が生み出したものだと思っていたのだ!


しかしワールドの国に何度も訪れ

ワールドの空気を吸いワールドで語られる

神の力によって魂が蘇っていく


そしてこの世界は

確かに存在していると

確信するようになった!!


しかし自分の意志とは

関係なくワールドの世界が開かれるので

私が困ったときに

出現する存在だと思うようになっていた

そしてもう一つ大きな事実があった!

それはワールドの世界に

行く度に弱さは消え

心が強くなっていくように思えた!

人は必ず変われる 神の力によって!


父さんからの仕打ちは辛かったけど

この苦しみはいつまでも続かない

必ず解決の道が備えられていると!

不思議と確信できたのである


そしてサラさんがガデム地方で由緒ある

伝統的なパサラ料理を

ご馳走してくれた事が転機となった!


『鍵が開いたのだ!』

ワールド国に行くと内から湧いてきた力が

現在を生きる葵に

直接流れ込むようになったのだ!


『繋がったのだ!』

ワールドと現在の世界が!!

ついに!!!!


葵にとってこれから

自分に与えられている

使命があるように思えてならない!


「それは何だろうか・・・」


この使命はひとりではできない!

チームを作り

共に助け合う仲間が必要なのだ!


ラック

彼は私の事をいつも心配し

助けようとしてくれる!

きっと私の良き支えになるだろう!


そしてラックの父ヨーデルさん

きっと困った時に良き

相談相手になってくれるだろう!


サラさんとカムイさん

とても明るくて素敵な夫婦だ!

わたしに住まいと

いつも栄養のある食事を提供し

私の生活の基盤となる

温かい家庭を与えてくれた!

彼らの存在なしに今の私はない!

本当の家族といえる!!


葵は彼らの事を思うと

涙が自然と溢れてきた


その涙が地面に落ちた


すると・・・

葵は気付かなかったが

枯れた花が再び生き返った!!


「こんなところに花が咲いていたかしら?」


まさか自分の目から流れ落ちた涙は

ワールドの世界の雨雫と同質であり

自然界に影響を及ぼしているとは・・


そしてやがて葵はとんでもない権力と力を得て

廃村化した村々を

全世界を復興する大きな役目を果たす!


伝説の救世主(巫女)

になることは知る由もない

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