第8話 ルレオ橋で
アニーはサラさんの店に向かい
ルレオ橋に差しかかっていた
そこで急いで橋を渡る
少女の姿が目に入った
「誰だろう?
見かけない子だな・・・」
(しかしすごく可愛い子だったな!)
「あれ?
あの怪しい男は誰だろ?
今の子の後をつけているような・・・」
(気のせいかな?)
「こんにちは!」
アニーはサラの店に入り店内を見渡した
すると案の定ラックの姿が・・・
「おい!
ラックここにいたのか?」
「アニー!!
お前何しに来たんだ!」
「なんだよお前!その言い方は!」
(さてはお前本当に(笑)
「喉が渇いたんでな!
ジュースでも飲もうと思ってよ!」
「そうなんだ・・・」
(何だか怪しいなぁ)
「それよりお前
どういうつもりだ!」
「どういうつもりって何がだよ!」
(アニーは不審な顔をしている)
「デルの気持ちだ!」
「デル?
デルがどうしたって言うんだ!」
「お前!
まさか知らない訳ないだろう?」
「何が?」
「何が?ってお前・・・」
そう言いかけた時デルが入ってきた
「えっ!?
ええっ!?」
(ラック アニー)
「お前・・・その格好は?」
「ラック見て?
可愛いでしょう!?」
(デルはかなり自信気に着てきた服を見せてくる)
「あっあぁ・・・・・・・」
(これは下手なことは言えないなぁ~)
「この席空いてるわよね
アニーも一緒に座りましょうよ!」
「すいません!
注文お願いします!」
「はい!
いらっしゃいませ!」
(奥からサラさんが)
「それよりこの店で働くことになった
女の子がいるって本当ですか?」
「ええ 本当よ!」
「今どこにいるんですか?」
「葵ちゃん?
おつかいに行ってもらってるけど
どうして?」
「えっ?
いえ気になったもので・・・」
「そろそろ帰ってくると思うけど
ラックなら何でもお見通しよね?」
「えっ!?
いや~そんなことは・・・」
「だって葵ちゃんが
おつかいから帰ってくる時間をみて
いつもお店に来るじゃない?
よっぽど心配なのね?」
(何ですって・・・(怒)
「ただいま戻りました」
おつかいに行っていた葵が帰ってきたが・・・
どこか様子がおかしかった
(表情が暗い)
「サラさんこれ頼まれていた商品です」
葵はサイラ菜と
ラキュールの香料をサラに手渡した
しかし挙動が少しおかしい・・・
左上腕部をかばっているような仕草だ
「葵ちゃんこっちへ来て!」
サラさんは葵の袖を捲り首元から
上腕、肩、肘
胸から臍のあたりまで丁寧に観察していく
「痛い!!」
「葵ちゃん この痣はどうしたの?」
(ラックとアニーデルは葵に目をやった)
「これは前から・・・」
しかも今回新しい傷が
サラさんは口びるをふるわせ
葵をそっと抱きしめている
「こっちへおいで
手当してあげるから」
(サラは葵の手をひき店の奥へ)
「ラック!
悪いけど井戸の水を
少し汲んできてくれるかしら?
それからヨーデルさんを呼んできてくれる?」
「サラさん何があったの?
その子ケガでもしているの?
(ただ事でない様子に
アニーとデルも心配そうにしていた)
「ラック!井戸の水は
オレが汲んできてやるから
早くお父さんを呼んできなよ!」
「サラさん
もし薬が必要ならうちの店に
薬草たくさん置いてるから
もらってきてあげるよ!」
「ありがとう みんな!
ではお願いできる?」
ラックはすぐに店を出て父が働く作業場へ
アニーは井戸の水をデルは薬草を
もらいに実家が経営するお店に向かった
アニーは水を汲みもどると
サラは冷たい水にガーゼを
浸し優しく葵の傷にあてた
「アニー
悪いけどカーテンを
閉めてくれる詳しく調べたいから・・・」
(サラは他にも傷がないか
詳しく調べることにした)
葵の全身は傷だらけでとても痛々しく・・・
1度や2度暴力をふるわれたものではなかった・・・
「こんなことって・・・
人の親がすることじゃない!」
(サラは怒りをこめて呟いた)
「サラさん実は
さっきお店に来る途中、ルレオ橋を
渡る時その子を見かけたんだ!
その子のあとを怪しい男性が
後をつけていたんだ!
その人がもしかしたら・・・」
アニーは涙がとまらなくなり
必死で様子を伝えようとした・・・
「葵ちゃん!正直に話して!
おつかいの帰りに何があったの?」
「なにも・・・
本当になにもありません・・・」
そう言うと葵はお店の階段を
駆け上がり自分の部屋に入ってしまった
「今晩 みなを集めましょう!」
(サラは強い口調で言った!!)
■□■◆◇
サラは最後の客を見送ると
部屋で休んでいる葵を呼びにいった
そして葵を席に座らせ
まわりにラック アニー デル
サラ ヨーデル エリーおばさん
そしてサラさんのご主人のカムイが加わり席についた
「今日はみなさんお忙しい中
集まっていただき本当にありがとう!」
「当然だよ!
みんな葵ちゃんのこと
心配してるんだからさ!」
(アニー)
「えっ?
お前今日初対面だろうが!」
(ラック)
「オレが心配しては悪いのかよ!」
(葵ちゃんに出会ってから
この子の事が頭から離れないんだ・・・)
「葵ちゃんは今日から
私の親友になったの!
わたしが葵ちゃんを守る!
葵ちゃんの為だったら何だってする覚悟よ!!」
(デル)
「確かお前・・・
昼頃まではラックの恋敵と挑戦的だったのに
どうしてそんなに好意的に
めちゃくちゃ親友ズラしてるじゃないか?
それにまだ一度も話してないのでは?」
(呆れるアニー)
(まぁオレもだけど・・・)
■□■◆◇
「本当は子供たちが話し合いに入ることは
反対だったんだけど
ヨーデルさんが葵ちゃんを
心配している友達の存在が大事だから
参加してもらった方が良いと意見があったので
あなた達も参加してもらったのよ!」(サラ)
「はい!分かってます!」
3人は声を合わせて返事した
サラは飲み物をみんなに出し
葵の前には作り立てのサンドイッチを置いた
「葵ちゃん!
あなたお昼から何も食べてないでしょ!
食べて元気だして!」
「ありがとうございます!」
(葵は怪我が痛み
食欲がないのかサンドイッチを
2口3口食べるが残りを皿に戻してしまった)
「葵ちゃん!
もっとしっかり食べてよ!」
(ラックは元気のない葵に声をかけた)
「ありがとう!ラック
もう少し食べるようにするね!」
(そして話し合いの前に葵が
食べ終わるのを静かに見守ることにした)
□■◇◆
「しかし大変なことになっちまったなぁ~
あいつ村長の好意を
無視しなんで葵に会いにきたんだ!」
(サラの夫カムイは大柄な男で
大きな声で話しだした)
「わたしはね!
この間葵ちゃんが熱中症で倒れて
以降ずっと心配していたのよ!
そして何かあったら必ず連絡してね!って
ヨーデルさんにお願いして今日来た訳だけど・・・
あの男はどうしようもない奴だね!!」
(怒り心頭のエリーおばさん)
「あの時、葵ちゃんが
どうしてもお父さんと
一緒に暮らしたいって言ったから
あなたの思いを尊重し
しばらく見守る事にしたけれど・・・
今回の暴力事件がありもうほっとけないわ!
私が葵ちゃんと暮らすわ!
それでいいわね!」
「待って待って!
みなさん少し落ち着いてください!
みなさんが葵ちゃんの事を思い
心配している気持ちよく分かります!
そしてこれからダン親子がどうしていくべきか?
私たちにできる事は何か?
ゆっくり相談していこうではありませんか?」
(ヨーデル)
「そしてこの際葵ちゃんの思いを
しっかり聞きたいと思います」
「これまでお父さんの暴力を
たくさん受けてきたのに
どうして一緒に暮らすことにこだわるのか?」
「葵はお父さんのことどう思ってるの?」
一同葵に視線を向けた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。