出会い

私とあなたが出会ったのは、雪の降る日のことでした。


わたしはその当時、靴は履いておらず、着物も雪に濡れていて、薄暗い街の中、大きな建物の横をゆらゆら歩いていました。

 私は、今すぐにでも死んでしまいそうな、いや、もうすでに死んでいるかのようでした。

 

 自分がどこに向かっているかもわからない。これからどうなるかもわからない。今より悲惨なことが起きるなら、わたしは幸せを手にすることができないのなら、死んでしまった方がいい。そんなふうに考えていました。


そんな顔をしないでください。わたしは父の妾の子で、優秀だった本妻の子供たちと比べると不出来で、容姿だけは良かったものですから、淫売婦の娘、卑しいものとして扱われてきたのです。そして16になり、道具として結婚せられ、そのままゴミのように扱われてきました。

 私も人間なのですよ…?そんな思いは誰にも届かず。


けれど、そんなわたしをみてあなたは、


「すいません。たまたまここを通ったらあなたを見かけて、、、

 大変みていられなくなりお声をかけました。とてもお辛いことがあったんでしょう。どうか、わたしの家でおやすみください」


なんて言って、とても優しくお声をかけてくださいました。わたしには、あなたは神様のように見えました。私に、そんなふうに優しく声をかけてくれたのは亡くなった母を除き、あなたが初めてだったのです。わたしはあの時のあなたの表情、声色、全て今でも鮮明に覚えているのですよ。


そうして、あなたの家に連れられ、衣服も整えてもらって暖かいご飯もご馳走になって、私は生きていて良かったと思えるほど幸せでした。

 その後、あなたは私の話を聞いて、悲しみの表情を浮かべ、

「あなたの周りは狂っている。あなたは幸せになっていい人だ」

と、私以外のものを否定し、わたしを肯定してくださいました。


それからは幸せな毎日でした。あなたのために働き、暖かいお風呂に入り、暖かいご飯を食べ、周りの従者たちとも打ち解け、わたしの居場所はここなのだと実感しました。

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