ラトセトエの前生

 ゲーム世界のユウキとアヤネは、一緒に過ごす時間が一気に増えた。


 アヤネが発言する。

「ユウキって、この数日で、めちゃくちゃ詳しくなったよね?

 スキル回しも超うまいし、私が教えるどころか教えられてる状況なんだけど?

 指示出しとかも様になってる。

 超イケメン。さすが旦那様って感じ。

 PTメンバーも、私たちのことリアル夫婦だと思ってるよね?」


 ユウキが発言する。

「ネットで予習したんだ。一応旦那さんだし、他の人とPT組んだときも、ボクが旦那さんだってちゃんとみられたいからね」


 アヤネが発言する。

「本格的だね。ストイックだね。私は楽させてもらってるから、超ありがたいけど」


 ユウキが発言する。

「アヤネは今の感じでいいよ。その方がボクもうれしい」


 アヤネが発言する。

「わかった、じゃ楽させてもらうね。今までのネトゲはマゾかったから、すごい助かる」


 ユウキが発言する。

「そうだ、アヤネ。こんどさ、ラノベと漫画貸してくれない? 全部」


 アヤネが発言する。

「全部? いいけど、男の子向けっぽいのしかないよ?」


 ユウキが発言する。

「それがいいんだよ。話合わせやすいじゃん。PT組んだ時、男向けの話題振りたいし」


 アヤネが発言する。

「確かに女子バレするとめんどいよね」


 ユウキが発言する。

「アヤネは女子やってて、めんどくないの?」


 アヤネが発言する。

「ヤバイなって時は、ネカマだよバリア張ればいいし、いまはユウキがいるから、誰も手を出そうとは思わないよ。私、ユウキの嫁だし。画面で見ててもネト充カップルにしか見えないから大丈夫」


 ユウキが発言する。

「ならよかった、今度少しずつでいいから学校に持ってきてよ」


 アヤネが発言する。

「うん、たくさんあるから驚かないでね?」


 ユウキが発言する。

「楽しみにしてる。ありがとねアヤネ」


 アヤネが発言する。

「気にしないで、私も話が合う異性がいると嬉しいからね」


 ユウキはあっという間にアヤネのラノベと漫画を読破してしまった。

 そのあとは、DVDや音楽CD、読み終わった少年誌や青年誌なども欲しがった。

 

 アヤネはというと、ユウキが置き場がなくなるからと交換するように持ってきた女性向けのラノベや漫画をたくさん読まされていた。リアル女子とパーティープレーしたときに話題について行けるようにと、DVDや音楽CD、ユウキが読み終わった女性誌なども交換した。

 気がつくとアヤネの部屋は女性向けの書籍やCD、DVD類で溢れかえっていた。



 新刊がでても読んだらユウキと学校で交換するので、女性向けの書籍ばかりが部屋に溜まった。


 アヤネが発言する。

「うーん、ユウキ、私の部屋、今すごいことになってるんだけど……」


 ユウキが発言する。

「どんな感じ?」


 アヤネが発言する。

「書籍やDVDが完全に女性向けしかなくなった。しかも増え続けてる」


 ユウキが発言する。

「あはは、女子なんだから普通じゃん」


 アヤネが発言する。

「いあいあ、リアルの話。最近さ、女子が休み時間に話してる内容が普通に理解できるのだよね? やばくない?」


 ユウキが発言する。

「気にしないで、ボクも話が合う異性がいると嬉しいからね」


 アヤネが発言する。

「それ確かに言ったけどさ、そろそろ読み終わったの交換しない?

 部屋の見た目がやばいからさ……」


 ユウキが発言する。

「ボクさ、借りてる本、まだ読みたいんだよね。

 もし、置き場所に困るようなら、アヤネの方で処分してくれていいよ」


 アヤネが発言する。

「え? 古本屋でリサイクルに出しちゃうよ?」


 ユウキが発言する。

「うん、いいよ、手間が省ける」


 アヤネが発言する。

「ほんとにいいの?」


 ユウキが発言する。

「うん、アヤネに借りてる本のが面白いからね」


 アヤネが発言する。

「そっか、そんなに気に入ったのか。わかった、処分できるものは処分して、学校でお金渡すね」


 ユウキが発言する。

「だったらさ、リサイクルして新しいの買って貸して?」


 アヤネが発言する。

「わかった、そうする。CDとDVDは?」


 ユウキが発言する。

「それも同じで」


 アヤネが発言する。

「了解」


 ユウキが発言する。

「アヤネさ、興味あるけどお店で買いづらい女子向けの本とかある?

 リクエストがあれば買ってくるよ?」


 アヤネが発言する。

「シリーズ作品の続きは大体気になってる。

 途中で止めちゃってるの結構あるでしょ?」


 ユウキが発言する。

「あれとあれかとあれか……、わかった、今度学校に持っていくね」


 アヤネが発言する。

「助かる。ユウキは何かある? って、男子向けなら自由に買えるか……」


 ユウキが発言する。

「うん。エロ本以外ははずかしくないよ」


 アヤネが発言する。

「あはは、そうだよね。ならエロ本かそうか?」


 ユウキが発言する。

「うん。どんなのか興味ある」


 アヤネが発言する。

「マジ?」


 ユウキが発言する。

「うん。隠し持ってるのかしてよ、DVDとかも」


 アヤネが発言する。

「……本当にもって行くからね?」


 ユウキが発言する。

「うん、こういうこと嫁のアヤネにしか言えないし」


 アヤネが発言する。

「わかった、持ってゆく」


 ユウキは、嬉しそうに学校で受け取ると、普通に鑑賞して、普通にコメントを返答した。


 アヤネが発言する。

「すごいね、本当に、リアル男子みたいだよ」


 ユウキが発言する。

「アヤネもすっかりリアル女子みたいだよ」


 アヤネが発言する。

「あはは、そうかも」


 ユウキが発言する。

「それじゃ、狩りいこっか。PT誘うね」

 

 アヤネが発言する。

「うん、よろしく」



 その次の日、二人は、通学中に同じ車両に乗り、事故で他界した……。


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