チート持ち魔人男子(元女子)の事情
ユウトとタツヤは、宿屋の店主のところに向かっていた。
ユウトはタツヤの冒険者証を確認しながら言う。
「タツヤはボクと同じく元女子なんだって?」
ユウトはタツヤに冒険者証を返す。
タツヤが言う。
「はい。でもユウトさんみてるとイケメンすぎて眩しいです」
ユウトが言う。
「あはは。おもしろいね、きみは。
じゃ、ぶっちゃけた話ししても大丈夫だね」
タツヤが言う。
「そういうの、すっごくありがたいです」
ユウトが言う。
「ボクらはいわゆる飛び抜けたチート持ちの男子だ。
でも、その代償として、相方には、転移者にしてはかなりスペックの低い女子を引き受けてもらってる立場にある」
タツヤが言う。
「はい」
ユウトが言う。
「なので、早めに告白して恋人同士になった方がいいよ。
相方が低スペックなのを気にしないようにしてあげないとね。
恥ずかしがっちゃダメだからね。
生活の基盤が整う前、心に余裕がない今の方が断然都合がいいよ。
強引に勝手に決めちゃうくらいの勢いでやらないとダメだからね」
タツヤが言う。
「なるほど、勉強になります……今日中に告ります!」
ユウトが言う。
「うん、がんばって。
あと、ここからは失敗談なんだけどさ」
タツヤが言う。
「はい」
ユウトが言う。
「男子のアレのことは、早めに彼女に相談した方がいいからね。
ボク達、魔人の男子は精力が強いから、アレの処理が必要な頻度も多いから。
我慢するのは体によくないから、理解ある元男子の彼女には、早めに相談しなよ」
タツヤが言う。
「はい、てか、ボク……そうか、男子なんですよね……」
ユウトが言う。
「うん。そう言うところも含めて男子だからね」
タツヤが言う。
「すごーく、勉強になります。言い出しずらそう……」
ユウトが言う。
「ボクは言い出せずに、彼女から切り出してもらった……はずかしかった。
でもね、ボクの彼女はサキュバスだからそう言うの敏感で気付いれくれたけど、タツヤの彼女はダークエルフだからね。気づけないかもだから、ちゃんと切り出しなよ? できるだけ早く。
最悪任務にも支障が出るから命取りになるよ」
タツヤが言う。
「わかりました。……その……どれくらいの頻度でされてるんですか?」
ユウトが言う。
「今は、彼女の準備もできてちゃんと、受け入れてもらえるから就寝前と起床後、それぞれで、最低3回以上かな。単に処理してもらってただけのときはもっと多かったよ」
タツヤが言う。
「うぁ……そんなに?」
ユウトが言う。
「長期任務からもどったときは、ほんとうに我慢できなくなるからね?
本格的に冒険者任務を始める前までには、協力してもらいなよ?」
タツヤが言う。
「自分で処理しろって言われたらどうしよう?」
ユウトが言う。
「元女子としては、それは、さすがに困るよね?
でも、満月の日から数日は生理日だからそう言う日もあるかもだね……」
タツヤが言う。
「ユウトさんは自分で処理されたことってあるのですか?」
ユウトが言う。
「ないよ。自分で処理すると彼女に叱られるから」
タツヤが言う。
「羨ましすぎません?」
ユウトが言う。
「サキュバスだしね……彼氏に自分で処理させるのは逆に恥ずかしいらしい」
タツヤが言う。
「……すごいですね、よくわからないですけど。
でも、ミヅキはダークエルフだしな……。
自分で処理って、みんな、どうしてるんだろ?」
ユウトが言う。
「これから紹介する場所は、共同浴場だから、いろいろ限られてるね。
トイレの個室使うとか、彼女が留守中に部屋でとか……みたいだよ?」
タツヤが言う。
「見つかったら最悪だろうな……」
ユウトが言う。
「うん……だろうね。相当気まずいらしい。その手のお店は高額だしね。
一応、アヤナとエリンからミヅキにそれとなく魔人の男子の事情を伝えておいてもらうよ」
タツヤが言う。
「それ、ありがたいです、先輩! いあ師匠!」
ユウトが言う。
「大袈裟だよ……」
タツヤが言う。
「なんか、こう言う話すると、本当に男子になったって気になりますね……」
ユウトが言う。
「あはは、そのうち慣れるよ。ボクもそうだった」
宿屋に到着すると、ユウトはタツヤに店主を紹介し、事情を話した。
ユウト達とは別棟に同様の空き倉庫があるので借りられることに決まった。
タツヤは早速契約を結び、ユウトはタツヤに協力して部屋の大掃除を手伝った。
例によって、店主からダブルベッドが提供された。
ユウトとタツヤが冒険者ギルドへ向かう帰り道。
ユウトが言う。
「とりあえず、1ヶ月くらいは、タツヤが冒険者任務、ミヅキは専業でウェイトレスに専念するのをお勧めする。
いろいろと勉強になるからね。
それから先のことは二人で話し合って決めるのが良いと思うよ」
タツヤが言う。
「なるほど、情報収集しないとだし、そうしてみます」
ユウトが言う。
「冒険者任務は、ボクについてくるといいよ。
慣れてないだけで、能力的には問題なから、
いきなり、白金や金等級だって問題ないからね?
ミスリル等級の任務は慣れてからじゃないと危険すぎるからまだ先にしなよ。
安全そうな任務を見繕ってあげるよ」
タツヤが言う。
「なんですか? このイケメン貴公子?
至れり尽くせりで、申し訳ない限りです。
本当にありがとうございます」
ユウトが言う。
「気にしないで、任務はじめたらお互いに命を預け合うことになるのだから」
タツヤが言う。
「男の世界ってやつですか。
女性冒険者もいるかもですけど……」
ユウトが言う。
「あはは。でも、高ランクの女性冒険者は男性的な人が多いね。
女性的な人は、銅等級まで上がったら、ギルドか街の職員になっちゃうからね」
タツヤが言う。
「なるほどな……ミヅキも銅等級には上がってもらわないとだな」
ユウトが言う。
「うん。タツヤが冒険者に慣れれば、いろいろわかってきて、ミヅキのこともすぐに等級を上げてあげられるようになるから、安心していいよ」
タツヤが言う。
「はい、楽しみです」
そのあとは、ユウトがタツヤに魔人のスキルについていろいろとレクチャーした。
冒険者ギルドに戻ると、アヤナ、エリン、ミヅキが待っていた。
アヤナとエリンはシフトが終わって、帰り支度を済ませていた。
エリンの隣にはダークエルフの白金等級冒険者アルヴァロが立っていた。
アルヴァロはエリンの彼氏だ。ユウトとは冒険者仲間だった。
アヤナが言う。
「おかえり、どうだった?」
ユウトが言う。
「ただいま。決めてきたよ。別棟の空き倉庫。掃除も済ませた。
すぐ使える状態。しかし、勢揃いだね?」
アヤナが言う。
「うん、せっかくだから転移祝いしようってことになったの。
エリンちゃんの直系の後輩になるからね」
ユウトが言う。
「後輩……? もう進路決めたの?」
アヤナが言う。
「ミヅキは、エリンちゃんみたいになるんだってさ」
ユウトが言う。
「目標ができたんだ。それはよかった」
6人は、ギルド併設の酒場へ向かい、タツヤを女性陣が、ミヅキを男性陣が挟むように、6人掛けのテーブルに座った。
楽しい宴の時間が始まった。
話好きのアルヴァロが冒険譚を楽しそうに語り出す。
タツヤとミヅキは目を輝かせながら聞き入っていた。
途中、アヤナが席を立ったので、ユウトが追いかける。
ユウトが声を掛ける。
「アヤナ、ちょっと、いいかな?」
アヤナが答える。
「ん。なに?」
ユウトが言い辛そうに言う。
「あのさ、タツヤのさ、魔人の精力のことなんだけど……」
アヤナが気づく。
「あー、大丈夫。私とエリンちゃんで念を押しておいた。
恥ずかしがってたけど、元男子だし理解できたみたいだよ?
本当にすごいから驚かないでねって、伝えてあるから大丈夫。
あと、一人で処理させたら、魔族の女子の名折れだからねっていい含めておいた」
ユウトが言う。
「よかった。恩に着る。
タツヤは元女子だし、切り出し辛そうにしてたから」
アヤナが言う。
「なるほどね。席に戻ったらそれとなく伝えておいてあげる」
ユウトが言う。
「たのむね」
ユウトが席に戻るとしばらくしてアヤナが戻ってきて、タツヤに耳打ちした。
タツヤは、顔を赤らめなだらアヤナにお礼をした。
宴が終わると、解散した。
ユウト達とタツヤ達は同じ方角だったが、ユウト達は用事があることにして、少し遠回りして、帰路についた。
アヤナはユウトと就寝前の日課を済ませたあと、共同浴場の入り口で、ミヅキと鉢合わせた。
なんかベタベタになってた。
アヤナは、気にせず、脱衣室へ向かった。
ミヅキは入り口で恥ずかしそうにモジモジしていたので、入り口に戻り、ミヅキの手を引いて、一緒に服を脱ぎ始めた。
アヤナが言う。
「てか、私も元男子なのだから、同性だと思って気にしないでね?
もう、その体で、男湯には入れないのだからね?
気にしちゃダメだよ?
これからはこれが普通だよ?
女子の裸を見て楽しむくらいでいいからさ、ね?」
ミヅキがおずおずとベタベタの服を脱ぎながら、言う。
「はい、ありがとうございます……」
アヤナが言う。
「失敗しちゃった?」
ミヅキが言う。
「はい……元男として元女子に負けた複雑な気分です。
アレほどとは……」
アヤナが言う。
「その気持ちすごくよくわかる。
魔人は異常だから、むしろ気にしたら負け」
ミヅキが言う。
「ですね……」
体を洗って、湯船につかると、恥ずかしそうにミヅキが隣に座った。
ミヅキが言う。
「……その……タツヤから告られました」
アヤナが祝福する。
「おめでと、よかったねー。
私も初日に告られたよ。
どうだった?」
ミヅキが言う。
「……複雑な気持ちでしたけど、うれしかったです」
アヤナが言う。
「うん。私もそうだった。もはや彼氏しか頼れかったしね。
しかも自分のはずが自分よりイケメンとかありえないよ?
私はポンコツ以外の何者でもなかったし。
それでも好きって言ってくれたのはとてもうれしかったな」
ミヅキが言う。
「……すっごくわかります!
いま、私、そんな気持ちです。
で、調子に乗って頑張ってみたら、ベタベタになっちゃいました……」
アヤナが言う。
「私も似たようなものだよ、最初は大失敗して迷惑かけちゃった。
次からは失敗しなかったから、自信ついたよ?」
ミヅキが言う。
「リベンジですね?
私も頑張ります!」
アヤナが言う。
「ん。頑張りなよ。私はミヅキの味方だからさ」
ミヅキが言う。
「ありがとうございます。
アヤナさんに出会えてよかった……」
……
宿屋の共同浴場、男湯。
ユウトとタツヤが湯船につかって談笑していた。
タツヤが言う。
「……普通に男湯に入ってる自分に驚いてます」
ユウト。
「あはは。楽でいいでしょ?」
タツヤが言う。
「……はい、なんか洗いかたまでレクチャーしてもらってすみませんでした」
ユウト。
「気にしない、気にしない。
で、告れた?」
タツヤが言う。
「はい。大成功です。アドバイスありがとうございます」
ユウトが言う。
「おめでと。どうしてベタベタだったの?」
タツヤが言う。
「ミヅキに任せたら予想以上だったらしく、
ボクも初めての経験だったので、こんな結果に……。
それでも、物足りなくて、
何度かやってもらったらひどいことになっちゃいました。
でも、対策は立てられたので次からは大丈夫そうです」
ユウトが言う。
「あはは、そっか。感想は?」
タツヤが言う。
「男子は本当に楽でいいですね。
さっぱりすっきりしました」
ユウトが言う。
「あはは。だね。ボクもそう思う。
でも、相手のこともあるから、焦らずゆっくりがいいよ」
タツヤが言う。
「はい、楽しみにしてます」
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