サキュバスの日常
アヤナが女性として男性のユウトを受け入れられるようになってからは、ユウトも遠慮がなくなり、就寝前と、起床後に愛し合うのが日課となった。
今までの採取方法よりも、愛し合いながら精力を採取する方が採取効率がはるかに高く、どんどん精力が集まっていた。
ユウトは男性として、アヤナは女性として、自我がさらに開花する実感に酔いしれ始めていた。
共同浴場で身を清めてから、共に朝食をとり、ユウトが出立するの見送ると、掃除や洗濯などを済ませて、ギルドへ出勤するのがアヤナの日課だ。
現在、アヤナはミラの補佐として、冒険者ギルドとサキュバス組合の両方の仕事を学んでいる。
ギルドの6Fはサキュバス組合のフロアになっており、一室だけ、他種族禁制となっている部屋がある。そこではマナ・ロンダリングというサキュバス特有のスキルを使って、集めた貴重な精力を、より高品質で高純度のマナに変換する儀式を行っていた。
ぱっと見には、サキュバス同士で愛し合ってるようにしか見えないので、誤解されないように他種族の入室は禁止になっているのだ。
アヤナの儀式の相手はミラだった。組合員は〝姉妹〟と呼ばれ、儀式の相手と姉妹関係を結ぶのだ。儀式によって生成されたマナは街の魔法陣に流し込まれ蓄積される仕組みになっていた。
アヤナとミラは、全裸で高揚しながら、魔法陣が描かれた床の上に座って寄り添って儀式の余韻を楽しんでいた。
ミラが頬を染め、息を切らしながら言う。
「はぁ……はぁ……、今日もたっぷり生成できたわね」
アヤナが頬を染め、息を切らしながら返答する。
「はぁ……はぁ……、はい、お疲れ様でした」
ミラが余韻を楽みながら、アヤナにキスをする。
儀式の余韻が冷めない二人は、求め合うようにキスをしばらく楽しんだあと、立ち上がって、同じシャワールームに入って互いの身を清めた。
アヤナは、姉であるミラから、サキュバスのたくさんの技能を教えてもらっている最中だ。
その中には男性だけでなく、女性から精力を採取する方法も含まれていた。
冒険者は危険な任務に関わる頻度が多いこともあり、女性も精力を持て余す傾向にあるらしい。精力の処理に困っている奥手の女性冒険者が意外に多いのだそうだ。
そういう女性たちを支援することも、サキュバス組合の仕事の一つだった。
中には、あえて男性と関係を結ばずにサキュバスに組合に精力の処理を依頼している女性冒険者も少なからずいた。
ちなみにサキュバス組合では男性向けのサービスは提供していない。その手のサービスは街にたくさんあるので苦情がくるからだ。
アヤナは、受付の裏でミラの事務処理を手伝っていた。
受付窓口にいたダークエルフのエリンが、アヤナに近づいてきて、小声で囁いた。
「アヤナちゃん、クロエさんから、ご指名だよ」
アヤナも小声で返す。
「変な言い方しないでよ。
たまたま私の当番時間なだけなのだからね」
エリンが言う。
「それを狙ってきてるんでしょ? モテモテだね?
お待たせしちゃ悪いよ、早く行ってきて」
アヤナが返す。
「わかった、あとよろしくね」
アヤナは6Fの施術室へ急いだ。
アヤナが言う。
「お待たせいたしました。クロエさん。
準備はよろしいでしょうか?」
ダークエルフの女冒険者、クロエが言う。
「準備OKだよ。
アヤナちゃん、いつもありがとね」
アヤナが言う。
「では早速始めますね」
アヤナが精力採取の施術を始める。
クロエが艶かしく喘ぐ。
「うぅ……あぁ……ふぅ………あぁん………」
15分ほどの施術終わり、クロエが身支度をしている間に、アヤナは、お茶を入れる。
施術後は、気持ちを沈めるためのおしゃべりタイムだ。
クロエが言う。
「今日も気持ちよかった。ありがとねアヤナちゃん。
私、彼氏はいるけど、サキュバスちゃんに施術してもらう感覚が好きなのよね。
かといって、その手のお店っていかにも男性向けって感じでしょ?
お店に入るの躊躇しちゃうし、ほんと助かる」
アヤナが言う。
「こちらこそありがとうございます。
今回もたくさん採取できました」
クロエが言う。
「そっか、たくさんか……。
やっぱり今の彼氏と相性悪いのかなぁ?」
アヤナが言う。
「そう言うわけではないと思いますよ?
ただ、フリーな方に比べてもやや多めでしたので……」
クロエが言う。
「いいのよ、わかってる。
今の彼さ、自分だけで満足してそれで終了だからね……」
アヤナが言う。
「彼氏さんに相談されてみては?」
クロエが言う。
「そうだね。それでもダメなら別れちゃおっかな」
アヤナが言う。
「随分、大胆ですね?」
クロエが言う。
「うん、もう限界に近いのよね。
お互い、白金等級だし、プライドのぶつかり合い的な感じになる時がよくあるのよ。
フリーのサキュバスちゃん、誰か知らない?
サキュバスちゃんは人気高くて彼氏持ちしかみたことないのよね」
アヤナが言う。
「組合員は、みなさん彼氏持ちですね……」
クロエが言う。
「そうだよね……。
でもさ、3人くらいサキュバスちゃんをはべらしてる魔人を見るといらっとするのよね。
あれ、どうなってるの?」
アヤナが言う。
「聞いた話によると、西の大陸に渡って、娼館に売られたサキュバスをさらったり、買い取ったりしているらしいです。ヒューマンの街では、魔族は当たり前のように売買されているらしいですね」
クロエが言う。
「マーサス大陸か……いったらダークエルフの私がやばいじゃん」
アヤナが言う。
「マーサス大陸へ潜入する高難易度任務に人気があるのは、そう言う理由もあるらしいですよ」
クロエが言う。
「あー、あれか……ミスリル等級推奨のやつね?
たしかにミスリル等級でパーティ組めばいけるか……。
あの任務って人気がありすぎて、奪い合いって聞いたけど、
そう言うことだったのね……うらやまけしからん。
私もミスリルになったら挑戦してみようかなぁ。
ちなみにサキュバスちゃんの価格って知ってる?」
アヤナが言う。
「流石にそこまではわかりません。
そう言う事情は、ミスリル等級の魔人さんのほうが詳しいと思いますよ」
クロエが言う。
「あいつか……、それとなく聞いてみよっかな。
試しに一人譲ってもらえるか交渉してみよう」
クロエの対応が終わり、アヤナが1Fで見送りをしていると、エリンがまたやってきた。
「アヤナちゃん、同室でいいから3人お願いできる?
さっき、ミラさんが4人まとめて連れて行ってくれた。
まだ来そうだから、ちゃちゃっと済ませてきちゃって。
同室の了解はとってあるからね。
もう準備はできてると思うから早く行って」
アヤナが言う。
「わかった……」
アヤナは再び6Fの施術室へ急いだ。
ラミアのブルック、ハーピーのハンナ、アラクネのジュリアが待機していた。
アヤナが言う。
「お待たせいたしました。ブルックさん、ハンナさん、ジュリアさん。
準備はよろしいでしょうか?」
ブルックが言う。
「アヤナちゃんよろしくね。待ってたよ」
ハンナが言う。
「アヤナ、よろしく」
ジュリアが言う。
「よろしく、アヤナ、みんな準備OKだよ」
アヤナが交互に施術を行う。
「うぅ……あぁ……ふぅ………あぁん………」
「……あぁ……うぅ………あぁ………ふぅ」
「ひぅ……うぁ………あぁん………うぅ」
30分ほどかけて施術を終える。
アヤナはお茶を振る舞う。
ブルックが言う。
「やっぱり、アヤナちゃんの施術は特別きもちいよね」
ハンナが言う。
「うん。ミラさんも超いいけど先輩冒険者の目が怖くて近づけないからね。
アヤナがいてくれてたすかるよ」
ジュリアが言う。
「だよね、ミラさんはよほど運が良くないとやってもらえるチャンスないしね。
アヤナには感謝しかない。
でも、いつもアヤナとの個室をクロエさんに持っていかれるんだよねー。
あの人、ずるいよ、アヤナとの個室ばっかりだよ?
けど、白金等級だし、大先輩だから譲るしかないし……。
なんか指名制じゃないのに実質指名制になってるのどうにかならないの?
私だってアヤナとの個室がいいよ。
いっそ完全予約制にしちゃったら?」
ブルックが言う。
「だよね、私もアヤナちゃん独占したい」
ハンナが言う。
「私も同意見。なんとなからない?」
アヤナが答える。
「申し訳ありません。他業務との兼ね合いもあって、シフトが不定期だったりする時もあるので、難しいのが現状なのですよ……。
ただ、ミラさんが人気ありすぎて、暗黙の先輩枠で一杯な状況なので、組合でも検討中なのです。でも、予約制を試してみるという案も出ているところなのですが、記入するのにも暗黙の了解で先輩枠とかできちゃいそうで難しそうですよね……?」
ハンナが言う。
「だね……、記名式だと完全に先輩に目をつけられちゃうだろうし、名前隠しても、名前特定されたら、その後がやばいよね。結局先輩達が予約を書いたの待ってから記入することになりそうだし……。
けどこのままだと、アヤナも先輩枠で埋まっちゃいそうだね」
ブルックが言う
「利用枠をさらに減らされても困るしな……。
だと今のままの方がよいのかなぁ」
アヤナは、あと2回、施術を引き受け、今日の当番時間を終えた。
1Fの受付の裏に戻り、ミラと事務処理の続きを始めた。
手隙のエリンが話しかけてきた。
「アヤナちゃん、お疲れ様。
徐々に固定客がついてきたね。
彼氏持ちのお客さんも結構いるよね?
そんなに気持ちいいの?」
「欲求不満の解消にはなる感じかな?
高ランクの女性冒険者は、男性的な人が多いから、
そう言う人には向いているかも。
今のエリンちゃんは彼氏と充実してる感じだから、
あまり効果ないと思うよ?」
「そっかー、ちょっと興味あったのになー。
今度さ、彼氏が長期任務の時、休憩時間にお願いしてもいい?」
「うん。それなら効果あるかもね」
「でしょ?
楽しみー。
彼氏よりよかったらどうしよう?」
「今のエリンちゃんの状況をみた限りでは、それはないと思うよ」
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